半裸の青年が後ろ手に縛られ、これまた半裸である私の前に突き出される。
こう言えばどことなく……いや、どう言ってもこの光景を口で表現するとなれば、異質というか変態じみて聞こえる。青年を連れてきた者はフルアーマーで身を固めているが、むしろ二人が半裸の中にあってはこの異質な光景に拍車を掛けているとしか言えないね。
そうね、もっと言えばさ……私の前に連れてこられた見知らぬ青年はまだまともだね。半裸という言葉がそのまま……上半身は裸で下半身はボロボロとはいえシッカリとズボンをはいているから。まあ裸の上半身に鎖で繋がれた首輪がついてちゃ、やっぱり変態じみてるかな。
対して私は半裸と言うよりは「全裸にちょっと布がくっついてる」みたいな服装だし。胸はおおっぴらに開かれ、その周囲に胸を強調するかのようにほぼ紐って感じの布がぐるっとまとわりついてる。腹も丸見えなんだけど、これって「ヘソ出しがセクシー」っていうよりは「腹筋を見せ付けている」って感じなんだよな。いるんだよ世の中にはさ、腹筋に欲情するようなのが……私の腹筋を舐めながらオナるのが好きだなんて奴もいるくらいだからなあ……ま、私の周囲にいる男達はそんなんばっかりなんだけど。そんなフェティシズムを刺激するような衣装を変態じみてない、なんて誰が言える?
ついでに言や、そんな衣装を嫌がるどころか喜んできてる私自身もね。
そして格好だけなら一番まともなのは、青年を連れてきた彼女。兜こそ脱いでるけど、真っ黒なフルアーマーを着込んでるからね。格好はまともだけど、この鎧も着ている本人のボディラインをそのまま象ったような特注品だから、見ようによっちゃ裸よりも色っぽい……つまりね、ここにいる全員が異様なわけ。
ただね、この状況はけして光景通りの変態じみたものじゃないんだよ。
「ケイト・マクルファー……そう名乗ったけど、聞き覚えある? カサンドラ」
その名が突き出された青年のものだということくらいは判る……と言うより、判るのはそれだけだ。
「知らないね。けど、この坊やが私を「殺ろう」としたんでしょ? ミネルバ」
ミネルバの返事を聞くまでもない。両膝を付きながらも顔を上げ、椅子「役」となっているミノタウロスの両股に腰掛けてる私を睨みつけるその視線は鋭く、殺気以外に感じるものが無い。
「みたいね。詳しいことはエマに訊いてくれるか? 私も彼女の忠告を受けてこの者を捕らえたにすぎないんだ」
エマの話というのは、私も軽く聞いている。なんでも「父の仇」とやらで私の命を狙っている青年が、剣闘士を装ってミネルバのチームに加わろうとしている……そんな情報だった。エマ率いる盗賊ギルドの情報は信頼できるからね、その話を聞いたミネルバが該当する男を早速とっ捕まえて、私の所へ連れてきた……まあ今の状況はそんな感じだ。
私もミネルバも、ここ「金色の7番街」にある闘技場で剣闘士達を束ねるリーダーを務めている。で、表向き私とミネルバのチームは敵対していて、チーム同士の争いが闘技場の「売り」になっている。それを利用し、まずミネルバのチームに参加してチーム内で敵のリーダーである私に恨みを持つような「同士」を探し、そして私を暗殺、あるいは闘技中に真正面から切り倒すつもりでいたらしい。シッカリした計画のようだけど、穴だらけだねまったく。ま、表の私達しか知らないんならこんな作戦立てても仕方ないのかね……裏では私とミネルバが、というかチーム同士で乱闘どころか乱交し合う仲だって知らなきゃね。でもなぁ……乱交の事まで知っとけとは言わないけど、表の「アレ」が試合を盛り上げるための演技だって事くらいは見抜けないとなぁ。闘技場に来る客だって半数はそれを判ってて楽しんでるんだぞ? そんな所も含め、まったくとんでもなく間抜けな暗殺者だよこの坊やは。
余談だけど、坊やがやろうとしていたことをどうやって聞き出したか……そんなの簡単な話。捕まえた後にエマがちょっと「サイキック」って力を使って思考を読み抜くだけ。彼女に言わせれば、潜入計画が駄々漏れだった時点でこんな情報は彼女の力を使うまでもなく集められただろうってさ……おー怖い怖い。
「で、どうする?」
「どうするって言われてもなぁ……」
一番簡単で確かな方法は、この坊やを処刑してしまうことだろうね。私の命を狙ってるんだ、どんなに間抜けだろうとつみ取ってしまう方が色々と楽だ。けど、それじゃ面白くない。というより、気が進まない。昔の私なら、面倒くさいからとっとと処刑していただろうけど……最近は、というか「今の私」になってからは、そーいう事をする方が面倒というか、なんかこう……ね。あーヤダヤダ。隻眼のカサンドラ様も随分と丸くなっちゃいましたね……自分でそう思うよ。
「……坊や、親父さんの名前は?」
たぶん聞いても覚えていないだろうけど、何となく訊いてみた。
「……カイン・マクルファー。新緑の30番町で騎士を務めていた、カイン・マクルファーだ! お前が、お前が父を殺しグァッ!」
興奮して起ち上がり、自分の「立場」も忘れて私に挑み掛かろうとする坊や。それをグイッと首輪に繋がってる紐を引っ張り食い止めるミネルバ。私と言えば、その様子を動じることなく眺めていた。というか……とりあえず坊やのことなんて気にせず、告げられた名前を記憶と照合していてそれどころじゃなかった。
……やはり名前には覚えがない。それはそうだろう。私はこれまでに何人もの人を……敵国の兵士から金品を運ぶ商団、それを守る護衛達……いろんや奴を殺ってきたからね。いちいち名前なんて聞かないし、聞いても忘れてる。覚えてるのなんて……いるのかな? ってくらい曖昧だ。
ただ、新緑の30番町には聞き覚えがある。もし……あの町にいた騎士ってのが「アイツ」だとしたら……
「とりあえず……「刑」の執行は後回し。まずは「罰」を与えてやる、というのはどう?」
考え込んでる私を見かねて、ミネルバが提案する。ま、とりあえずはそれでいいかな。
「いいけど、どんな「罰」を与えるつもりだよ」
思わず口元がつり上がってしまう。それはミネルバも同じ。既に私達は、命を狙われた剣闘士でも惨めな青年を跪かせる暗黒騎士でも無い。本性である淫魔の顔が、表に現れていた。
「あなたのアナルに入れてる「ソレ」を、この子の中に入れる……というのは?」
ミネルバの視線は、私と「椅子」の境目からチラチラと見える……私を下から突き上げ軽く身体を浮かせている、長くて太い「突起」に移っていた。そして坊やの視線も同じ所に向けられ、怒りに高揚していた顔が青ざめ始めていた。
「そーいうのは私の趣味じゃないね。セイラなら喜んでやりそうだけどさ」
別に私は男同士が繋がってるのを眺める趣味はないし、それによって苦しむ坊やの顔を楽しげに見つめる趣味もない。ドSのセイラなら真っ先に喜びそうなシチュエーションだけど……って、まあうちの「贄」に「こんな事」させてる私が言っても説得力無いけど。
「だけどそうね……そろそろ「コイツ」も限界みたいだから、ちょっと待って」
言いながら私はバシッと椅子の縁、というか私を支えているミノタウロスの太股を強く叩いた。すると私のケツ穴を内側から擦り続けていた肉の突起がより激しく動き始める。そして椅子にはないはずの手が、私の胸を鷲掴み揉み始めた。
「ほら、折角だから良く見てあげなさい。父親の仇が魔物に犯されてる恥辱をね」
坊やの髪の毛を掴み、強引に顔を私達の結合部へと向けるミネルバ。これが「麗しのミネルバ」なんて呼ばれてる女のすることかね? おかげでちょっと興奮しちゃうじゃないの。
「いいぞミノ、もっと激しく……ん、そう、ああ、もう「椅子」にならなくていいから、ほら、ん、ん、もっと、出来るだろ? ん、そ、いいよ、その調子……んっ!」
椅子役を解任されたミノタウロスが自分を支えていた台座から私を突き刺したまま起ち上がる。そして魔獣の本性をむき出しにし暴れ出す。胸を力強くむちゃくちゃに揉み、腰を激しくガクガク動かす。しまいには、涎を垂らしながらモーモー泣き叫びだしたよ。ったく、試合中だってこんなに興奮しないだろうに……すっかり私の「贄」らしくなっちゃって。
「いつでも良いぞ、ほら、逝きそうなら「首」出しな、んっ!」
許可を出してやったら、ミノの奴待ちきれないって直ぐさまでっかい頭を横に倒しながら背中越しに「首」を差し出してくる。私はその毛深い首に顔を近づけ、丸焼きの七面鳥へそのままかぶりつくみたいにそこへ牙を立てた。
吸血鬼の牙をね。
その刹那。腸を通って私のお腹に逆流してくる熱く白い体液。それを腹に溜ながら、私は真っ赤な体液を啜る。ちょっと泡立ち濁った体液をダラダラ垂らしながら、ミノは声と全身を震わせ歓喜している。
「なかなか凄まじい光景だろう? 魔獣を悶えさせる吸血鬼……ようやく、お前が殺そうとした女がどんな者か、理解したようだな」
ミネルバが青年の髪を掴み後ろへ引き、顔を上へ向けさせる。その顔はすっかり怯えきっていた……けど、それだけじゃない。
「なに興奮してんだい。そんな息荒げちゃってさ」
顔こそ強張りガタガタ震えているが、しかし頬に青みはなくむしろほんのりと赤みが差している。生唾を飲み込み、ハアハアと息を荒げているその様は、恐怖と興奮が同居した複雑な心境を表していた。
何に興奮しているのか。まあバケモノ相手とはいえ思春期の青年が直接性交を目の当たりにしたんだ。興奮して当然だが……親の仇を相手に、ここまで興奮するってのは異様だ。
そう、ここまでこの坊やを興奮させるのには別の理由がある。どんなに私を憎んでようとも、恨んでようとも、坊やが普通の人間なら「この環境」の中にいて興奮を抑えられないはずがない。
「もっとじっくり見たいのかい? フフ、いいぞ……この濡れたオマンコをよぉく見せてやるよ」
私は自分で自分の淫唇を指で押さえ、横へ広げる。奥からはじっとりと愛液が染み出ていた。この愛液……これが、この匂いが、坊やを興奮させている。淫魔香の力でね。
ジャラジャラと鎖が揺れる。興奮しきった坊やが身体を、腰を、揺すり始めたからだ。後ろ手に縛られているから、自分ではどうにも出来ないもどかしさに抑えきれず身じろいでいる。
「なんだい、だらしないねぇ……チンコもうそんなにしちゃってるのか?」
「本当だ……ククッ、カサンドラは仇じゃなかったのか? そんな女を相手に破裂しそうなほど勃起するとは。みっともないにもほどがあるぞ」
私らの罵倒が耳に届いてるのかどうか……坊やは半開きの口から涎を垂らしながらひたすらに身体を揺すっている。
私はミノから坊やの何倍もある肉棒を引き抜く。ゴポッと大きな音を立てて、私のケツから白いのがどっと流れ出てきた。ミノに下がるよう命じて、私は坊やの近くにまで歩み寄る。
「舐めな」
まだミノの精液が垂れ流れているケツを、坊やの顔に向ける。まだ身じろいでいる坊やだけど、流石にすぐケツを舐めるようなそぶりは見せない。まあ興奮しているとはいえ、「ケツを舐める」って行為が、それもバケモノの精子が垂れ流れてるケツを舐めるって事が「性的な興奮」と結びつくはずがないもんな。普通なら。
だけどここじゃ、そんな「普通」は通用しないんだよ。
「ほら、折角カサンドラが「ミルク」をくれると言ってるんだ。しっかり舐めるんだよ!」
髪を掴んだままだったミネルバが、そのまま青年の顔を私のケツに押しつけた。
「ハハッ、まさに「牛」乳だからな。ほら、美味しいだろ?」
私も自分のケツを振り、グリグリと青年の顔に押しつける。するとケツ穴の辺りに精子とは違うヌメッとした感触が。坊やが舌を伸ばしてきたようだ。
チョンチョンと触れるだけで戸惑いがちだった舌の動きは次第に大胆になっていき、こっちにまでピチャピチャと舐める音が聞こえてくるくらい激しくなってくる。
「女性の臀部を舐めてなお興奮するか。なるほど、お前はどうやら「変態」のようだな」
殺すつもりで近づいた女を前に跪き、その女のケツを舐めながら興奮で身をよじる。ま、これじゃド変態と言われても否定できないよな。と言っても、そうさせているのは私ら……私らの淫魔香の効力なんだけど。どんな男でもどんな状況下でも、いやらしいことしか考えられなくなる淫魔香……抑えきれない性欲に支配されているこの状況を、さて淫魔香の効果が無くなり冷静になってから振り返って……自分をどう思うだろう?
そんな坊やが後々感じる屈辱感を想像すると……こっちも興奮しちゃうね。なんだい、これじゃまるで私もセイラみたいなドSじゃないか。
「変態。貴様がいきり起たせているコレ……どうして欲しい?」
チラリと後ろを見てみると、ミネルバが坊やの後ろで屈んでいるのが見える。ここからじゃよく見えないが、たぶん……坊やのナニを指で弾いてるんじゃないか? 舌の動きがが小刻みに止まるんだよ。ピンって弾かれる度に舌が止まる……たぶんそんな状況なんだろう。
「こうして……欲しいのか?」
「はうっ!」
坊やの顔がケツから離れる。こりゃたぶん、直に握られたな?
「……この無礼者!」
パチン、と激しい音がする。坊やが横倒しになっているのが見えた。頬が赤く張れているのを見る限り、ミネルバに平手打ちされたんだろう。兜以外は鎧を着込んだままのミネルバ……当然、手にもガントレットをはめたまま。そんな手で平手打ちされりゃ、そりゃそうとう痛いだろうに……ま、同情はしないけど。
「いきなり射精し、私の手を汚すとは……なんと無礼な」
黒い光沢の上に、白い液体がかかっている。ミネルバは白く汚れたガントレットを拭きながら、坊やをなじる。言葉こそ憤りを表してるけど、ミネルバの顔は笑ってやがる。ったく、あんたもたいしたドSだよ。
「貴様の性器は躾がなっておらんな……なんたる様だ。私の手に射精しておきながら、まだ膨張しピクピクと跳ねさせているとは」
まだ息を弾ませている坊やを足蹴にし、ごろんと仰向けにする。そしてビクンビクンと跳ねるチンコを踏みつけやがった。
「粗末な性器なぞ、踏みつぶしてくれようか」
グリグリと、ミネルバはつま先でガチガチになってるチンコを擦り始めた。
「ひぐ、い、がっ!」
むろん本当に踏みつぶすつもりなんか無いだろうけど、硬いレッグアーマーの靴底で擦られちゃ痛いだろうに……坊やが呻いてるよ。ほらほら、身をよじって嫌がってる……ようには見えないね。淫魔香が痛みを快楽に変換させちまってるからな。
「おっと、まだ途中だったな……ほら、こっちもちゃんと綺麗にするんだよ坊や」
坊やの上に、私は腰を下ろした。ケツの下に坊やの顔を敷くようにね。目の前ではミネルバによる「足コキ」がバッチリ見えている。黒光りするレッグアーマーがよく似合う、そんな「笑顔」を黒騎士が私に向けていた。
さすがにのしかかられてる状態じゃ舌の動きもぎこちなくなるが、それでもグニグニとケツ穴の周りで蠢いてる。もう「舐めている」って感じじゃないが、まあこれも悪くない。そもそもケツ舐めそのものには何の期待もしてないし。
「ふぐぅっ!」
ケツの下で息苦しそうなうめき声がする。このままケツで圧死させてやるのもいいんだけど、まだまだ楽しませてくれないとな。私は軽くケツを上げて呼吸をさせてやると、また腰を下ろしてケツを押しつける。ちょっと腰を動かしてケツ肉で顔をマッサージしてやったりもした。まあ自分で言うのも何だが、私のケツはエリスみたいにプリプリしてないし、むしろ引き締まりすぎて硬いくらいだが、それでもケツはケツ。こんなんでも興奮する男ってのはそれなりにいてね。実際ここの剣闘士連中には私の尻に敷かれたい、なんてリクエストを寄こしてくるのがチラホラいるし。この坊やにそんな性癖があったとは思えないけど……もしかしたら、この「罰」で目覚めちゃったかな?
「だらしない……またか」
ミネルバが溜息混じりに呆れている。前触れ無く、坊やはミネルバに踏みつけられながら逝っちゃった。臭いミルクが坊やの腹と、そして私のマンコに降りかかった。若いだけあって勢いはあるね。だけどそれだけかな。
「カサンドラの臀部を綺麗にするどころか、周囲を貴様の汚い精液で汚すとは何事か……もう良い」
ミネルバは坊やからどくよう私に目配せする。私が腰を上げると、ミネルバは首輪に繋がれた鎖を引っ張り、坊やを立たせた。そして側にある収納棚まで連れて行くと、棚から小さな革製の「ベルト」を取り出す。そしてそのベルトをまた大きくした坊やのチンコの根本に巻き付けた。
「貴様にはその去勢ベルトがお似合いだな。外したければ、その無駄に大きくした性器を小さくするが良い」
ベルトは多少キツクしたとはいえ巻き付けただけだから、ミネルバが言う通りチンコが小さくなればスルッと取れてしまうだろう。だけどそんなこと、今の坊やに出来るかな?
「ミネルバ、もうほっとけ。それよりさ……あんな坊やの舌じゃちっとも満足出来なかったんだ。なあ、代わりにどうにかしてくれよ」
ミネルバと、その後ろにいる坊やに向けて、私はマンコを広げ見せながら腰をクネクネと動かし、誘う。ミネルバは私にとびきりいやらしくて愛らしい笑顔を向けると、その場で鎧を脱ぎ始めた。
「仕方ないわね……」
そんな言葉を口にしながら、ミネルバだってそわそわしてる。まったく、あんただって私とやりたくて疼いてたくせにさ。
鎧を脱いだミネルバは、それだけで全裸になっていた。ここへ来るときからこうなることを想定して、鎧以外何も身につけてこなかったみたいだね。ま、いつものことだけど。
ミネルバは優雅に、だけどちょっぴり急ぐように私の方へ歩み寄る。私は彼女を直ぐさま抱きしめて、待ちこがれた唇に吸い付いた。
「ん、チュ、クチュ……ん、はむ、ん、チュパ……」
「はふ、ん、チュパ、チュ、ん、チュ……」
抱きしめ合い、互いの髪を掻き乱しながら、解け合うように唇を密着させ舌を絡ませる。これだけで、お互いの唇は「上下とも」ドロッドロになっちまう。だから立ったまま、私らは下の唇同士も接吻させる。腰を押しつけ合って、くねらせ、ネチャネチャと音を立てさせる。だけどやっぱり立ったままじゃ上手くいかない。自然と二人の膝は折れ、腰を下ろし、顔を離し脚を絡め、マンコを密着させたまま腰を激しく振り始めた。
「あ、いい、やっぱ、ミネルバのマンコ、吸い付くみたいで、いい、いいぞ、ん、あぁあ!」
「あ、あなたのだって、グチャグチャ、言わせて、んっ! はり、張り付いて、い、それ、こす、れて、んぁあ!」
レズビアンショーの会場には、ニチャニチャと愛液が混じり合う音、それからガチッと鎖が鳴る音が鳴り響いている。興奮しっぱなしの坊やが繋がれていることも忘れて暴れてるようだけど……いいや今は。それより今はミネルバと……
「い、いく、ミネルバ、そろそろ……」
「ずっ、随分と早いな。らしくない……けど、んぁ! 私も、そろそろ、き、きてしま、う、ん!」
ま、ぶっちゃけ私はミノとアナルセックスしてたし、ミネルバだって坊やを虐めて「ほんのちょっとくらい」は興奮してただろうし。前戯はそれなりにやってきたようなもんか。
「ミネルバ、ミネルバ、ん、あ、ふぁ、ん、あっ!」
「カサンドラ、も、もう、い、ん、あ、あ、あっ、あぁあ、ん、あぁああ!」
グッと腰を押しつけ合う力が増し、宙に腰を浮かせたままピンと背筋が伸びる。密着したマンコとマンコの隙間からは、だらっだらと愛液が垂れ落ちていた。
まあこの程度なら私らには軽いじゃれ合いでしかないから、そんなに息を荒げることもないんだけど……なんかまだハアハア言ってるのがいるなぁ。
「おやおや、まだ逝けてないのがいるな」
私の言葉も白々しいね。ミネルバにベルト付けられてる坊やがまだもがいてる。たぶんベルトが付いてなかったら、見てるだけで何度か逝ってたんじゃないか?
私らが混じり合ったことで部屋に漂う淫魔香の濃度がかなり増してるからね。慣れてない坊やみたいな男なら、香りだけで逝けちゃうだろう。なのに私らの痴態を見せ付けられちゃ、もう脳みその中桃色でいっぱいいっぱいなはずだ。
「今日のところはこれくらいにしておくか……どう処分するか、決めておけよ?」
言いながら、麗しのミネルバが哀れな青年に「慈悲」を与える。
「あぁああああああああ!!」
スルッ、とベルトの拘束が解かれたその刹那だった。暴れる坊やはその勢いのまま、飛び散る精液を周囲にぶちまけた。ドクドクと白いのが止めどなく流れ出て……なかなか止まらない。このままじゃ白いのだけじゃない、なんか色々飛び出してくるんじゃと思ったけど、流石にソレはなかったか。白いのが止まったところで、今度は坊やの頭ん中が真っ白になったみたいで、ガクッと崩れるように倒れかかった。
「まったく、どこまでも無礼な男だ」
鎖に繋がれた首輪が坊やの喉を締め付ける前に、ミネルバが片手で支えてやっていた。
「こんな様で我が部隊に入隊する気だったとはな……呆れる他ない」
確かに今の坊やじゃまともに剣闘士が務まるか疑問だけどね。復讐のためとはいえ、この程度でこの闘技場に入り込むなんて……だからこそ、尚更気になるんだけど……ただ今はそんなことよりも重要なことがある。
「やっぱ……物足りねぇな」
むしろミネルバと軽くじゃれたもんだから余計ムラムラしてきた。
「うし! レイリーにしてもらおうぜ」
やっぱそれが一番だ!
「バカを言うな。主は今公務中だ。邪魔をするわけにはいかん」
公務ぅ? レイリーにそんなたいそうな仕事あったか? まあ一応「街の支配者」だけどさ、私らのご主人様は。
「公務って、具体的に今何してんだ?」
「確か……エリスと共にガルザック王国の大使と面談中のはず」
「ってことは、どうせアリスも交えて乱交すんだろ? よし、それに混ぜて貰おう」
むしろちょうど良いんじゃない? このタイミング
「まったく、お前という女は……前にも似たようなことをしでかしたばかりだろう? 主はともかくエリスとアリスに恨まれるぞ」
あー、そういやあったねそんなこと……でもその代わりこっちでの乱交に二人を招待したりして、穴埋めはシッカリしたぜ? 穴という穴はシッカリ埋まったぜ? それに……ああ言ってるミネルバも、しっかり鎧を着直して行く気満々じゃないか。
私らは贄のメルに坊やの後始末を言付けて、早々にレイリー達がいる屋敷へと向かった。股間を濡らしたままね。
暗殺を企てた青年が捕まり、牢獄に入れられる。まあ普通なら拷問を受け情報を搾り取られた後に死刑ってのが定番? それはたぶん、ここ金色の7番街でも通用するパターンだと思う。だけどそれをそのまま適応するほど「芸」が無いやり方なんてしないけど。
まず情報の収集。これはこの坊やが捕まった時とっくに終わってる。エマのサイキックって力によってね。だから後は処分するだけなんだけど……坊やの言っていたことが気になって、とりあえず後回しにしてた。
で、気になっていたことがハッキリしたから……こうして、私は坊やの処分を実行しに来たわけ。ただその前に、私なりの「慈悲」を、この坊やにかけてやることにした。あーでもこれは……むしろ「拷問」かもしれない。
坊やは牢獄の中にいる。捕まったときと同じ服装だけど、手は縛ってない。首輪はしてるけど、あの時とは違う首輪……逃走防止用の魔具が付けられてる。この首輪をしている限り、坊やは許可無くこの牢獄からは出られない仕組みだ。私は鍵の掛かっていない扉を開け、坊やの前まで歩み寄る。そして無言のまま、膝を抱えうなだれている坊やの足下に書類の束を投げ寄こした。
これはなんだと、見上げる坊や。その目に、捕まった当初に見せた殺気は全く感じられない。まああれからあの手この手で「搾り取った」からね……闘技場にいる女達、それもドSな連中が総出でこの坊やをいじり倒したからなぁ……エマから聞いた話じゃこの坊やは童貞らしいけど、それはまだ守られてるよ。だけど給仕達による全身フェラ攻めからハーフオークによるパイズリ、ドラウ(ダークエルフ)による鞭打ちと蝋燭攻めなんかまで経験してる。つまりは、「童貞だけど性経験は豊富」な状態。それも淫魔香を嗅がされながらだからね……今じゃすっかり「ドMのケイトくん」で闘技場内に名が知れ渡ってるよ。
けど普段は……今もだけど……淫魔香の誘惑に耐えている。というか、魔具によって淫魔香の効果を受け付けないようにしている。淫魔香の影響を消し去る魔具は、今じゃ金色の7番街に入るときには欠かせない魔具として広く流通しているからね。もちろん、そんな魔具を作って売りさばいてるのはレイリーの師匠であるフレアさん。なんていうか……ま、私が言えることは何もないか。
その魔具を、今この坊やは身につけている。捕まえた当初から魔具は持っていたらしいから、最低限ここがどんな街になっているのかは知っていたんだと思う。だけど闘技場に参加するにはまだ鍛え方が甘いし、街の状況は知ってる癖に闘技場の情報を全然把握していなかったり、色々無謀すぎる計画だったりと……親の仇を討ちに来たにしては、ちょいと腑に落ちない点が多い。エマがこの坊やから読み取った記憶は間違いないと思うけど、不明瞭なことが多すぎてね。
もっとも、そんな事を気にしていたのは私以上にこの坊やから情報を吸い出したエマだ。だから私が彼女の元にこの資料……坊やに投げ寄こした情報を求めに来たときには、もうすっかり準備が成されていた。流石だよ……と褒めたいところだけどさ、あいつ私の足下みやがって……情報料として、大事な大事なレイリーとの一夜を譲れとか言い出しやがって……交渉の結果、どうにか3Pでってことにしたけどさ……苦手なんだよ、交渉とか駆け引きとかさ。だから私は判りやすく「叩っ切る」とか「奪う」とか、直接どうにかしちまえる方を好んで来たんだけどね。
さて私が苦労してエマから手に入れたその資料……今坊やが必死に読んでるその資料には、坊やの父親の事が書かれている。新緑の30番町にいた騎士、カイン・マクルファー。名前は全然覚えないけど、あの町にいた騎士についてはよく覚えている。だからこそ、私はこの坊やをすぐ処分するのを躊躇ったんだ。本当にこの坊やがあの「エセ」騎士だとしたら……。
「嘘だっ!」
資料を床に叩きつけ、坊やが私を睨んでいる。目の色が変わる……ってのは、今の坊やみたいな事を言うんだろうね。覇気の無かった目に、殺気がみなぎってきたよ。
「こんなの……嘘だっ! 父が、父さんが……こんなこと、するはずがないだろっ!」
自分の立場も忘れ、坊やが私に掴みかかってきた。私の胸元……と言ってもほとんど露出してるけど、首から胸の谷間へ通っている紐のような私の服を掴み、そのまま絞め殺そうって勢いでグイグイ引っ張っている。
「事実だよ。坊やが知らなかっただけでね……あんたの親父は、盗賊だった頃の私に「商談」を持ちかけてきた。その内容が気に入らなかった私は、あんたの親父の首を刎ねた。私が坊やの仇だってのは間違いない……」
「違う! 父さんは、父さんは……町を狙っていたお前に殺されたんだ。だけど父さんの強さに臆(おく)したお前が、町を襲うのを諦めた……そうだ、そうなんだ!」
「そう、教えられてきたのか……」
「それが……だって、それが……」
仇の胸で、哀れな青年が一人泣き崩れていた。流石の私も……少しは同情するよ。
私の記憶とエマの資料はほとんど変わらなかった。坊やの親父、カイン・マクルファーは確かに新緑の30番町を守る騎士だった。けど、性根はとても騎士とは呼べないね……腐っていたんだよ、アイツは。けれどこの坊やは、「りっぱな騎士」としての父親しか知らなかったんだろうね……いや、どこかで疑っていたのかもしれない。だからだろう、言葉では嘘だと言い激昂したけれど、今こうして泣き崩れながらも資料にあった「真実」を自分の中で認めつつある……認めたくなくても認めるしかない、そう思えるだけの「根拠」が坊やの中にもあったんだろうね。それがなにかまで、私にゃ判らないけど。
新緑の30番町は「村」よりは裕福だったけど、「街」ほど施設が整ってはいない、そんな「町」だった。そんな町に「騎士」がいるってのは珍しい方だ。マクルファー家は裕福とは言い難い町を守る騎士の一族……まあそこまでは私も知らなかったけど、資料によるとそういうことらしい。で、町の警備なんかはそのマクルファー家を中心とした、半分自警団みたいな組織がまかなっていた。一応町の領主が自警団を監視していたはずだけど、領主とマクルファー家とは古い付き合いで完全に信用しきっていた……ま、小さな町だったからね。よくある話って言えばそれまでだ。
そんな町だったから、マクルファー家は町の人達から信頼されていた。けれど坊やの父カインはその信用と立場を悪用しようとした……いや、もうしていたのかもしれない。少なくとも、あいつは自分の優位な立場を利用しようとして極秘裏に私へ近づいてきたんだ。
「……盗品の管理、処分、流通……それを一手に町で引き受ける。それが交渉の中身だったね」
無駄に偉ぶった交渉態度……うっすらと思い出してきたよ。アイツは安全に盗品を売買できるルートを確保してやると、私に持ちかけてきた。その態度が気に入らないから、私は問答無用で首を飛ばしたんだった……だってさ、そんな場所必要あるかい?
それにこんな話信用できるかい? 当時の私は奪った財宝を各拠点に分散させ管理するほど、「他人」ってのを信用していなかった。それに奪った物を売りさばいて儲けようとも思ってなかったからね……欲しければ奪えば良い。なんでもそうしてきたから、無理に利益なんか求めてなかったし。それでも財宝を溜め込んでいたのは……なんでだろうね。正直、今でもよく判らないよ……国と「絆」を失って出来た穴を、埋める何かが欲しかったんだろう……ま、今となっちゃどうでもいい話か。
ともかく、私は気に入らないって理由だけでそいつの首を刎ねた。そして二度とつまらない気を起こさせないために、その首を町までわざわざ届けに行った……「眼帯をした大女」が騎士の首を投げ捨てに来たってのは町の中ですぐ広まったはずだから、「カイン・マクルファーを殺したのは隻眼のカサンドラだ」って、すぐに判っただろうね。
「あんたの親父は、町を利用して私を抱き込もうとした……どんなつもりか知らないけど、「それだけ」は事実だ」
ただ、私利私欲のためだったかどうか……となると微妙みたい。あの不貞不貞しい態度を見たとき、私はまた金絡みの面倒な奴が来たと……交渉だなんだってのが嫌いな私は、勝手にそう判断して殺った。たぶん私の判断は……まあその結果とかは別として……間違ってなかったと思う。盗賊ギルドの調べでも、カインってのが「儲けようとしていた」のは間違いないって記している。だから、なんにしても私にとっては「嫌な奴」という事に代わりはなかった。
だけど、町の人達にしてみればどうだろう?
アイツが提示してきた条件には……町を私の好きにして良い代わりに、町を守れ、とあった。自分が流通とかに使うなら守ることも当然だろうって、まあ大ざっぱにするとそんなことを言っていた気がする。あの町は自警団まがいの連中しかいなかったから、町を取引会場にする代わりに隻眼のカサンドラを護衛として雇う……という「自衛」も必要だったらしい。私は知らなかったけど、資料によるとあの町の周辺にはいくつかの危険な洞窟やら遺跡やらがあって、モンスターが徘徊してるんだそうで……そいつらがいつ町を襲って来てもおかしくない状況らしい。そんな町を、一人の騎士が率いる自警団でモンスター達から守りきれるかどうか……コボルトぐらいならどうにかなるだろうけど、バグベアあたりまで出て来たらアウト、かな。
もし当時の私がそこまで知っていたら……それでも結果は同じかな。私を「利用」しようってのが気に入らないって、やっぱり斬り殺していただろうね。今なら……どうかね。ま、そんなことを振り返っても仕方のないことだけど。
あの騎士は「悪事」を働こうとしていた。盗賊団を取り込もうとしたんだからね。でもその行動が、全て私利私欲から出たものだったか……当人が死んでる今じゃ、盗賊ギルドをもってしても全てを知り得ることは出来ないだろうね。今ハッキリしているのは、私はどんな理由があれ、交渉の内容と態度に腹を立て一人の騎士を殺した。その騎士の息子が、仇討ちに来た。そして今息子は、絶対的な正義として信じていた父の「裏」を知って、泣き崩れている……という、現状だ。
「正義とか悪とか……んなもん、私には関係ない。そして親父の仇をとりたい坊やにも、関係ないだろ?」
何が言いたいのか……私にもよく判ってない。だけど言葉が勝手に口を突いてでる。
「それを見せたのは、知る必要が坊やにあると思ったからだ。苦しむことになってでもな」
それでも仇を討ちたいというなら、そうすれば良い。返り討ちに遭う覚悟もあるなら。だけど……
「これでもまだ「自分の意思で」私を殺りたいってんなら今からでも好きにしな。このまま首を絞めてみるか?」
服と言うより紐のような、坊やが手にしているその布をグッと引けば、そのまま私の首を絞められるだろう。まあ坊やの腕力じゃ私の首を絞められるとは思えないけどね。だけど何もしないで殺されるよりはマシじゃね? そう、どっちにしても坊やの命運はこっちが握ってる。もう坊やに残っている自由はほとんど無い……自由があるとすれば、坊やの「気持ち」だけ。その気持ちも、今の坊やを自由にはしていない……そう、資料に書かれていたよ。
「反政府組織……だったか? 新生イーリス復興を目指すとか言ってる怪しい連中……そいつらの口車に乗せられた。もう坊やだって気づいてんだろう?」
資料にあったのは……新緑の30番町に、最近「新生イーリス」を目指す反政府組織が拠点を設けたこと。そいつらによって、町の人々の「反ガルザック王国」の気宇が高まっていること。そんな人々の一人が、坊やだって事……そしてそいつらの「手助け」もあって、坊やがこの闘技場に潜入できたこと、なんかが書かれていた。つまり……坊やはそいつらに、そそのかされたってわけよ。
坊やはずっと私に対して恨みを持っていたのは確かだろう。だけど本当に仇討ちする気だったかどうかは……微妙だね。もしする気だったのなら、ずっと計画を練って剣の腕も鍛えていたに違いない。なのに、付け焼き刃としか言い様のない実力と、生半可な知識。なのに淫魔香避けの魔具を持っているという周到さもちょっと持っている……そそのかされたってなれば、全部納得できるだろう?
「お前は……お前は……父さんの仇、仇なんだ!」
服が首に巻き付き、締め付けてくる。プルプルと、腕を振るわせる坊や……だけど私は、顔色一つ変えてない。坊やの必死な力も、私の首の筋肉には劣っている……その結果がコレ。
「チクショウ、チクショウ! 俺だって、俺だって……こんな、こんなさぁ!」
泣きながら、叶わぬ相手に吼え続けた。叶わぬ仇討ち、父親の真実、自分を放り込んだ組織……全てに、坊やは怒りを露わにし吼え続けた。
「なんだよ、なんだよ……チクショウ、俺は、俺はぁ!」
正義か悪か……動機に、そんなものを掲げて人は動く。だけどさ、結局……そんな価値観に踊らされて、自分の「気持ち」を縛っちゃ意味がない。そ、私も……自分を縛ってたんだよな。それを解放してくれたのがレイリー……だから私は、全力で自分の「気持ち」をアイツに捧げた。それが正義か悪か……アイツがしてくれたこと、私が今までしてきたこと、そんなことに正義だ悪だなんて言い出すのは意味が無いことなんだ。とりあえず私とレイリーにとってはね。
じゃあ、この坊やはどうよ……色んな物、思い、策略で気持ちががんじがらめにされている。その理由に、私もいる。だったらせめて、私の分だけでも取り除いてやらないとね。これが……正義か悪か、そんなことを問いただす方が間違ってる。
「……気はすんだか?」
泣き疲れたのか、腕が疲れたのか、それとも……坊やは私の服から手を放し、そのままペタリと座り込んだ。泣くだけ泣いて、吐くだけ吐いて、もう、坊やから何も出てこない……また、覇気のない状態に戻っちまった。
「仇を討つんじゃないのか?」
下を向いたままの坊やが、私の問いかけにボソリと答える。
「もう……無理だよ」
自分の無力さを痛感してか。あるいは仇討ちの「意味」に戸惑っているのか……坊やの心を支えていた「気持ち」が完全に萎えている。
男ってのはさ……萎えてちゃ役に立たねえよな。いつだって、なんだってそうだ。だから、女は男を「起たせる」役目を担うんだよ。いつだって、なんだってそうだ……ま、大筋はあってるだろ?
抵抗力を失った坊やを、私は軽く押し倒す。されるがままに、坊やは冷たい石畳の上で仰向けになる。私はそのまま坊やの腰を持ち上げ、そしてはいていたズボンを下着ごと一気に脱がす。坊やのチンポが丸見えになってるけど、気持ち同様萎えきってプラプラしてら。
「なんだ、抵抗しないのか?」
問いかけに答える気力すら無いらしい。坊やの代弁をするなら、抵抗するだけ無駄だから……ってところか? まあ今までも散々ここの女達に弄ばれてきた坊やだから、色々悟ってしまっているんだろう。だけど弄ばれている時の坊やは淫魔香を吸い込んで興奮状態にあった。抵抗するどころか積極的にすらなっていたはずだけどね。今の坊やは魔具によって淫魔香の効果を遮断している。どんなに気持ちが萎えようとも、淫魔香を嗅げば心も体もエロい事でいっぱいいっぱいになるから……魔具を取り上げてしまえば、坊やもやる気になるはずだ。
だけど、それじゃ面白くないだろう?
私は坊やをそのまま持ち上げて、逆さづりにして抱える。そしてフニャフニャのチンポをそのまま口に含んだ。
「クチュ、ん、チュパ……チュ、クチュ」
プニッとした触感を舌で楽しむように、私は派手な音をわざわざ立てながら坊やのチンポを口の中で舐め回す。気持ちも萎え、体力も落ち込んでいる坊やのチンポはちょっと舐め回した程度じゃすぐには起たない。けど、それも時間の問題だ。
「クッ……ん……」
僅かだけど、私の足下から坊やのうめき声が聞こえてきた。
「どうした。逆さになってるのが辛いか? それとも……気持ち良いのか?」
坊やの頬に赤みが差してきた。頭に血が上って来た為なのか、それとも……ま、これでも半分淫魔なんだ私は。坊や程度の男をどうにかするなんて、コボルト一匹真っ二つにするよりも容易いね……ああ、普通はコボルトだって簡単に切り倒せないっけ? まあいいのよ、私にはそれくらい簡単だって事。
柔らかかった坊やのチンポも、すっかりカチカチになっている。ここまで硬くすると、この姿勢……坊やから見てチンポを足先へ無理に倒される形になるのは、チンポの根本が痛くなるはずだ。それでも構わず、私はチンポをしゃぶり続けた。
「くあ……ん、く……」
「チュ、グチュ、ジュポ、チュ、クチュ……ん、フフ、落ち込んでたって、こんなにしちまうんかい……」
気持ちとは裏腹に、身体は正直に反応する。こればかりは人の生理現象だからしょうがない。けど、そうと判っていたって指摘されれば恥ずかしいもんだ。ましてや坊やみたいなウブな子にはね。
「親の仇にチンポ舐められて、こんなに硬くするなんてな……しかもこんな格好で。やっぱり坊やは変態か?」
「くっ……」
淫魔香に酔いしれている時なら、侮蔑の言葉も耳に届かないか、良いように脳内で変換しちまうだろう。けど今の坊やは正常……少なくとも淫魔香の影響下にない。先ほどまで無気力だった坊やが無理矢理身体に刺激を受け興奮させられ、その上で痴態を笑われる、なじられる……悔しいだろうね。そう、悔しいんだよ……無理だって投げ出した坊やでも、悔しいと感じるはずだ。今、空っぽだった気持ちが無理矢理快楽で動かされているから、気持ちが言葉一つでまた揺れ動くようになっている。どういう方向へ揺れ動いたのかってのは、まあまた色々、かな?
「どうした、腰が動いてるぞ? そんなに暴れるとこのまま落ちるぞ?」
「う、動いてなん、かっ、くっ!」
ビクッ、とまた腰が跳ねる。尿道に舌の先を突かれるのがお気に入りのようだ。
「どうしようもない坊やだね。魔具を持っててこの様かい……やはり、性根からドスケベの変態だったようだな、ドMのケイトくん」
「ふざけ、る、くっ……」
本当にMかどうかはさておき、私の舌技を受けて我慢できる男なんてレイリーくらいなもんだ。だけど根本から無理矢理曲げてのフェラだからね。逝きたくってもこのままじゃ逝けないだろう。そのもどかしさが、意識と無関係に腰を動かしてしまうのは無理のない話。
「逝きたいか?」
判っていて、わざと尋ねる。坊やからの返事が無いだろうって事も。
「そうか。ならまたこれでも嵌めるか?」
片腕だけで坊やを抱えたまま、私は空けた手で腰から下げていた小さなベルトを取り出して、坊やに上から見せ付けた。けど、坊やは逆さづりの姿勢で顔を上げるのが辛いのか、それとも顔を向けることすら拒否して反抗しているつもりなのか、ベルトへ見向きもしない。まあ見たところでやることに代わりはないんだけど。
「へえ、そんなにコレがお気に入りかい。なら付けてやろう」
坊やはこれまでに、女達に弄ばれる際散々射精を規制する貞操帯を装着させられている。坊やはおそらく今回も同じようにベルトを嵌められるのだろうと想像していることだろう……けど、それは半分だけ正解。私が坊やの根本に嵌めたベルトは、これまでの貞操帯とはちょっと違う。
ベルトを嵌めてから、私は坊やを床に下ろしてやった。坊やは視線だけで、ベルトを確認する。直接触れようとしないのは、ここのお姉様方に躾けられてきたからなんだろうな。
「これ……」
いつもとは違うベルトに、チンコいきり起たせながら困惑する坊や。一目見て判る違いは、このベルトにはつなぎ目がない。素材は革だけど、まるでゴムみたいにギッチリとチンコの根本を締め付けている。
「特性の貞操帯でね。ちょっとした「呪い」が掛けられてる」
つまりこれは魔具なわけで……まあこれ以上の説明は不要だよな?
「そいつは坊やの「感情」に作用するようになってる。外すことは私にしかできないけど、「気の持ちよう」で射精するだけなら出来るよ」
どんな感情の時に射精できるのか……そこまで教えてやるつもりはない。だけどヒントくらいは教えてやるか。
「さ……出したいなら、色々試してみな」
私は床に腰を下ろして、少し背を倒しながら坊やを手招きした。さぁて、坊やはどうするかな……ギンギンにチンポおっ起たせたまま、坊やはヨロヨロと私に近づいてきた。
「へえ、まずはそうするんだ」
坊やはまず、私の胸を掴んできた。むちゃくちゃに胸を揉みながら息を荒げ、じっと胸を凝視している。私は坊やがしたいようにさせてやるため、浮かせていた背を床に付け寝そべった。
「坊やは胸が好きなんだな」
答えることなく、坊やはただひたすらに胸を揉み続けている。だがこのままじゃ埒があかないと思ったのか、揉んでいた胸を横からグッと中へ寄せ、胸の谷間にチンコをねじ込んできた。腰をむちゃくちゃに振りながら、坊やはチラチラと私の顔を見ている。
「パイズリもお好みかい? どうだ、私の胸は気持ち良いか?」
答えはない。けど、その表情を見ていれば聞く必要もないね。淫魔香が利いてないってのに、なんてだらしない顔だろう。
「さっきの話、聞いてなかったか? そのベルトは坊やの気持ち次第で射精できるようになるんだ。自分の気持ちを正直に話したらどうだい? そうやって確かめていかないと、一生射精できねぇぞ?」
私に促され、ようやく坊やは感情を言葉にし始める。
「……気持ち、良い……です……」
もうこのまま胸の中に出したいって顔で、でも言葉は控えめに、坊やは白状した。
「そうかい、気持ち良いんだ……親の仇を相手にしてか?」
一瞬、腰が止まる。だけどその腰はすぐに動き出した。
「そうだよ……くそっ、だって気持ち良いんだから、仕方ない、仕方ないだろ!」
吐き出す言葉同様、腰の振り方も荒々しくなってきた。うっすらと、目尻には光る物が見えた。
「私が憎いか?」
「憎いよ。憎いに決まってるだろ! 父さんは、父さんは……俺の父さんは……くそっ、くそっ!」
快楽の興奮が様々な感情の起伏を取り戻している。坊やはまた復讐の炎をたぎらせ始めながら、でもその相手に腰を振り続けた。
「本当に復讐したかったのか?」
私の胸を掴む坊やの手。その手の上に私の手を当てながら、私は坊やの「気持ち」を吐き出させる。
「したかったさ。でも、本当は……俺、俺! 父さんが、父さんが……だって、父さんは……」
ポタポタと、大粒の涙が胸に落ちてくる。けれど腰の動きは止まらない。あらゆる「興奮」が坊やを支配し、理屈ではもう説明の付かない行動を取らせている。
「ごめん、父さん……俺、俺……くそっ、なんだよ、なんで俺こんなこと……ああ、くそっ、くそっ!」
気が狂った……と言ってしまえばその通りだろう。だけど人の感情なんてさ、言葉一つで表現できるほど単純じゃないだろ? 狂ってるように見えるコレが、坊やの気持ち、全部坊やの気持ちなんだよ。
「お前なんか、お前なんか!」
胸をギュッと握る坊や。その手を私がそっと包む。胸に爪が食い込んで、うっすらと赤いすじを流し始める。けど私は、そのまま坊やがしたいようにさせてやった。
「気持ち良いか?」
「気持ち良いよ!」
「憎いか?」
「憎いよ!」
「出したいか?」
「出したいよ! お前なんか、お前なんか……汚してやる。俺の、俺の精子で、胸を、顔を! 汚してやる、出してやる。このまま、このまま、ああああああああああ!!」
咆吼は二つの口から……声と精液が、坊やの感情をそのまま体現するかのように吐き出される。
「ハァ、ハァ、ハァ……で、出た……」
結局、どうやって射精できるようになったのか、坊やは理解できていないだろうね……まあ今はそれでも良いか。にしても……若いね。昨夜だってたっぷり絞られただろうに、こんなに出すなんて……私は顔に降りかかった精子を指ですくい、それを舐め「若い味」を堪能する。
「さあ坊や……まだ出したいかい?」
私は坊やに私からどくよう促す。そしてそのままの姿勢で自分のマンコに両手を伸ばして、中が見えるようにクパァと開いて見せた。
「坊やはまだ童貞だったろ? ここに入れてみたいか? 憎い女のここにさ」
まだ息を荒げている坊や。それに呼応したかのように、ムクムクとまた坊やのチンコが大きくなっていく。
「……入れたい……」
呟くように、だけどハッキリと、坊やは答えた。
「そういう時は、どう言えば良いか知ってるか? ここのお姉さん達は坊やに何も教えてないかい?」
淫魔香に支配されながらでも、記憶はあるはず。坊やは身体を震わせ生唾を飲み込み……口を開く。
「入れさせて……くだ、さい……お姉様……」
「それじゃダメだね。もう一度」
「入れさせてください、お……カサンドラ、様……」
「ダメ。もう一度」
「入れさせてください、カサンドラ様!」
「もっと具体的に!」
「お、俺のチンコを、カサンドラ様のまん、マンコに、入れさせて、入れさせてください!」
「どうして入れたいんだい?」
「気持ち良くなりたいからです!射精したいんです!」
「親の仇を相手に?」
「そうだよ! あんたは俺の、父さんの仇だよ! だけど、だから、だから入れたいんだよ! あんたが、あんたに、入れたいんだよ!」
「言葉がなってないね。もう一度」
「くっ……カサンドラ様に入れたいんです! 憎いけど、気持ち良くなりたいんです!」
「……ほら、いいぞ」
うちのミノタウロスだってここまで興奮しないだろうって勢いで、坊やが私に飛びかかってきた。慌てるもんだから入れたいのに何度もチンコを滑らせてちゃって……仕方ないから私が坊やのチンコを握って、導いてやった。そしたらもう、凄い勢いで腰を振り始めちゃって……童貞チンコがそれでも射精しないのは貞操帯のおかげだろうね。
ガクガクと腰を振り、ハァハァと息を荒げ……その息が、胸に掛かり始める。そして息はやがて舌に替わり、ヌメッとした感触が乳首を包む。
「胸好きだな」
「ああ、好きだよ……胸、胸、ん、チュ……」
餓えた赤ん坊だってこんな吸い方はしないね。無我夢中ってのはこういう事を言うのかな……坊やはただひたすらに腰を振って胸を吸ってる。
「坊やは私に夢中だな」
「だって、だって……気持ちいいし、あんた……カサンドラ様は、俺の……俺……ん、チュパ……」
誤魔化すように、また胸を吸い出す坊や。色々と奉仕の仕方ってのを叩き込まれたはずだろうに……なってないね。ま、どうせ期待してないから良いんだけど……それに奉仕も何も、みんな「これから」だろ?
「坊や……もっと気持ち良くなりたいかい?」
「気持ち良く……気持ち良く、ああ、ああ! りたい、なりたい、です!」
思わず口元をつり上げてしまう私。結局私も……ドSなんだな。
「だったら誓いな。私の「ペット」になるって」
自分の命を狙ってきた男をペットにする……セイラが喜びそうなシチュエーションだけど、私も嫌いじゃないらしい。
「ペット……ペット……」
突然告げられた「契約」に、戸惑うのは当然だろう。だけどペットと呟く度に腰が激しくなり、チンコの大きくなってきた。「気持ち」はもう決まったも同然だな。
「ほら、ちゃんと言いな。気持ち良くなりたいならね!」
「ああ、ペット、ペットに、なります、なります! 俺、カサンドラ様のペットに、なり、なり、なぁあああああああ!」
膣に熱い「気持ち」がドクドク流れ込んで来る。坊やはソレを全部私に飲ませようとしているのか、ピッタリと腰を押しつけてプルプルと子犬のように身体を震わせていた。
「たっぷり出したな……どうだ、とても気持ち良かっただろう?」
ぐったりと胸に倒れかかった坊やの頭を撫でてやる。坊やからの返答はまだ無い。
「ほら坊や。気持ち良かったんならちゃんと返事をしな。ペットらしくな」
すると坊やは、少し考えたのか……ちょっと間を開けてから答えた。
「……ワン」
「ちょっ、そうきたか。アハハハハハ!」
まさか犬の鳴き真似をするとは思わなかった。そこまで求めていたわけじゃないんだけどね。こりゃ、本当に良いペットになりそうだよ。
「で……結局、あの若造をどうするつもりだ?」
ミネルバが剣を両手で地に立てた姿勢……指揮官らしい姿勢で部下達の訓練を見つめながら、すぐ横で座り込んでいる私に尋ねる。
「ん? だからペットにしたって言ったろ? まあ私のっていうよりは「この闘技場の」って感じだけど」
当のペット、ケイト・マクルファーは……ハーフオークの先輩に筋トレでしごかれていた。けど全然基礎がなってないケイトは満足に筋トレも出来ないようで……この様子じゃ、罰と称して夜もしごかれるだろうな。筋肉的な事じゃなく、チンコ的な意味で。
「それは聞いた……だが良いのか? あいつはお前の命を狙っているのだぞ?」
ペットになったからって、憎しみが消えるわけじゃない。一時快楽に飲まれペットになると宣言したとはいえ、その言葉に強制力はない。取り付けた貞操帯だって、別に復讐心を和らげるような効果があるわけでもないしね。
あの貞操帯は、被装着者の感情が爆発するとリミッターが解除されるという「呪い」が掛けてある。坊やが射精できたのは、肉体だけでなく「気持ち」も解放されたから……言葉にして感情を吐き出すことで、射精も出来るようになる。そーいう仕掛けだ。だから……私を憎む感情を爆発させるだけでも、リミッターは解除される。まあ当然、それだけじゃ肉体の方が射精をしないだろうから意味が無い……憎しみを織り交ぜてでも、感情を高ぶらせることが坊やの射精に繋がるって事だ。もちろん、ただたんに性的な興奮をするだけでもOKだけど……普通に射精するときよりもかなり興奮しないとダメだね。普通じゃない興奮をするためにはどうすれば良いか……その方向性を決めるのは、坊やの「これから」に掛かってる。
「その方が面白いじゃないか」
ニヤリと笑って見せた私に、ミネルバが溜息を漏らした。
「……このお人好しが」
「なんでそうなるんだよ」
普通悪趣味だとか、そう言わない? ま……流石は私が二番目に愛してる女だけのことはあるねミネルバは。こっちの考えはお見通しか……。
とりあえず、私は坊やのしがらみを取り除いてやりたかった。この闘技場から出ることが許されなくなった坊やでも……いや、ここから出られなくなったからこそ、これまでのしがらみから解放されるチャンスだった。その上でまだ私を憎むならそれでも良いだろう……これも因果ってことでさ。
「まあ良い……あの手の「坊や」は、確かに必要だからな……屈強な男達ばかりでは、ここの女達も飽きてしまうだろうし」
「ま、そういうことだ」
虐めがいのあるMっ子は、Sっ気の強い女剣闘士のお姉さん達にはモテモテだろう。ミネルバが言う通り、実際あの手の「ペット」は必要だったんだ。その為に用意した……ああ、そういうことにしておこうかな、これから色々説明するのにはこの方が楽そうだ。
「……それにしても、もう少しどうにかならないものか……」
しごきに耐えかね、坊やが倒れたようだ。それでも鞭を打つハーフオークだったが、ピクリともしない坊やの限界を悟ったのか、そのまま担いで練習場を後にした。まああれでは……ペットとしてはさておき、剣闘士としてはなあ……。
「ま……これから、だろ?」
そ、これから……あれでも根性は私が鍛えたからね。もう無気力になることもないだろう。坊やの人生は、これから……この閉鎖された世界で再び動き出す。それが他者から見て幸福か不幸か、私のしていることが正義か悪か……そんなことは関係ない。坊やがどんな「気持ち」をもって生きていくのか……全てこれから、そして全て坊や次第……全ては「気の持ちよう」って、そういうことだね。