人々を魅了し必要とあらば淫行もする。その際微量ながら精気も吸っている。悪党から搾り取るのと比べ当然物足りないのは否めないが、ほぼ毎日多くの者から行っている摂取であるため必要な量は十分確保できているが……これだけでは足りない物がある。
血だ。淫魔として精気は事足りるが、吸血鬼としてはやはり血が足りない。
精気のように血も微量ずつ魅了する人々から摂取出来れば良いが、僅かでも血を吸えば、そのショックから魅了の効果が消えてしまう。吸血鬼にも魅了の力はあるのだが、淫魔の魅了とは「質」が違う。主に色香で魅了する淫魔の力とは異なり、吸血鬼の場合は魔力による洗脳に近い。よって淫魔の力で魅了した者に対して牙を立てると、相手の心身、主に人としての本能が「危害を加えられた」と察知してしまい、魅了が溶けてしまうのだ。また吸血鬼の力で魅了すれば吸血行為に大して過敏な反応は示さないものの、淫魔香の力を使わない分魅了し続ける人数がかなり限定される。だから街を支配するという目的からすれば、やはり淫魔香を用いた淫魔の魅了を続ける方が良い。
中途半端な力しか持てていないとはいえ、半分は吸血鬼。やはり血はどうしても必要。どうにかしてこの問題を解決する必要があったが、これを解決させたのはセイラのとんでもない提案からだった。
「お待ちしておりましたご主人様。本日「贄」を勤めます者達も既に準備を整え待機しております」
乳首も秘所もリボンほどの幅しかない細長い布で隠しただけという破廉恥な衣装を身にまとったセイラが、微笑みながら俺を出迎えた。こんな格好でもここでは「司教」の正装だってことにしているんだから驚きだ。
ここは闘技場にほど近いが大通りからはだいぶ離れた一角。ここには、かつて女神を崇める隠し教会があった。今この場で祀られる神はないのだが、その代わりここに集う者達は神とは異なる者を崇めていた。
この俺と、そして俺直属の眷属達をだ。
この街は基本的に全ての信仰が自由……邪神を信仰していても咎められることはなかった。そしてここでは数ある邪教の中でもローエ教団が幅を利かせていた。苦痛と苦悩を悦楽とし、それらを受けることと与えることを神託とする者達が、ここには集っていた。だがセイラの一件以降俺達とは敵対関係にあるローエ教団をこの街で野放しにするわけには行かず、また闘技場の運営にも多く紛れていたローエ教徒を幾人も魅了していたこともあり、隠し教会を含めこの街のローエ教徒を「回心」させた。その結果生まれたのが、セイラを司教とし俺達を崇める「信者」達だ。
そもそもローエ教徒は危ない教義を除けばSM趣味のド変態どもと言い換えられた。苦痛や苦悩を与えるだけでなく受けることも快楽としていた彼らにとって、これまで信仰していた女神の教えを捨てること自体が苦悩であり快楽である。そこを利用しながら淫魔香の魅了効果を使い、セイラはローエ信者達に苦痛や苦悩のみの快楽だけでなく、もっと広く快楽を求めるべきだと説き伏せ回心させていった。その結果、魅了とはまた異なった「信仰」という忠誠を得ることに成功した。正直沢山いるローエ信者達を短期間で回心させるのは無理だと思っていたんだが……セイラ自身が元々ローエ教徒だったこともあってか、予想以上の速さで「教義」は彼らの中へ浸透していった。
信者達は苦痛苦悩以外の快楽を再認識し、被虐行為だけでなく羞恥や奉仕にも快楽を見出していった。ようするに被虐のみだったSMプレイが羞恥や奉仕も受け入れるSMプレイへと昇華していった、真の変態になったといったところだな。ここまでならローエの教義を過大解釈するという見方で導くことも出来ただろうが、更にそこから俺や眷属達を崇拝するという心境にまで持って行ったのだから、セイラは本当にとんでもない司教だよ。
「どうぞこちらへ」
セイラと共にたどり着いた教会の奥。その扉を開けると、淫らなハーモニーが幾重にも耳に飛び込んできた。
「ああ、レイリー様、セイラ様……」
「ふあ、ん、ああ、ど、どうか我らに、ん、あぁあ! 我らにめぐ、恵みを、お、ん!」
「ち、血とひき、ひきかえ、に、い、んっ! ひき、かえに、われら、我らに恵み、恵みをお与えくだ、さ、いぁああ!」
今日の「贄」は五人か。ちょっと多いな。
俺は信者の証である装束……形こそ一般的なシスターの服装ながら、半透明な生地で織られた装束を着た五人の女達を見回しながら、彼女達に歩み寄っていく。彼女達は膣に大きめの張り型を入れ、それを激しく弄りながら俺に懇願の眼差しを向けていた。
彼女達こそが問題解決の応え。贄とは、血を提供してくれる信者のことだ。
信者達の信仰対象は俺達。では俺達の何を信仰しているのかというと、それは当然快楽だ。苦痛や苦悩も含めた、あらゆる快楽の探求者となった彼らは、苦痛や苦悩を与えたり受けたりするのではなく、快楽を与えたり受けたりすることを目的とし、これまで利用していた「苦毒」という毒薬兼麻薬を淫魔香に切り替え信仰を続けている。そして彼らが求める淫魔香を作り出せるのは眷属達。求める物を生み出す者を信仰するのは当然の流れと……まあそういうことだ。そして眷属達から淫魔香を貰う代わりに俺達へ血を提供するのが贄の務めになる。
実は信者達も含め魅了している富豪や商人達も、俺達が半分吸血鬼であることまでは知らない者が多い。淫行をしている以上淫魔であることは気付かれてはいるが、吸血にまで至っていないので吸血鬼でもあることを知らないのだ。しかし贄となる者からは吸血を行うため、贄となる者達は俺達の完全な正体を知っている。というよりは、知っている者しか贄にはなれない。だから信者達の中でも贄が何をして何をされるのかは知らない一方で、贄が「選ばれた信者」だという認識があるため、贄になることは一般的な宗教で言う「特別な洗礼を受けた者」として尊敬される。信者達は贄になれるよういっそう快楽を追求し信仰心を深めていくようになるのだ。
贄の選考はセイラをはじめ眷属全員が行う。ぶっちゃけ、彼女達が気に入った者で、かつ魅了で縛らなくても裏切らない忠誠心を持ち合わせた者だけが選ばれている。そうやって選ばれた者は選んだ者専用の贄となり、定期的に血を提供してもらっている。例えば盗賊ギルドのチップマンはエマの贄であり、カサンドラお気に入りのミノタウロスは彼女の贄といった具合に、眷属達は専用の贄を何人か決めて血を吸っている。当然だが、贄を吸血鬼や淫魔にしてしまわないよう細心の注意は払っている。
しかしこの方法でいくと、俺専用の贄が出来ない。そこで俺の贄となる者はまた別の選考方法で選ばれるようにしていた。
「もうかなり出来上がってるな……待たせすぎたか?」
「焦らされるのもまた「修行」の一環ですわ、ご主人様」
修行ねぇ。クスクスと笑いながら言われても説得力無いけど。まあ宗教って見方をするなら、修行というカテゴリーに当てはめるのもアリなんだろうな。
ここにいる五人の娘達は、俺にあてがわれた贄。眷属達が厳選し推薦してきた「兼用」の贄だ。兼用というのはようするに、差し出してきた眷属の贄でもあり俺の贄でもあるということ。当然ながら兼用の贄は女性限定。俺に野郎の血を吸う趣味は当然無い。
既に贄として眷属達に身も心も捧げている娘達だけあり、快楽への探求はかなり深いところまで進んでいる。彼女達にとって血を捧げるという行為そのものが最高の快楽であり、こうして俺に血を吸われる前に自慰で心身を「清める」のは神聖な儀式なのだ。
ちなみに、こんな教義つーか「設定」を決めたのはほとんどがセイラだ。心を縛り付けるための信仰、その信仰を強めるための教義というものは、まず信じ込ませる事が大切なのだという。信じ込ませ、それを守ることが強固な信仰になるのだと。第三者から見て歪んだ教義でも、信じ込んだ者達にとってそれは清らかな秩序であり、絶対的なもの。そう信じれば信じるほど信仰は深まり教義に固執する、つまり絶対の忠誠を得られる……邪教徒が身の破滅を知りながらも教義に没頭していくのにはそういった訳があるとセイラは言う。流石は元邪神の信望者だよ。自ら新興宗教を立ち上げるのもお手の物ってね。
さてセイラの生み出した教義に心を奪われ、絶対的な神を前に自慰という名の清めを続けている彼女達。五人の中にはよく知った顔もいるのだが、始めて見る顔もいるな。俺はその娘が誰なのかをセイラに尋ねた。
「こちらの二名はティティ推薦の贄となります」
「ほう、ティティのね。ということは、スラム街出身なのか?」
俺の問いに、セイラは頷いた。ここにいる五人は皆張り型以外に何も身につけていないから、身なりで出身を判断するのは難しい。むろんこの場において出身など意味は成さないが。貧民だろうが富豪だろうが、快楽の前に人は平等……神とか愛ではなく快楽というあたりが我々らしいな。
この街は金で彩られた街。それ故に貧しい者達が金と成功を求めこの街へと流れ着いてくる。だがここへたどり着いたところで簡単に儲けられるわけもなく、多くの者が貧しいまま、それでも這い上がることを夢見ながら暮らしている。そうやって出来た一角がスラム街。ティティはそんなスラム街の出身。貧しさからスリを覚え、そのスリに磨きを掛け「成功」していった盗賊だ。だからなのか、ティティは今でもスラム街へ頻繁に顔を出し、這い上がろうとする人々の世話を焼いたりしている。まあ世話を焼くと言っても盗賊ギルドの仕事を回したりとか、自分の仕事を手伝って貰うとか、その程度なんだがな。
さてそんなティティが俺の眷属となり、この街の「秩序」が様変わりしたことで彼女の世話焼きも少々方向性が変わってきた。今まではギルドの中でも仕事は盗みに関わることばかりだったが、ギルドマスターのエマが同じ眷属となった事でギルド全体に顔が利くようになっている。その広くなった顔を利用し、彼女はギルドの多彩な仕事をスラム街へ持ち込めるようになった。持ち込むと言うよりは、彼女がスラムの人々をギルドの各部門にスカウトしている、と言った方が正しいかな。これまでのように簡単な仕事の紹介から、娼婦やメイド、闘技場の戦士といった人材への勧誘も行っている。そして当然、その勧誘は新興宗教への誘惑も含まれる。
「随分と若いな……おっと、一人はティティと同じハーフリングか」
セイラに呼ばれ、二人の少女が手の動きを休めることなくよろよろとこちらへ歩み寄る。見たところ十代も半ば、いやそれよりもう少し若い印象のある二人だ。しかしうち一人はハーフリング。見た目とは裏腹に成人した女性だ。
「あっ、ん、よ、よろしく、おねがいします……ん、ハァ、ハァ……」
「あの、よ、よろしく……おねがい、しま、す……ん、ふぁ、ん、あぁ!」
信仰的には神に等しい俺を前にすれば多少なりとも緊張しても良いところだが……上ずった声からはそんな様子は微塵もない。むしろこれから行われる「極上の快楽」を前に、感情を更に高鳴らせているようだ。普通なら、吸血されると思えば身も強張るだろう。しかし彼女達は既にティティの贄として吸血されるのを経験している。その吸血がもたらす快楽を知っているだけに、期待ばかりが膨らむのは当然だな。
にしても……ティティと同じハーフリングの女性は成人しているから良いが、人間の女の子はまだ子供だぞ。なのに贄となり、さらには俺の下へと推薦されるほど信仰が深い……つまり快楽への探求が進んでいるってのはすごいな。もっとも娼婦街にはそれ専門の館があったりもするし、当然そちらへのスカウトをティティもしているだろうから……淫魔となったティティに見初められるほど、この子は本質的に淫乱だったって事なんだろう。
「ティティには随分可愛がって貰っているのか?」
俺の問いに、二人は何度も頷いた。
「ティティ様には、ハァ、良くして、いただいています、ん、てぃ、ティティ様のおかげで、あっ! か、家族も、いま、は、安心、して、くらせています、ん、あっ!」
「ティティ、おねえ、ちゃん、は、や、やさしいから、ん、あっ! いつも、エッチな、こと、いっぱい、おしえて、くれる、の。んっ! おと、男の、人とも、いっぱい、ん、おねえちゃん、と、ふぁあ! 一緒に、気持ち良く、なるん、だよ、エヘへ、ん、あ、んっ!」
二人とも、ティティの話を嬉しそうにしている。彼女達にとってティティは恩人であり、そして誇れる「主」なのだろう。どの贄にも共通して見られる反応だな。皆眷属達を心から愛し、そして信頼しきっている。
「ここへ来るのは初めてだったな……ティティ以外の者に牙を立てられることとなるが、不安や不満はないのか?」
身も心も捧げた相手ティティにだからこそ許される吸血。それを別の者が行うという事が許せるのか。俺はそれを念のため確かめる。
「もちろんです、「性王」様。ハァ、この身を、性王様に捧げられる、えい、栄誉を、んっ! さ、授けて、くださった、ハァ、ティティ様、に、感謝して、おり、ま、す、ん、ああ!」
「せい、性王、さまぁ、ん、だか、だか、ら、ち、血を、すっ、吸って、ください、いい! も、もう、もう!」
まあ当然のことだが……性王ってのはセイラのネーミングだ。こんな恥ずかしい名前、自分から名乗れるわけがない。
俺に対する名称については、眷属達の間で重要な問題としてだいぶ話し合われたようだ。彼女達にとって「ご主人様」という名称は特別で、それを眷属以外の者に呼ばせるのを嫌っていた。そこで考え出されたのが「性王」という名前。いや最初は「性神」とか言い出してたんだが、流石に神は勘弁してくれってことで王に落ち着いたんだよな。正直それでも俺はこの名前が未だに慣れないよ。あ、余談だが教育中のメイドは例外。彼女達は出荷先で相手をご主人様と呼ぶ必要があるため、その言い回しに慣れさせるため俺をご主人様と呼んでいる。
さてゆっくりと質問したり考えにふけっている場合じゃないな。もう二人とも、そして控えている三人とも限界か。
「では頂戴するとしよう……」
彼女達の小さな身体に合わせるため、俺は両膝を付き身長を合わせる。そしてまずはハーフリングの女性を招き、彼女の首筋に牙を立てた。
「は、はい! ああ、とうとうこの日が……ん、ああ! こ、これ、これが、あ、かは、い、あ……」
高揚していた顔は見る見ると青ざめていく。口元はだらしなく歪み、涎が僅かに溢れ始める。身体は小刻みに震え、腕がダラリと力なく垂れ下がる。そして股間からは勢いよく潮が噴き出している。
血を吸われると、人は貧血状態になる。気が遠くなり、視界は暗転しながらも星のような瞬きをも感じる。まるで魂が抜き取られるような、永眠を思わせる感覚は恐怖と安堵が入り交じった奇妙な感情を抱かせ、その感情すら終いには薄らぎ、意識を失う……血を吸われたことのある眷属や贄達が語るにはこのような感覚になるらしい。そしてこの感覚は気を高ぶらせ頂点に達した直後で行われるとより強く感情を揺さぶるらしく、それが癖になるほど気持ち良い……らしい。俺は吸うばかりで吸われることがないから話を聞くばかりだが、少なくとも眷属達も贄達も、この吸血を一度経験すれば世界が変わると口を揃える。吸血に対する恐怖心はなくなり、代わりに強い興奮を覚え、それはある種麻薬に似た中毒性すらあるようだ。むろんそうなる為にはそれまでの下積み、つまり信頼と愛情をシッカリ深めなければならないが。
そもそも吸血鬼による吸血には魅了効果がある。当然俺や眷属達にもその力はあるが、あまり役には立っていない。なぜならば、贄達にはもうそのような魅了効果は必要ないから。
俺は気絶した贄をそっと寝かせ、すぐ側で待ちきれないと待機している少女の身体を抱き寄せた。それだけで、少女は喘ぎ軽く逝ってしまった。
「ご、ごめんなさい……」
涙目で謝罪する少女に、俺は気にするなと頭を撫でながら微笑んでやる。少女はそれで気を持ち直したのか、笑顔で俺の首に腕を回し、牙を立てられるのを待っている。
「はう! ひ、あ、こ、あ……ああ……」
一瞬力強く俺に抱きついた身体も腕も、すぐに力が抜け俺に全てを委ねるようもたれ掛かる。そうしながらも、少女は太股と足下をアンモニア臭のする液体で濡らしていった。
少女に続き、今度はここへ何度か来たことのある経験者が続く。三人目はセイラ推薦の元ローエ信者。四人目はアリス推薦のお嬢さん。そして五人目は……。
「ようやくですか……ん、あっ! も、もう、待ちくたびれましたわ、「レイリー様」……ん、ああ!」
「そう言う割には随分と楽しんでるじゃないか、メル」
「だって、ん! みんな、幸せそうに、い、逝ってるから、ん、あっ! ハァ、ハァ……私だって、見てたら、興奮、します、よ、ん、あっ!」
これまでの四人とは異なり、まだまだ余裕の表情で自慰にふけっている女性。彼女はカサンドラ推薦の、一番最初に「兼用贄」となった女性……メルだ。カサンドラの頼みで闘技場から買い上げた奴隷僧侶で、カサンドラ一番のお気に入り。セイラの教えも多く吸収し、今では司祭の座に就いている。
贄として何度も血を吸っているからか、俺とメルとはだいぶ親しくなっていた。最初こそ恐れ多いと言っていた彼女だったが、今では俺を「レイリー様」と呼ぶほどになった。そしてそう呼ぶことを許された贄でもある。
贄の中でも階級がある。まあ明確に決めているわけではないが、大きく分けると4つに区分される。一つは贄に成り立ての眷属専用贄。その上が眷属お気に入りの専用贄。更に上が兼用贄。そして頂点が、メルのように俺と親しげに話せる贄だ。正直俺は、信者達に崇められるのは好きじゃない。だから兼用贄として俺の所へ来ている贄に対して威厳を振りかざすようなことはしていない。それでも贄は俺と距離をとろうとするんだが、何度も血を吸うようになると徐々にその距離を狭めてくれる。そうしてようやく俺をセイラの付けた変な名称ではなく名前で呼んでくれるようになるんだが……まあここまで親しくなれているのはメルを含め片手で数えるほどなんだが。
だがそんな彼女達でも、眷属達とは区別する。愛する眷属達と親しい贄達とでは、やはり違いがあって当然だ。その違いすらなくなるようなら、俺はその贄を眷属にするだろう。まあ今のところそのような贄は現れていないが。
「ね、レイリー様、もう、もういいでしょ? ね、血を、血を吸って、吸ってください……ん、ああ!」
強請るメルを前にして、俺は腕を組んで考えるそぶりをする。
「だがなぁ……俺もそろそろコイツをどうにかしたくてなぁ」
四人もの血を吸ったおかげで、俺も実はかなり興奮している。ガチガチにいきり起つ肉棒は、もうそろそろ抑えが効かなくなっていた。
「なあメル。コイツをどうすれば良いと思う?」
「そん、意地悪言わないで……あん! わ、私ではレイリー様の、お役には、立てないから……ハァ、んぁあ!」
どんなに親しくなっても、メルは贄。眷属達とは決定的に差別化されている行為が一つある。それは直接俺の肉棒に触れられない、という制限だ。俺の肉棒に奉仕し、膣に入れて貰えるのは眷属だけ。それが眷属達にとって最大級の特権になっている。これ、言い換えれば俺の肉棒は眷属専用ってことになるんだが……キツイんだ、この制限。例えばこの状況のように、こっちは贄を相手に興奮したとしても、その興奮を贄にぶつけられない。俺の方が主なのに、主に制限があって眷属達に制限がないってのは釈然としないんだが……この制限があるからこそ、贄と眷属の違いが明確になって信仰に深みが増すのだとか、曖昧になると無駄に眷属を増やす切っ掛けになりかねないとか、色んな理由で眷属達から提言され、俺も首を縦に振るしかなかったんだよ。まあ彼女達の本音は「嫉妬」なんだと判っているから、あえて納得しているんだけどね。可愛いじゃないか、あいつらでも嫉妬するってのがさ。
「なら仕方ないな。ちょっとセイラを抱いてくるからメルは待っててくれ」
「そんな! も、もうこんなになって、ま、待てません! はや、はやく、私の血を吸って! 逝かせて! ねえ、お願い! レイリー様ぁ!」
先ほどまでの余裕は何処へやら。半狂乱になりながらそれでも自慰の手を止めず、俺に血を吸えと迫ってくる。
「仕方のない贄ですわね。司祭にまでなったあなたが、この程度のことも我慢できないとは」
「そん、なぁ……ん、ああ、セイラ様ぁ、後生ですから、どうか、どうかこの愚かで卑しい贄にお情けをぉ!」
困った贄だと呆れる様子を見せながら、セイラは後ろ手に持っていた双頭の張り型を手早く自分の膣に入れ、そしてメルの中から太めの張り型を抜き出している。この手際の良さ、予定調和としか言い様がないな。今度は俺が苦笑する番だった。
「さあメル。堪え性のない膣を沈めてあげましょう」
溶けているのではと疑いたくなるほど愛液でドロドロになっているメルの淫唇。そこへセイラは股間を近づけ、はめている張り型をメルの中へもズブズブと入れていった。
「どうぞご主人様、こちらへ……」
片手でメルを支えながら、セイラは空いた片手で自分の尻肉をつかみ俺を誘う。孔はメル同様既にドロドロと垂れ流していた自身の愛液を事前に塗り込んでおり、いつでも挿入できるよう整えられていた。そう、セイラもまた贄達の様子を見ながら興奮していたのだ。
「ああご主人様……ん、あぁ! ふ、深い、あぁあ……」
「んぁあ! せ、セイラ様ぁ! ん、や、セイラ様を通して、レイリー様を感じるぅ……ん、ああ、んぁあ!」
俺がセイラを突き、セイラがメルを突く。そしてメルはセイラを挟みながら身体をずらし、俺と唇を重ね舌を絡める。こうして三人は快楽で繋がっていく。上の唇も下の唇も、グチュグチュと清らかな音を神聖な教会に響かせていた。
「ダメ、いき、逝きっぱなし! れ、レイリー様ぁ! も、もう、もう!」
唇を離しメルが叫ぶ。俺は空いた唇を直ぐさまメルの首筋へとはわせた。
「か、は……あ、あひ、あ……」
「んっ! この娘すごい……締め付けてくる……ん、中のが、太くなっ、ん、わた、わたしもご主人様、あ、ああ!」
血を吸われているメルがその快楽に膣をギュッと強く締める。その締め付けは張り型を通じセイラへと、張り型が太くなるという形で伝わっていく。膨張した張り型に刺激されたセイラは肛門に力がこもり俺の肉棒をちぎり取ろうとするかのごとく締め付ける。血を吸いながら肉棒を絞められてはたまらず、俺はセイラの中へ快楽の証をたっぷりと注ぎ込んだ。
「ハァ、ハァ……フフッ、この娘は本当に成長しましたね」
「そうだな……まああのカサンドラをずっと相手にしてるんだから、とりあえずタフにはなるよな」
気を失ったメルを丁重に横たえながら、俺達は司祭の成長を湛え喜んでいた。
「それでも、レイリー様やミネルバばかり相手にしているから寂しい、なんて言っておりましたよ?」
だから兼用贄としてここへ来る回数も増えているのだと、セイラは付け加える。
「もっとも、カサンドラもメルが司祭の仕事ばかりでつまらないと言っておりましたけれども」
要するに、二人とも互いをぼやきながら繋がっている、ある種のおのろけみたいなもんか。俺はそんな二人の様子を想像しながら苦笑いを浮かべてしまう。
「これから闘技場へ向かわれるのでしたよね?」
贄達の身体を拭きながら後片付けを始めたセイラが、しかし自分の肛門から垂れる俺の精液はそのままにして俺に尋ねてきた。
「そのつもりだが?」
俺はだいたい同じルートを巡回しているから、教会に立ち寄った後は最後の訪問先となる闘技場へ向かうつもりでいた。それはセイラも承知しているはず。
「でしたられを……レイリー様の手を煩わせるのは忍びないのですが、これをお持ちになって下さい」
そう言ってセイラが俺に手渡したのは、小さな鍵だった。何の鍵かを問うまでもなく、またコレをどうするのかも問う必要がない。鍵一つで全てのことが俺に伝わった。
「では後を任せるぞ」
「はい。お気を付けて……」
幸せそうな顔で眠る贄達と、彼女らを優しく世話する司教を後に、俺は最後の訪問先を目指した。
金色の7番街は独立国家になってもやっていけるとまで言われるほど、経済的には潤った街だ。しかし実際にこの街が独立することはない。出来ないと言った方が正しいな。その理由はいくつかあるが、大きな理由は二つほどある。
一つはこの街が「統治」という言葉と縁遠い街であること。街は経済で潤ってはいるが、それは様々な者が様々な利益を求め集まっているからであり、一人一人の利権が街を発展させたに過ぎない。街そのものが街の人々を潤わせているわけではなく、また街の者達も街のために働いてはいない。もっと言えば、この街がどの国の領土になっているかなんて関係ない。税金を納める先が違うだけで、何処が領土を主張しようが関係ないのだ。だからこそ他国から狙われやすく、また狙われたとしても「破滅」まで至らない。税金欲しさに国同士が勝手に戦争を始めるのは、むしろ兵器を売る商人や傭兵家業を営む者を喜ばせるだけ。そんな街だから、よもや内部から破滅させようなんて者が現れるなんて思いもせず、ミネルバの策略により破滅しそうになったのだ。
またもう一つの理由……これは先ほどの理由とも重複するのだが、大きな理由となっているものがある。それは軍事力だ。まあ一介の街に軍事力なんて最前線の街でもなければ必要ないのだが、国として独立する気ならば必要になる。だが、そもそも独立しようなんて考える奴はいないし、考えたとしてもこの街をまとめられる者は今までいなかったから、軍備を整えることは不可能に近かった。それにこの街にも一応国から派遣された治安部の者達がいて、それなりの兵士も常駐しているが、混沌としたこの街で治安を守ろうとする者はむしろうっとうしく、袖の下に色々とねじ込んで風通しを良くしてしまっている。そんな連中にいざというとき役に立てるかと言えば、無理な話。
ところが、だ。この街は大きく変わった。表向きは今まで通りだし商売も様々な物が今まで通り行われている。だがこの街は極秘裏に統治されていた。この俺によってな……したかった訳じゃないけど。ただそうなると、どうしても必要になるのが軍事力なんだ。
統治する以上それなりに責任が生じる。今まで誰も考えなかった街全体の治安を考慮し、そして街で暮らす人々の安全を保証しなければならない。むろん椅子に座ってふんぞり返るだけの統治者も世界には幾人もいる。しかしそんな統治者はいずれ誰か……それこそ様々なケースで権力の座を狙われ引きずり下ろされるだろう。俺は少なくとも眷属達を守る責任があり、彼女達との生活を守るためには街の支配者という権力にしがみつく必要がある。そして街の支配者を続けるためには、街全体の統治と安全を考えなければならないんだ。その為にも、この街には新たな軍事力が必要だった。
何故必要なのか。その答えは簡単だ。この街を「破滅」させようとする者がいるから。そいつから街を守るためには統制された軍事力がいる。そう、ミネルバをブラックガードに堕とし破滅行為をそそのかした悪魔、四本腕の悪魔ゲルガー……奴から街を、そして眷属達を守るために軍事力が必要なのだ。奴は間違いなくこの街に舞い戻り、破滅しようと画策するだろうから。
奴のことを最も警戒していたのは、他ならぬミネルバだった。ゲルガーの恐ろしさを最も知る彼女は、また同時に奴の能力や性格も心得ている。その上で俺に軍備を整える必要性を説き、そして街を守るために様々な提案を上げてきた。パラディンだった頃から軍略に長けていた彼女の提案にはエリスもエマも感心していた。もっとも戦場という現場で活躍していた彼女だけに、「軍事力を整えるまで」の政治的な考慮に多少ほころびはあったようだが、そこはエリスやエマと案を練り上げまとめたようだ。
そうやってミネルバが他の眷属達の協力を得ながらまとめた軍備計画の成果が、今目の前で展開されている。
「次、天翼の陣!」
闘技場の試合会場に集まっている戦士達。彼らは司令官の声に機敏な反応を示し、綺麗な陣形を整えていく。言うまでもなく、司令官はミネルバ。そして戦士達はといえば、彼らはここの奴隷戦士。闘技場で闘う戦士達だ。
ミネルバの提案を簡単に言ってしまうと、奴隷戦士達をそのまま軍人にしてしまおうというもの。ミネルバが眷属になったあの日、彼女は魅了されただけの奴隷戦士達が見事な統率力を持って悪魔と洗脳戦士に立ち向かったことに痛く感動したようで、これを利用すべきと考えていた。元々奴隷戦士達は引き続き魅了し続ける必要があったため、彼らを我々の私兵にしてしまうのは簡単だった。だが一つ問題があった。闘技場の運営をどうするか、だ。
闘技場はこの街の財産。ショーとしての価値は当然として、ここで闘う戦士達にとっても生活を考えれば欠かせない場所だ。カサンドラのように敗戦兵が無理矢理闘わされた場所でもあったが、スラム街の人々同様一攫千金を自分の腕に託して来た者もいる。一定の結果を出してここを出ていく戦士達もいたが、無理矢理闘わされながらもこのままここに定住してしまう戦士も多い。外に出ても行く当てのない者だっているのだ。そんな彼らの生活と、そして軍として人員を維持する意味も含め、闘技場はこれまで通り経営していく必要がある。
この問題、簡単なようで少し難しい。というのも、そもそも闘技場の試合は皆命がけだった。怪我が多いのは当然、場合によっては命を失うことも多く、内容によっては観客から相手を殺せと何度もコールされることだって珍しくない。だがそんな戦士達を軍人としても働かせるなら殺し合いになるような試合なんてさせられない。怪我だって出来る限りさせたくはない。そんなことを考えて試合をさせれば……観客を満足させられないだろう。どこかでバランスを取らなければならないが……そもそも戦士を消耗品のように使ってきたこの闘技場で、その戦士達を活かそうというバランスの取り方をするには無理がある。
そこで考え出されたのが、試合そのものをもっと別のエンタテインメントショーにしてしまうという発想だ。
「おら、モタモタしてんじゃねぇぞそこ!」
ミネルバ達が軍事演習をしている横で、カサンドラが数人の男達をしごいていた。しごくといっても訓練という意味であり肉棒をってことじゃないぞ……まあ夜になればそっちもしごくんだろうが。
ミネルバが演習を指揮している戦士も、カサンドラが特訓している戦士も、基本的には同じ闘技場の戦士であり俺達の私兵だ。しかし彼らはそれぞれに所属している「チーム」が異なっている。
闘技場の試合は基本個人戦。しかし戦士達にはそれぞれ所属しているチームがあり、そのチーム同士が対立しているという「構図」を組み立てた。それにより個人戦ながらチーム戦の様相も醸し出し、個別の試合だけでなくその日その月の戦績自体をチームで競わせるなどして盛り上げていった。そうすることで次第に戦士個人のファンだけでなくチームのファンというのも定着していき、応援も盛り上がっていく。またチーム間や個人間での因縁なんかも「演出」させ、さながら舞台で武勇伝を鑑賞するかのように盛り上げたりもしている。以前カサンドラとセリーナが観客達を前にいがみ合い注目を集めたように、演出をアピールして客を楽しませているのだ。
だがもちろん、ただ演出するだけでは目の肥えた客は満足しない。茶番は素人だって見抜くし、あくまで大切なのは試合そのもの、その内容だ。むろんそのあたりもぬかりはない。試合の内容は演出無しのガチンコでやってもらっている。ただ命がけというところまでやらせる気はなく、使用する武器の刃を落としたりなど処置はしている。その処置によって盛り下がる雰囲気を演出でカバーしているに過ぎない。まあ演出抜きでも最近の試合は熱が入っているから見ていて飽きないがね。彼らは一試合ごと全力で真剣に闘っているから。
彼らの闘争本能に火を付けているのは、当然魅了の効果。試合に勝ち成果を残していけば、それに応じて褒美、女という報酬を手に入れられる仕組みになっている。当然成績が良ければ眷属達が直接相手をしてやることもあり、戦士達は皆眷属達を抱きたい一心で奮闘しているのだ。眷属達にとっても淫魔として上質の精力を摂取出来るし、良いことばかり。チームリーダーは当然眷属達が担当しているから、チームへの貢献が直属のリーダーへの貢献に繋がり、そしてそのリーダーから賛辞の言葉と褒美を頂戴する。男は単純だから……まあ戦士の中には女性ももちろんいるが……魅了され心奪われた相手から褒められたり誘われたりすりゃ、そりゃ頑張るよな。そうやって試合は無殺傷でもかなり盛り上がる訳よ。
さて先にも言ったように、チームはそれぞれ眷属達がリーダーを務めている。よってチーム数は三つ。通常の剣術を主体に戦う者はミネルバの配下のチーム、斧や棍棒など力業を主体にする者はカサンドラの配下のチーム、素手や特殊武器を主体にする者はセリーナの配下のチームと、おおよそそのように分かれている。成績は拮抗しているが、ややカサンドラ達が優勢かな。なにせカサンドのチームにはあのミノタウロスもいるし、その他バグベアなどの人外もいるから、身体能力的に最初から有利という点もある。だがそんなチームだから演出的には悪役の位置に回ることが多く、ミネルバ率いるチームが悪役チームに対抗する正統派として人気を呼んでいる。セリーナのチームは彼女と同じシフターやハーフリングといった亜人種が多いため、同じ種族を応援する客から支持されている。
このやり方が上手くいっているのは、ひとえに魅了の効果が絶大だからだろう。そうでなければ戦士達に二足のわらじを履かせることは難しいし、演出のために分けたチームがいざというときに仲違いをせず団結できるのも、魅了で縛っているからこそ。昼は互いをにらみ合い闘った戦士達が、夜になると肩を組んで酒を飲み交わしているんだからね……まあそういった光景が外に漏れない、闘技場の中だけで生活を続ける奴隷戦士だから可能だということもあるな。
「両翼の息を合わせろ! この陣はタイミングが命だと何度言えば判るか、クズどもが!」
かつて女聖騎士達をまとめていたとは思えないような汚い言葉で男達の動きに注文を付けるミネルバ。今彼女の指揮する演習には、3チームそれぞれから戦士が参加している。陣形には様々な役割の戦士が必要で、それらはその特徴ごとにチームワケされているから当然ではある。闘技場で闘うときには敵対する彼らも、ミネルバの指揮の下では見事に陣形を組み立て動いていくのだからな……まあミネルバのカリスマ性もあってのことか。流石は元四聖将、麗しの聖騎士様か。
そんな彼女は聖騎士とは真逆の暗黒騎士、ブラックガードに身を堕としている。その為身につけている鎧も相応の物になっているが、俺の眷属になってからその鎧は新調していた。以前は相手を威圧し恐怖心を煽らせるために厳ついデザインになっていた。肩や膝、肘といった場所から尖った角のような物が生えていたり、身体を大きく見せるために多少大きめだったりと、悪魔をイメージさせるような物だった。だが今着ている鎧は黒を基調としているところ以外は全く異なった物。全身を覆うフルアーマーなのにも関わらずボディラインがハッキリと形作られたデザインで、豊かな胸も腰のくびれも本人のシルエットをなぞったように凹凸が緩やかな湾曲ながらシッカリ主張している。しかも表面の光沢は綺麗で、見ようによっては裸よりもセクシーにすら感じるだろう。まさにミネルバのために作られた鎧。これを誰が作り出したのかは……まあ言うまでもないな。
さて……まだ二人の訓練は終わりそうにないな。なら先に行くかな。俺はセイラから預かった小さな鍵を手の中で確認しながら、本来ならこの場にいなければならない三人目の教官が待つ部屋へと足を向けた。
闘技場には幾つもの部屋がある。試合会場をぐるりと囲む建物の中はもちろん、地下にも部屋がたくさんある。まあ地下にあるのは部屋と言うより牢獄。ここは闘技場として活用される前は収容所だったらしい。闘技場として生まれ変わった後も、地下室は奴隷戦士になる罪人やそんな戦士達と闘わせるモンスターが収容されていた。今は改装して収容所としての役割を終えているが、牢獄だった頃の面影は至る所に残っている。特にここは……むしろ道具を揃え以前よりも機能面がアップしているな。
「ひぐ、ごふ、ごふひんはふぁ」
猿ぐつわをされた女が俺の訪問に気付き、口をモゴモゴと動かす。そしてX字の磔(はりつけ)台に繋がれ自由にならない身体をよじり続けていた。ピクピクと震える獣の耳と尻尾がなかなかに愛らしいな。
ここは拷問室。以前も今も、ここには様々な拷問具が揃えられている。
「あ、いらっしゃいご主人様」
そして磔られている女の側にいたハーフリングも俺に気付き、振り返りながら挨拶をした。
「ご苦労だなティティ。順調に採れてるか?」
「うん。セリーナとってもいやらしいから、すぐ容器が一杯になっちゃうの。用意した数じゃ足りなかったみたい」
「ふご、ふ、ふっへ、はぐ……」
なにやら磔られているセリーナは否定したがっているようだが、猿ぐつわが邪魔で何を伝えたいのかはサッパリ判らない。判るのは、ティティが言うように500ml入る容器二つが既に満タンになって床に置かれており、今ティティが手にしている容器ももう少しで満杯になるという現状だ。
「随分出したな。そんなに長いこと採ってたのか?」
「んー……セイラがね、「これも修行だから」って、朝からやってたみたい」
「みたい?」
「ティティが来たのはお昼から。だからここの分はお昼から溜まった分かな」
ということは、実際にはもっと採取されいたのか……流石というか何というか……よくやるよ、セイラもセリーナも。
ひとまず、俺は何かを訴えたいセリーナのために猿ぐつわを解いてやる。
「ぷはぁ……ん、ハァ、ひ、ひどい……わたし、ずっと朝から、こんな格好で……んっ!」
不平を言い出している間も、ティティは容赦なく採取……セリーナの愛液を絞りだそうと彼女の陰核を舐め始めていた。
眷属達の愛液は淫魔香の原液となる。厳密に言うと淫魔香は愛液だけでなく膣や子宮の中で瞬時に「熟成」させることで淫魔の魔力が染みこんだ香りになって効力を発揮するのだが、愛液だけでも充分に媚薬と魅了の効果を発揮できる。こうやって集めた愛液は「褒美」として富豪や商人達に振る舞ったり、あるいは娼婦街で活用したり、もちろん信者達にも分け与え信仰心を深めさせたりもするし、用途は多種多様。それだけに愛液の採取は街を支配し続けるためには必要不可欠な「産業」とも言える。
「こんな格好で磔られて、クリトリス舐められて感じてたんだろ?」
「かん、感じてたけど、これ、やりすぎ、んっ!」
「やりすぎ? こんなに愛液垂れ流して……悦んでたんだろ?」
「よ、悦んで……た、けど、でもこれは、んぁあ! ちょ、ティティ、いま話してる、か、らぁ!」
「ん、チュ……だって、セリーナのここ、美味しいんだもん……チュ、クチュ……」
「そういや……ティティはずっとセリーナのクリを舐めてたのか?」
「うん! 美味しいから飽きなくて……アハハ、実はねご主人様……ここにあるうちの一本は、私のなの……」
「なんだ、セリーナを虐めながらお前も感じてたのか」
淫猥に笑うティティは、しかしそれでも可愛らしい。まあこの愛液採取をやる時は、採る方からも結局採取出来てしまうのは眷属なら誰でもなんだけどね。
「そういや、セイラは修行だと言ったらしいが……修行ならこのまま放っておいた方が良いのか?」
「ちょ、や、ん! そんなこと、言わないでよぉ、ん、あ、んぁあ! ご、ご主人様のご褒美があるから、それ、それまでだって、思ってたから頑張って、んぁ!」
俺はティティに退いて貰い、ティティが舌を這わせていたところより僅かに下、ドロドロになった膣に指を入れ激しくかき回した。
「ご褒美か……だいぶ感じているようだが、こんなんで良いのか?」
「や、ん、こ、こんなんじゃ、なくて、えぇえ! ん、ご、ごしゅじんさまの、ごしゅじんさまのぉ!」
「俺のなんだよ……ほら、もっとハッキリ言ってみろ」
「ごしゅ、ごしゅじんさまの、おち、オチンポ、オチンポがいいの、いいのぉ!」
俺から鍵を受け取ったティティがセリーナを磔台から開放させていく。自由になったセリーナはそのまま俺に抱きつき、腰を激しく押しつけグイグイと動かし出す。
「おいおい、チンポ欲しいって言いながらこっちが良いのか?」
このままでは指どころか手首まで入れてしまいそうだ。
「や、オチンポ、オチンポがいい、ん、あっ! でも、ゆ、ゆびも、ゆびもいいの、いいのぉ!」
既に指先が子宮に届き、子宮口の中に軽く入ってしまっている。
「しょうがねぇな、一度コレで……ティティ、なにやってんだよ」
「ん、チュ……だって、私もご褒美欲しいんだもん。お昼からずっと舐めてたから疲れちゃった」
そう言いながら、疲れた舌で俺の肉棒を舐め始めたティティ。まったくどうしようもない連中だよ。
「だめぇ、オチンポ、オチンポわたしのぉ……ん、あ、ゆ、ゆびも、いい、いい、ん、ふぁ、ごしゅ、ごしゅじんさまぁあ!」
ギュッと俺に抱きつき、身体を小刻みに震わせるセリーナ。
「……何度目?」
「ハァ、ん、か、数えてないよそんなの……」
ほぼ半日ずっとだからなぁ……下手したら三桁は逝ったのかもな。
「よく頑張ったな。それじゃ褒美を……ほらティティ、いつまでしゃぶってんだ」
「えーっ、だってぇ……」
ごねるティティを強引に引きはがし、息も絶え絶えなセリーナの中へ……
「ひぁっ! ちょ、ご主人様いきなりぃ! ん、あ、ん、ふぁ、あ、あ、あん!」
朝から逝きっぱなしだったセリーナの、これが総仕上げ。口では突然入れた俺を非難しているが、セリーナはもう全力で腰を振っている。
「すご、これ、これ、ずっと、ずっと欲しかったの、ずっと、こう、こうしてくれるの、そうぞうしながら、ずっと、ずっと、いって、いってたのぉ、あ、んあ、ん、あ、あぁあ!」
愛らしい釣り目、その目尻をだらしなく下げ、愛らしい牙、その牙をだらしなく見せつけ、セリーナは半日待ち続けた歓喜と快楽に酔いしれる。
「ひゃっ! ちょ、てぃ、ティティ、や、やめ、し、しっぽダメ、や、ん、んぁあ!」
「だってぇ、私だけあぶれるのつまんなーい。ん、い、いい、セリーナの尻尾、ふさふさしてて気持ちいい!」
「そん、しっぽ、いれ、いれない、で、ティティのなか、なかに、いれ、いれ、んぁあ!」
「だって、これ、いい、いいの、セリーナの尻尾、すごい、すごいよ、なか、なかで暴れる、暴れるぅ!」
セリーナの長い尻尾を掴み、ティティはそれを自分の膣の中へと出し入れしている。セリーナの尻尾はシッカリと鍛えられており、他の同族よりも尻尾を器用に動かすことが出来る。そして同時に、尻尾の「性感」も発達しており、意識的に撫でられると感じてしまう。そんな尻尾がオナニーの道具にされている……その事実と性感とがセリーナに快楽を与えていく。そしてティティも、そんなセリーナの尻尾を使うことで精神的な心地よさを感じているはずだ。
「ごひゅ、ごひゅじんしゃま、もう、い、いって、いって、いい、です、か? んあ、ふぁっ、あぁ!」
「こっちはまだだな……まあ何度でも逝け。この際後何回逝っても大して違わないだろ?」
「はひ、いく、またいく、い、ひゃっ、はふ、あ、ふぁああ!」
再びセリーナが力強く俺を抱きしめる。セリーナが身体を震わせている間も、俺は腰を止めない。そしてしばらくすれば、またセリーナの腰は力を取り戻していく。
「俺が逝くまで何度でも逝け」
「はひ、あひがとふ、ごひゃいまふ、ん、ふぁ、んあ、い、いい、いあ、いい、いふぅ!」
「いいなぁセリーナ、い、ふぁ、ん、あ、い、てぃ、ティティもいく、いくよ、セリーナの、セリーナのしっぽ、しっぽでいく、いくの、い、これい、いい、いっ、いく、いっ、ひあぁああ!」
何度も逝きまくる二人に、俺もそろそろ追いつけそうだ……
「セリーナ、そろそろ逝くぞ」
「はひ、きへ、きへ! ごひゅひんひゃま、い、いく、わらひも、い、いっひょ、いっひょ、いっ、いあ、い、いく、いく、いっ、い、いぁあああ!」
「まっ、ティティ、ティティも、ティティも、ティティも、い、いく、いく、いっ、くっ、あぁあ!」
背中に痛みが走る。セリーナめ、爪を立てやがったな……普段は気を遣いこんな失態はしないんだが、流石に今日は気を回す余裕もなかったか……立てられた爪はすぐに引っ込み、爪を立てた手はだらりと力なく垂れ落ちる。気を失ったか……淫魔である眷属が気を失うとは、よほどだったんだろうな。俺はゆっくりとセリーナから肉棒を引き抜くと、そのまま彼女を床へ寝かせてやる。
「セリーナったら、だらしなぁい……あ、セリーナもったいないよぉ……ん、チュ、チュル、チュパ……」
気絶したセリーナの膣から溢れる、俺の精液。ティティはそれをセリーナに構うことなく舐め始めた。ったくコイツは……まあ何事にも実直なのはコイツらしいし、それにこれもティティの愛情表現だからな。
「ん? 終わってたか……って、ちょっレイリー背中……」
「これは……お待ちを主。今手当を」
どうやら奴隷戦士達の訓練は終わったらしい。カサンドラとミネルバがちょうど降りてきた。そして俺の背中を見て驚いた二人は直ぐさまかけより、そしてミネルバが俺に治癒魔法を掛ける……そぶりをしたと思ったんだが。
「……先に消毒する必要がありそうですね」
消毒? そんなものは治癒魔法で一緒に出来る……疑問を投げかけようとしたときには、もうミネルバに先を越されていた。
「いっ! ちょ、ミネルバ、な、くっ!」
「染みますか? ですが我慢してください。これは治療ですから」
そう言いながらミネルバは、背中の傷を舐めている。下から上へ垂れた血を舐め取り、そして傷口に口づけするよう唇を当て、チュパチュパと音を立てながら血を吸い出している。染みるとかそう言う事じゃなくてだな、治療に必要な処置とは思えないんだがコレ……吸血鬼の本能が、血を見てそれを舐めたくなったのか?
それともただのイタズラ心か……奉仕プレイのつもりなのか。なんにしても背中越しではミネルバの表情は読み取れない。伝わるのはミネルバの舌の感触と、カサンドラが舌打ちした音だけ。
「独り占めかよ」
「これは治療だから仕方なかろう」
止血のために背中を舐めながら、後ろから肉棒を掴みしごき始めるのが最先端の治療法らしい。あまりにも斬新な治療法に、俺の息子も驚いて膨張しちゃってるよ。
「ったくよぉ……お、セリーナの奴やっぱ気絶したか。朝からだっけ? よくやるよなぁ……私でも流石にこんな方法じゃやらないぜ」
気絶したセリーナを見ながら苦笑するカサンドラ。彼女の言う「こんな方法」というのは、もちろん愛液の摂取方法。摂取は当番制で、今日はたまたまセリーナが当番の日だった。やり方は眷属それぞれ異なり、必ずしもセリーナのようなやり方では行われない。他の眷属に手伝って貰うことはあるが、眷属によっては贄にやらせたりもする。そもそも朝からなんて……セリーナほど体力がなければ出来ないよ。どうもセイラがけしかけた方法のようだが、ある意味で「修行」ってのは間違ってなかったのかもな。ドSでドMなセリーナらしいといえばらしいやり方だし。
「なんだよ、私だけ一人あぶれてるのか……チッ、仕方ねぇな」
ティティはまだセリーナの股間を嘗め回し続けながら自分で膣口の奥へと指を進めていた。とっくに俺の精子は吸い尽くしたようだが、ティティの興奮は余計に増したのだろう。そうなるとこの場でカサンドラは一人何もすることがない。愚痴りながら彼女は俺の前で床の上にドカリと座り込み、大きくM字に股を開いて中心部に片手を伸ばした。
「見てくれよレイリー。上から降りてくる間だけでこんなになっちまったんだぜ……ククッ、レイリーがスタンドに出て来たのを見てからこんなだ……ん、あっ、な、じっくり見てくれよ……ん、あぁあ!」
空いた手で自分の片乳を揉みながら、カサンドラは自分で自分を高揚させ始める。
「なんだ、お前も採取するのか?」
「ずっとレイリーが見ていてくれるならね……私は1ガロンたっぷり出してみせるよ……ん、あっ! ふぁ、ん……くっ、んぁ!」
カサンドラのワンマンショーとミネルバの奉仕に、俺の肉棒はガチガチになっている。今日だけで何度固くしただろうか? まあ数えるだけ無駄なんだが。
「治療は済んだか?」
軽く後ろを振り返りながら尋ねる。視界にミネルバの顔は入らないが、桃色に染まった吐息が頬に掛かる。
「はい、もう大丈夫です」
「お前が大丈夫そうじゃないがな……そら、前に来い。入れてやる」
「はい!」
待ってましたと、ミネルバはそそくさと前に回る。まったく、少し前まで余裕たっぷりに俺へイタズラしてきた女がすぐコレだよ。ま、そんなところが可愛いなミネルバは。
「どうぞ主……あなた様専用の「膣鞘」に、逞しく雄々しい「性剣」を納めてください」
持って回った言い方を好むミネルバは、こういう言い回しを使うことで直接的な欲求を口にする気恥ずかしさを回避している。まあその分より卑猥になっているような気もするが、本人としては照れ隠しのつもり。だが俺の前に後ろ向きで立ち、前へ屈めながらグッと尻肉を両手で掴み広げている……こんな格好を積極的に自分からする方が、直接入れてくれと言うよりも恥ずかしいとこだと本人は気付いていないのだろうか?
「ククッ、専用ねぇ」
カサンドラが自慰を続けながらミネルバのセリフを鼻で笑った。
「何がおかし……くぁあ!」
カサンドラに文句を言いだしたミネルバに構うことなく、俺は専用の膣鞘に性剣をぶっさしてやる。
カサンドラは鼻で笑ったが、実際この膣鞘は俺専用……俺以外の性剣を納めたことがない。奴隷戦士や贄達に褒美をやるときも膣は使わせず、口かアナル、あるいはパイズリで処理している。乱交になっても必ず膣は死守し、入れても張り型まで。その張り型だって眷属同士でなければ使わないこだわりよう。淫魔に身を堕としながらも、ミネルバは膣に妙な執着を持っていた。一種の貞操概念なんだろうか?
「何か知ってるのか? カサンドラ」
最もミネルバのことを知るカサンドラが取った態度には何か訳があるに違いない。俺はなんと無しに尋ねてみた。
「や、あ、主、そんな事はどうでも……もっと、激しく突いてくださいませ主……」
……なぁんかあるな。僅かに慌てるミネルバと、ニヤニヤと笑い出すカサンドラ。
「そうだねぇ……レイリー、ミネルバと最初にやった時、処女だったろ?」
「か、カサンドラ! それ以じょ、くぁああ!」
ミネルバが制止しようとするのを、俺は腰振りと乳揉みで黙らせる。
「私らみたいな戦士はね、激しい運動の末に処女膜が自然裂傷しちまうんだよ」
自然裂傷? つまり処女だけど処女膜が自然と破けてしまうということか。まあ聞いたことはある話だし、ミネルバがそうなっていたとしても不思議じゃない。だがミネルバには処女膜があった。俺が直接彼女の膜をぶち抜いたのだから間違いない。
「ミネルバだって例外じゃなかったんだが……」
「か、カサンドラ、やめ、やめ、ん、くぁ! あ、あふぅ、や、あ、主、あるじぃ!」
ミネルバの頬が真っ赤なのも湿った音が増してきたのも、俺と繋がっていることばかりが原因ではないようだ。そしてカサンドラも手と腰の動きが大きくなってきたのは自慰に没頭しているからではないな。
「ミネルバはね、処女膜が破ける度に治癒魔法で治してたんだよ。ああもちろん、宗教上の理由なんかじゃない。コイツはね、こだわってたんだよ」
「カサ、カサンドラ、あ、あっ! こ、これ以じょ、お、おぉおお!」
「いずれ聖騎士を引退して、愛する殿方に身を捧げる時の為に処女の証を残しておきたかったんだとさ。アハハ、ミネルバらしいだろ?」
「カサンドラぁ!」
ぐっとミネルバの膣が締まる……言葉責めで一度逝ったか。まったく、可愛い奴め。
カサンドラの話では、どうやらこの話を「抱かせろ」としつこく迫った最中で聞いたらしい。そういう理由があるから諦めてくれとミネルバは言いたかったらしいが、当然この話でカサンドラがより積極的になったのは言うまでもないな。
にしても……ミネルバがそこまでこだわっていたとはね。捕虜にされ調教を受け続けている最中で処女を奪われなかったのは不幸中の幸い……もし奪われていたらブラックガードに身を堕とすどころか自殺も考えたんじゃないだろうか……そんな彼女の処女を奪い、こうして彼女に「専用」とまで言わしめた現状は……やばいな、にやけ顔を元に戻せない。
「ミネルバ」
「なっ、なんですか主……んっ!」
主に対して切れ気味に、ミネルバが後ろへ顔を向け応える。
「愛してるぞミネルバ」
「と、とうぜん、だ、主……あなたには、それだけの、せき、責任が、ある、だから、あっ! だから、わた、私も、主を、主を、愛して、愛してます、愛してます、愛してます、主、主、主ぃ!」
ふと、またあの疑問が頭を過ぎる。愛とは何か? 幸福とは何か? 支配とは何か? 従属とは何か?
ミネルバの眷属化は中途半端に終わった。淫魔化と吸血帰化には成功したが、それに伴うはずの従属化がまったく効力を示さなかった。にも関わらず、彼女は俺に惚れ、こうして自ら眷属として俺に付き従っている。何故だ?
俺は以前ミネルバに、何故惚れたのかと間抜けな質問を直接ぶつけたことがある。感情の原因を明確な応えに出来るはずもないが、彼女は彼女なりに分析した答えを俺に返してくれた。
カサンドラ奪還の為に、ミネルバは俺という存在の「破滅」をずっと考えていた。ずっと俺という男を観察し分析し、憎しみを募らせてきた。そうやって積み上がった俺への憎悪が、眷属となったあの時に「逆転」してしまったのだろう……つまり憎悪がそのまま愛情へと、表裏を返したように切り替わった為ではないかと言った。憎悪も愛情も、強い「関心」を持つという点においては同じ事。その関心の度合いをそのままに表裏が切り替わった……強い快楽と、僅かな愛の囁きが心に染み渡り、とてもとても重く大きな憎悪のコインをひっくり返した結果が今に至っているのだと、そう分析していた。
俺は再び尋ねた。そこまで判っていて、どうして愛情が冷めないのだと。彼女は言った。冷めるどころか熱くなる一方だと……俺という男を受け入れたことが自分を大きく変えた。もう俺無しでは生きていけなくなったと、真っ直ぐに俺を見つめ断言した。その原因ばかりは分析できないと、そう付け加えて。
結局、判らないことが多すぎる。俺の疑問はまだ解決の糸口さえ見つけられない。ささやかな乙女の夢、丁寧に治癒を繰り返し守った処女膜を荒々しく奪った相手に、ミネルバは最大級の愛を注ぎ幸福感に満たされている。普通ならあり得ないが、しかし現実にミネルバは俺を愛してくれている。この愛は……何だろう?
「い、あ、あん、ふぁ、あ、あ、あぁああ!」
「チッ、ミネルバあんなに……ん、ふぁ! フン、妬けるね……ん、あ、あぁ! や、妬ける、から、ん、こっちも、燃えちまうじゃないか、ん、あ! い、見て、レイリー、ミネルバ、こっち、こっちを見ておくれよ、ん、あぁ!」
「見て、見てるわカサンドラ、ん、あぁ! フフ、そ、そんなにして、はしたない、おん、女、ね、ん、お、おぉ、おぁあ!」
「そうさ、はしたない、だらしない、女、さ、んっ! でも、これ、これがいいんだろ? な、ふた、二人とも、さ」
「ええ、ええ! 素敵、ステキよカサンドラ、あ、いぁあ! あなたの、そん、そんな、だらしいない姿、み、見ながら、主に突かれるの、これ、とっても、い、いい、いいの、いいのぉ!」
「私も、い、二人、二人愛し合ってるの、み、見ながら、見られて、それで、おな、オナってるの、い、これ、すごく、い、いいんだ、ん、あ、ふぁ! 妬ける、けど、羨ましいけど、でも、でも! ん、あ、こ、こっちまで、し、シアワセ、幸せに、な、なっち、まう、よ、ん!」
歪みきっている俺達の関係。異常としか、異様としか言えない関係。だがしかし、俺達の間には愛があり幸福がある。支配し支配され、従属させ従属し、そうすることで絆を深め愛を深めている俺達。疑問は永遠に解決されないだろうが……しかしこれだけはハッキリと言える。
俺達は誰よりも幸せなのだと。
「い、いく、主、主ぃ! いき、いきます、いく、いく、いく、いっ、あ、あ、あぁあああ!」
「わた、わたしも、い、いく、みて、ふたりと、みて、みて、いく、いくとこ、みて、み、み、みぃあぁあああ!」
膣鞘が性剣をへし折るんほどの勢いで締まり、目の前では膣口から勢いよく潮が噴き出された。そして俺の精液が専用膣、そして奥の子宮をもいっぱいに満たしていく。
俺はミネルバと繋がったままヨロヨロと二人でカサンドラに近づく。カサンドラは息を荒げながら背を床に倒し俺達を待つ。そして俺達は上を向いたカサンドラの顔に腰を近づけ、そしてミネルバはゆっくりと腰を落としながらカサンドラと折り重なるようにして自分の顔をカサンドラの股間へと近づける。
コプッと音を鳴らしながら、性剣が膣鞘から抜き取られる。精液と愛液が混じった御馳走がダラリとカサンドラの口へ注がれ、彼女はそれをゴクゴクと飲み始めた。
「ん、ンクッ、コクッ……うめぇ、ん、ほら、もっと飲ませろって……チュ、クチュ……」
「んぁ! カサンドラ、そん、激しすぎるぞ……ならばこちらも……チュ、チュパ、ベロ……フフフッ、相変わらず良い味だな……チュ、ベロ……」
互いの膣を舐め合いながら、女戦士達が快楽と愛情をむさぼり食っている。
「ん、ねぇご主人様ぁ。そっち終わったんだから次こっちぃ」
振り向くと、セリーナに抱きつきながら彼女の手で尻肉を広げられているティティが、その尻をクネクネと振りながら俺を誘っている。
「どうぞご主人様。昼から私に付き合った彼女にもご褒美を与えてやってください」
「ねぇはやくぅ。私だってずっと待ってたんだからぁ!」
やれやれ……余韻に浸る暇もない。俺は二人の下へ歩み寄った。
途切れることなく愛し合う俺達。眠ることのない俺達の営みはまだ続く。これからも、ずっと、ずっと……支配し従属されながら愛し合う幸福は、ずっと続く……いつまでも。