第6話

 適材適所、というのは確かにある。
 元山賊のカサンドラは戦場が彼女の舞台だし、アサシンだったアヤは密偵に長けている。本来は気立ての良い村娘だった姉妹は、メイドという仕事がよく似合う。
 では、領主の妻だった女とその娘という人材にとって、何処が「適所」になるのだろうか?
 当たり前だが、悪党狩りの仕事は出来ない。眷属としての能力は俺の力が以前よりも増しているだけに、姉妹よりは高い。しかしその力を充分に発揮できるのは……男を誘惑することくらいだろう。姉妹もそうだが、眷属の能力だけでもそこそこは戦えるだろうが、訓練された人間相手には辛いはず。よって悪党狩りは無理だ。
 では同じく戦えない姉妹のようにメイドとして屋敷内の仕事を任せる……のも、無理だ。そうだろう? むしろメイドをこき使っていた方だったんだぜ? 今更ほうきや包丁を持たせたって使えるはずがない。
 では何が出来るというのか……俺が悩むまでもなく、彼女達の真価はすぐに発揮されることとなった。
「そうですわね……確かにあの店主は多くのドワーフ同様、気むずかしい方でしたわ。そして多くのドワーフ同様、お酒が好きで……特に「火蜥蜴の油壺」というエールがお好きだったはず」
「うえ、あんなの飲むんだ……まあいいわ。それじゃ手土産に三樽くらい持たせて行こうかしら」
 師匠はエリスから、彼女がいた街「赤の13番街」の情報……特に師匠が確保した、流通ルートに関わる店の情報を聞き出していた。店の評判や品の出来具合はもちろん、客層や店主の好みまで……事細かいデータが彼女の頭の中には蓄積されていた。その精密さには師匠も舌を巻くくらいだ。
「ホント助かるわ。ありがとねエリス」
「いいえ、この程度の事でお役に立てるのでしたらなんなりと」
 そもそも師匠はあまり商売が上手ではない。魔具を作ること自体を楽しんでいるような人だから、商売そのものには手を出していない。そちらは全て旦那であるダグの仕事だ。そのダグも人柄の良さで商売をやっているような人だから、同業者を出し抜くとか、その手の競争は苦手。今回師匠が流通ルートを手に入れたがったのも、そんな旦那の為でもある。
 しかし流通ルートを手に入れても、それで商売が上手く行くってほど、単純でも簡単でもないのが商売の世界。品質の良さで定評のある師匠の店でも、やはり新規参入となればその市場では新参者であり、周囲との様々な「関係」をどう構築していけるかで商売の成否が決まってくる……らしい。正直俺もこの手の世界は全く知らないのだが、師匠やダグ、なによりエリスがその重要性を俺に解いてくる。
「商売に限りませんわよ。人と人とが接する以上、そこには何らかの感情が生まれます。その感情を上手くコントロールできれば、何事も上手く運ぶことが出来るのが世の常。私はそれを情報で予習し、会話で実戦し、そして手土産で効力を上げている……それだけですわ」
 それだけ……ねぇ。師匠とのミーティングを終えたエリスが、ぼーっと見ていた俺に持論を短く語ってくれた。ま、なんというか……コミュニケーションの重要性は判るし、それを商売に活かすのが大切なのも判る。ただエリスの場合……それらを駆使して領主を誘惑し豪商達に貢がせ贅沢三昧を送ってきたんだから……悪徳夫人を続けるためにも、それ相応の知識と技術と苦労があったってことか。彼女の知識はそれを続けるために必要だったことであり、今はそれを師匠のため……というか、俺の「株」を上げるために活用している。
「ところでフレア様。先日お願いしていた件ですが……」
「ああ、あれね。大丈夫、もう役人達には話を通してあるから。いつでも良いはずよ」
「ありがとうございます、フレア様」
 あれ、とは……この街「黒の0番街」を管轄している各役所の重役達への面会。その手回しを師匠に頼んでいたのだ。エリスは彼らと個別に面会し、政治的な話……ぶっちゃけ、「袖の下」に黄金色の手土産を、そして自らの美貌で「目の保養」を持参しようと企んでいる。万が一俺達に何かあった折りには融通が利くようにするための、保険だ。
 エリスという人材の適所。それは「外交官」だ。
 俺は……というか俺達は、人間ではない。そんな俺達が人間の街で暮らす為には、あまり目立たない方が良い……と、俺は思っていた。しかし屋敷を手に入れ、そこに賞金首や露出度の高い女が出入りしていればイヤでも目立つ。しかも屋敷自体が曰く付きの物件だし……そこへ今度は赤の13番街でレジスタンスを指揮したって事になっている、元領主夫人とその娘が移り住むことになったとなれば、ひっそりとってのにはどうしたって無理がある。それならば、むしろ積極的に周囲へ接触し平穏を「買い取る」方が妥当だと、エリスが主張していた。俺は彼女の外交能力を信じて全て任せてみたが……どうやら想像以上の成果が出ているようだ。
「悪党狩りも半ば容認されつつあるし……これからは私以外からも仕事が来るかもよ」
 もちろん収入は「一部」貰うけどね、とは師匠。この女はよぉ……まあ、エリスだけでなく師匠の顔の広さも俺達の生活に関わっている以上、強くは言えないんだが。
 そもそも、こうしてエリスが……突然離反した領主の妻が、堂々とこの街で暗躍できているのも師匠の手回しがあってこそだからなぁ。ま、師匠の場合エリスと違ってなんか色々と握っているらしいんだが……そーいう俺も、握られている立場だから何となく察しは付くが。
「ところでレイちゃん。話していたブラックガードの事だけどね」
 元聖騎士だったという、あのブラックガード。カサンドラは何かを知っているようだが話したがらないので、俺は師匠に話を振っていた。ブラックガードになるまでの経緯が少しでも判れば、今後の対策になるはずだから。
「その娘が「麗しの聖騎士」なんて呼ばれていた頃のことなら……まああなたも知ってるわよね?」
 五年前侵略され滅んだ国で活躍していた聖騎士。見たことはなかったが、噂は侵略側だったここガルザックにも届いていた。それだけ敵側にも憧れと恐怖を与えていた人物だったわけだが……知っているのはそこまでだ。具体的な武勇伝は数々あるが、それも集約すれば結局「麗しの聖騎士」という二つ名に収まってしまう。美貌と行動力、そしてカリスマ性に溢れた人物だったということに。
「戦後一度は捕らえられたはずなのよ。それは連行されるところを多くの人が目撃しているから間違いないわ。そしてガルザック国王の下まで連れてこられ、地下牢に閉じこめられていたまでは記録にもあるの。だけどそこから先が……」
「記録にもない、と。逃げられたって国が公にするはずもないしなぁ……」
 師匠の言葉を引き継ぎ、俺が推理を口にする。ま、この推理に間違いはないだろう。現に囚われ人だったはずのミネルバは俺の目の前に現れたのだから。
「問題は、地下で何があったのか……何をしようとしていたのか、か」
「彼女のカリスマ性を欲したでしょうね、国王は。だけどその求めに応じるような娘じゃなかったはずよ」
「抵抗を続ければどうなるか……ふふ、政治的な解決策でしたら、あらかたの想像は出来ますわね」
 俺の疑問に、師匠とエリスが言葉を続けて応える。俺も二人の意見に賛同するよ。何時までも幽閉を続ければ、彼女が生きていることを支えに離反が各地で巻き起こることが予想される以上……ミネルバの運命は決まってしまったようなもんだ。
「……あの悪魔と出会ったのは、獄中だと思って間違いないかな」
「そう考えるのが自然ね。敗戦後に幽閉なんて、堕落させるには最適な環境じゃない」
 心身共に疲れ切っている状況だからなぁ……聖騎士だって、心が揺れてもおかしくない。むしろ聖騎士だからこそ反動が激しそうだし。
「でね、その悪魔……四本腕の悪魔だけど、そいつはたぶん「グラブレズゥ」って言うデーモンだと思うわ」
 俺から身体的特徴を聞き出していたことで、師匠は悪魔の正体を突き止めていた。師匠が言うには、そのグラブレズゥは人間を誘惑し破滅行為をさせるのを好むデーモンだとか。ただ誘惑とは言っても俺達淫魔とは異なり、「力」を欲する人間に力を与えようかと誘うらしい。なるほど、力ね……幽閉中のミネルバが欲していたものとなれば、それが一番かもな。そして今ミネルバがやろうとしていること……それはまさに、グラブレズゥが好む破滅行為か。
「厄介なのが後ろ盾にいるのか……俺の女にするには困難を極めそうだ」
「レイちゃんまだ諦めてないんだ。流石というか何というか……」
 師匠に飽きられようが、諦めるもんか! むしろ話を聞いてるとますます欲しくなる。だがかなり厳しいのは間違いなく……色々、こちらも力を蓄えていかないとまずそうだ。
「その為にも……悪党狩りの仕事を増やして力を蓄えるか」
 吸血鬼であり淫魔である俺達が力を付けるには、人間の血や精力を吸うのが手っ取り早い。その為にも悪党狩りの仕事は貴重な補給源にもなっている。だから悪党狩りの仕事を増やすしかないんだが……そう大きな仕事が何件もあるわけではない。細かな仕事をコツコツと自分で探してやっていくしかないか。
「力を蓄えたいなら、やっぱり娼婦館開かないと、レイちゃん」
「またその話かよ……やらないって言ってるだろいつも」
 師匠が言う通り手っ取り早く力を付けるなら、眷属達に男を抱かせ、死なない程度に精力を吸わせて蓄積していくのが良い。むろん商売的にも美味しい話だからと師匠は娼婦館の運営を未だに俺へ勧めてくるが……娼婦用に眷属を増やす気も、今の眷属達を娼婦にする気もない。そもそも、師匠に売り上げをピンハネされるのを判っていて商売なんかやってられるか。
「地道に冒険者の店にでも顔を出して、小悪党でも絞ってくる方が性に合ってる。行くぞエリス」
「はい。ではフレア様、失礼いたしますわ」
 師匠の館を出ると、エリスは俺の少し後ろを付いて歩く。しばらく歩を進めてから俺はチラリと後ろを振り返り、軽く片腕を振ってみせる。
「貴婦人をちゃんとエスコートできない奴って、笑われたくはないんだけどな」
「……失礼しました、レイリー様。ではお言葉に甘えまして……」
 口元をゆるめながら、エリスが俺の腕に軽く腕を通す。妖艶な微笑みもいいが、満面の笑みも素敵じゃないか。そうエリスを再評価しながら、屋敷までの短いデートを楽しんだ。

 エリスの適所……というか、彼女のポジションは外交官だけではない。未来永劫絶対に変わることのないポジションに、彼女は常に立っている。
「もっと舌先は丁寧に……そう、まずは全体を濡らすように……」
「はい、お母様……」
 アリスの母。その立場は望む望まないにかかわらず不動。そしてアリスも、エリスの娘という立場に変化は絶対ない。二人が俺の眷属となっても、当然二人の関係は不変だ。故にエリスは母らしく娘を教育し、アリスは娘らしく母の教育を受け入れていく。
「裏筋の……そう、雁首の付け根。そこから舌先を鈴口へ……そう、そこがご主人様の好きなポイントですからね、アリス」
「はひ、ん、ビチュ、ピチャ……」
「ああ……美味しそうですわね、アリス」
「はひ、おいひいれす……ん、ご主人様の、おいひい……クチュ、チュパ、チュ……」
 ただまぁ、教育熱心な母親でも娘にフェラチオの指導をするなんて、そうそうある話ではないけどな。淫魔母娘となれば、ごく当たり前なのかも知れないが。
 とはいえ、淫魔なら本能で男の悦ばせ方は熟知していくもの。それにアリスは眷属前から「見取り稽古」だけはしっかり行っていた。今更直接指導を受けるまでもなく、アリスのフェラテクは見事なものだよ。それでもこんな事をするのは……これが「プレイ」の一環だから。
「唇をすぼめてカリを刺激しながら……ああ、あまり音を出しすぎますと下品になりすぎますわよ」
 フェラ自体が既に下品だとは思うが……まぁそこはそこ。エリスなりの「美学」があるのだろう。
「むふぅ、ん、はむ、クチュ、チュ……ふあ、はふぅ、ん、チュパ、チュプ……」
「ほら、美味しいからといって夢中になりすぎてはいけませんわよ。ちゃんとご主人様を見上げて、いかに美味しいのか、いかにご主人様のが素晴らしいのか、ちゃんと言葉になさい」
「ふあ、ご、ごめんなさい……美味しすぎて、ご主人様のとっても美味しくて……太くて固くて、舐めているだけで幸せになれるから、夢中になってしまいましたご主人様……」
 俺のから一度口を外し、両手でしごきながらアリスは俺に報告と謝罪をする。俺に向けられる瞳は潤んでいるが、それは謝罪の気持ちからではない。欲情しきった証。話す口は歪みきり、息も荒く、興奮を隠す気など全くない顔だ。
 そんなアリスの顔を見ていると、幸福と欲情が俺の身体を熱くする。だがこんな気持ちになっているのは俺だけではない。
「なんだエリス。娘の痴態を見て興奮しているのか?」
「ああ、申し訳ありませんご主人様……ご主人様のがあまりにも美味しそうで……いえ、その極上の味を存じているが故に娘が羨ましく……ご覧くださいませ、見ているだけでしたのに私の膣はこんなにも蜜を溢れさせてしまいました」
 エリスは自ら股を開き、両手の指で淫唇を広げて見せた。奥からはトロトロと、愛液が止めどなく溢れていた。エリスにとって、愛娘を奉仕させることはすなわち自身の奉仕に等しい。娘の痴態を見ることが、エリスにとって快楽の一部なのだ。そしてアリスも、母に見られることが快感になっていた。今までも男を自室などに引き入れていたときに見られていたということを知ったのは、彼女が眷属になる直前だったが、それを知った直後に眷属になったためだろうか……第三者に見られる事を快感にしていた。
 元々エリスは、俺の眷属になる前からアリスに「この手の」教育を施していくつもりだったらしい。女が男に奉仕するその行為は「武器」であり、女性が確固たる地位を築くために必要な「手段」だというのがエリスの持論。だからエリスは自分が夫や他の男に奉仕する姿をアリスに見せ、そしてアリスがどう男を誘惑できるかを観察していたのだとか。ある意味で教育熱心だが……それが高じて性癖になるとはな。やはり俺の眷属になるべくしてなった母娘だよ、こいつらは。
 性癖といえば……最近、妙な性癖が増えた眷属がいる。
「フィーネさん、シーツが汚れてしまいましたわ。どうにかしてくださらない?」
「かしこまりました、エリス様」
 シーツはエリスの愛液でグッショリと濡れている。それをフィーネは雑巾で拭き取る代わりに、ベッドの上で四つんばいになり直接シーツに口を付け吸い取ろうとする。ジュルジュルと愛液を吸い取る音が俺の耳にまで届いてくる。
「ほらフィーネさん。「元」をどうにかしなければ、シーツはすぐに濡れてしまいますわよ?」
「申し訳ありません、エリス様」
 謝罪の後に、フィーネは顔を僅かに上げエリスへと四つんばいのままにじり寄る。
「失礼します、エリス様」
 そしてフィーネはエリスが自ら広げたままにしている膣に接吻する。そして舌をその膣の中へと押し入れていった。
「んっ! もっと優しく……そう、ああ! ええそうです、もっと奥まで……んぁあ!」
「クチュ、チュパ……ふぁ、エ、エリス様、申し訳ありません。甘美なエリス様の愛液が後から後からあふれ出て……ん、クチュ、ピチャ、おっ、追いつきません……ふあ、ん、クチュ、チュプ……」
「なっ、なにをして、んっ! なにをしているのですか、フィーネさん……ふぁ! だっ、だしないメイドですこと……はぁあ!」
 従順だった村娘は、すっかりマゾ気質を身に染みこませていた。この性癖はそもそもセイラが植え付けたものだが、エリスが眷属になってからはそのマゾ気質を更に開花させ、奉仕属性を開眼していた。俺との主従関係はもちろん、セイラやエリス相手にも奉仕する事で快楽を得られるマゾメイドは、進んで自ら奉仕し、それだけで逝ける女になっていた。
 そしてフィーネの性癖はそれだけに止まらない。
「おいおいフィーネ。今度はお前がシーツを汚しているぞ? こっちからもよく見えるくらいにな」
「ん、ビチュ……も、申し訳ありませんご主人様……」
 謝りながらも、フィーネはシーツを汚している原因……彼女の膣からあふれ出る愛液を止めるそぶりなど全くしない。それどころか、俺にその膣がよく見えるよう尻を俺に向け足をもっと開き始めた。
 フィーネの露出癖は眷属化直後から見られていたが、こちらも更に磨きが掛かっている。最近は下着を履かずに買い物へ出かけるのが当たり前にすらなっているほどだ。
「あら? アリスまでシーツを汚して……なんてはしたない」
「ご、ごめんなさいお母様……ん、クチュ、チュパ……」
 そしてアリスも、母に指摘された締まりのない膣を、母によく見えるよう向けている。糸を引き垂れ落ちる愛液は、シーツはもちろん淫唇も太股もグッショリと濡らしていた。
「だらしないな二人とも……ほら、せめて手で押さえたらどうだ」
「ふぁ、はいご主人様……」
「手、手で……ん、ふぁ! クチュ、チュパ……ん、んふぅんん!」
 膣に片手を伸ばす二人。愛液がこぼれないよう指を入れて栓をする……訳がない。入れた指はグリグリと膣内の秘粘膜をかき回し、更なる愛液の呼び水となっている。もちろんそうなると判っていて俺も指示しているわけだが。
「どうしようもない、二人ですわね……んっ! なんとはしたない……ふぁあ!」
 そーいうエリスは、自ら胸を揉み出している。まったく、どうしようもないのは誰だよ。本当に……素晴らしいよお前達は。俺の目の前で豊満な胸がユサユサと揺れ、愛らしい尻と腰はクネクネとうねり、可愛らしい唇はチュパチュパと俺の肉棒を舐め上げる。この光景、まさにハーレムの醍醐味。舐められていなくとも、この光景だけで俺も逝けそうだ……。
「くっ、そろそろ……」
「ご、ご主人様、い、逝かれるのですね……アリス、のっ、飲んでは、全部飲んでは、いけませんよ……母に、母にも、ご主人様の恵みを……」
「クチュ、ん、チュパ、クチュ、ふぁ、お母様、わか、ん、クチュ、判ってます、ん、おいひ、ん、クチュ、クチュ……」
「ん、チュパ、エリス、様。わっ、私にも、私にも……ん、クチュ、んっ!」
「ええ、もちろんです……ん! だから、もっと奥……ご、ご主人様と、いっ、一緒にいけ、いけるよう、に……ふぁああ! い、さ、流石ですフィーネさん、お、お上手で、んぁあ!」
 プレイのために上下関係を演じているエリスとフィーネだが、俺は眷属同士に上下関係を持たせるのを嫌っている。またそれ以前に、エリスはフィーネのことを気に入っているようで、アリスとはまた別の「娘」のように可愛がっている。エリス曰く、フィーネは自分のような「悪女」になれる素質があるとかで……純情素朴な村娘が悪女にねぇ……眷属化の影響が大きいのだろうが、そうやって変貌していけるのなら、かなり楽しみだな。
 ……などと、物思いに耽っていられるだけの余裕はもう無いか……
「く、出るぞアリス」
「ん、だひ、だひてくらはいごひゅ……んくぅ!」
 アリスの口上を待たずに、俺は彼女の口内へ褒美をありったけ注いでやる。アリスは射精の勢いを喉で感じながら、身体をヒクヒクと振るわせている。どうやら逝ったようだ。その絶頂を愉しみつつアリスはまるでハムスターのように頬を膨らませ、小さな口に褒美を蓄えている。アリスは振り返り、まだ快楽に打ち震える身体に鞭打って愛しい母と親友の下へと四つんばいで駆け寄る。
「ぷはぁ、ん、ああ、お母様……ん、クチュ、チュ……」
「アリス……ん、美味しいですわ。ほら、フィーネさんも……」
「精液、ご主人様の精液……ん、ベロ、チュ、クチュ……」
 三人は俺の精液を分け合いながら舌を伸ばし、絡ませ、吸い付き、いつの間にか頬や首筋、そして鎖骨に胸と、互いの身体を愛撫し始めた。俺の精子をすりつけ染みこませるかのように。
 まったく、なんてエロい光景だ。見ているだけでまたいきり起ってきたぞ。さてこいつをどうする……ん?
「なにやってんだよ、セイラ」
 いつの間にか、今度はセイラが俺の肉棒にむしゃぶりついている。
「ん、クチュ……ん、ふふ。だって私、あぶれてしまって。ほら、あちらはあんな感じですから」
 チラリとセイラが視線を送る。その先では……。
「りょ、ん! りょうほうは、きっ、きつ……んん!」
「なに言ってんだ、よ! ほら、こんなに、締め付けとい、て、さ!」
「後ろも、すごい……ん、くっ!」
 カサンドラに立ったまま抱きかかえられ、お得意の駅弁スタイルで犯されているリーネ。更に後ろからはアヤが加勢している。二人とも師匠特性の双頭ディルドで愉しんでいるようだ。
「先ほどの三人も、別のスイッチが入ったようですし……たまには私がご主人様とまったりと……」
「ま、それも悪くないな」
 しかしセイラは本当に「まったりと」愉しむ気があるのだろうか? 気付けば俺の手には真っ赤な蝋燭が握らされている。俺がその蝋燭に視線を移すと、突然蝋燭に灯が灯った。むろんセイラの仕業だ。
「変態司教め」
「ふふ、そんな私がお好きなのでしょう?」
「もちろんだ。そら、蝋をくれてやるからちゃんと舐めろよ?」
 俺はフェラを再開するセイラの胸に、至近距離から蝋を垂らしてやる。その度にビクリと身体を震わせ舐める舌が不定期に揺れる。それがまた俺の肉棒を心地好く刺激するから面白い。
 俺はセイラの舌と反応を愉しみながら、ふと周囲を見回す。
「アリス、もっと舌を絡ませて、ん、クチュ、チュパ、チュク……ん、舌、舌の裏にも……」
「ふぁい、お母様……ん、チュパ、チュ、ぷは、ん、くぁあ! フィ、フィーネ、そこはぁあ!」
「アリス可愛い……ん、クチュ、チュ……美味しい、アリスの蜜。ね、もっと舐めさせて……クチュ、チュパ」
「まだへばるなよ? リーネ。まだこれからだぜ?」
「そ、もうダメ……ん、ふぁあ! や、またうご……ひぐぅう!」
「ふふ、身体は悦んでる……可愛い、リーネ」
 そろいもそろって変態どもが……流石は俺様の眷属だ。

 赤の13番街での一件以来、大きな仕事が全くない。師匠が商売に忙しいから、というのも一つの理由だが、あの一件で大物悪党がなりを潜めているのも原因としてあげられる。なにせ領主が突然離反し、そして突然鎮圧されたんだ。誰だって「何か」が起きていると察するモンだ……普通離反するなら、もっと準備を整えじわじわと内政からやってくもんだろ。それを突然の、しかも予期せぬ兵量での武力投入による離反だからなぁ……鎮圧されたって話も、どこか眉唾物って受け止めてる者は多い。そうなりゃ、とりあえず様子見……って構えて当然だよな。そんなわけで、俺達は暇だった。
「そりゃさ、退屈なのよりは良いけどよぉ……しけてんなぁ」
 カサンドラがかつての「住処」を眼前に迎えながら、愚痴る。
「見張りのコボルドが三匹……確かにコレではチーズの一欠片ほども「美味しく」ありませんわね」
 溜息混じりにセイラが呟く。まあ予測できた結果だから仕方ないんだがな。
 暇だった俺達は、冒険者の店で悪党狩りが出来る仕事を探していた。しかしこちらでもあまり割の良い仕事はなく、多くが護衛依頼や物品探索などの、悪党に直結しない仕事ばかり。そんな中でも、どうにか「おやつ」程度になりそうな仕事が……これだった。
 最近山岳の一部でモンスターを見かけるようになったから、調査して欲しい。大まかな依頼内容はコレ。漠然とした依頼で報酬も安く、あからさまに初心者向けだった。しかし漠然としすぎて初心者も食いつかず、半ば放置気味だったこの依頼に俺達が食いついた。何もないよりはマシだと。もっとも、食いついたのには暇だからという以外にも理由がある。
「この隻眼のカサンドラ様が使っていた小屋だぜ? 豪勢なモンじゃねぇが、にしてもコボルトだけってのは寂しすぎるぜ」
 モンスターを見かけるようになった場所。そこはかつて山賊がうろついていた山岳の岩場……カサンドラが昔アジトにしていた場所の一つだった。依頼は漠然としていたが心当たりがあったため、軽くおやつをつまむにはいいかと乗り出したのだ。ただ小屋を利用するモンスターなら上手くいけばバクベアあたりはつまめるかと期待していたんだが……その期待は見事に外れた。
「……待ってください。どうやら……大当たりかも知れません」
 落胆している俺達の中で、唯一アヤだけが希望を捨てていなかった。俺の影から半身を乗り出し、振り返りながら報告する。
「主、小屋の中が覗けません。どうやら魔障壁で魔力を遮断しているようです」
 俺達にはもはや必須アイテムといって良い、ロケーションの魔具。俺はアヤから報告を受け、自ら確かめるために魔具を使って中を確認しようとした。しかし彼女の言う通りロケーションが効かない。
「つまり……中には魔障壁を使えるだけの力を持った方がいると?」
「ええ、そう考えるのが自然だと」
「ほう、面白れぇ。そうこなくっちゃな」
 眷属達が各々に語り盛り上がっている。大物の予感に沸き立つのは判るが……警戒もしてくれよ。小屋とは言っても、かのカサンドラ一味がアジトにしていた山岳の小屋だ。20人は寝泊まりできるだけの広さがある。それだけの広さをカバーする魔障壁を作り出せるんだ、それなりに実力のある者達がいるということであり、同時に20人を相手にする可能性があるということで……まあ彼女達の場合、そこまで考慮した上で楽しんでいるんだろうが。
「さて、どう攻める?」
 俺に尋ねてはいるが、カサンドラは大斧を構え目で「突っ込みたい」と訴えている。もちろんそれは却下だ。
「まず見張りを片付けるか。アヤ、セイラ、手早く頼むよ……だからお前は待機してろって」
 不服そうに頬を膨らますカサンドラ。大女がそんな可愛らしい態度を取るんじゃないっての。
「心得ましたわ。ではじっくりと……」
「手早くな、て・ば・や・く。悲鳴を上げさせるんじゃないぞ?」
「判っておりますわよ……もう、信用ございませんのね」
 今お前、じっくりとか言ってただろうが。
「それでは、私はあちらを片付けますわ」
「では私はあちらを……」
 セイラはゆっくりと俺達から離れ、岩陰に身を潜めコボルドを狙う。愛用の鞭を地に垂らすと、スルスルと蛇のように地を這いコボルドに近づいていく。一方アヤは俺の影に戻り、その影から岩の影へと瞬時に移動し、移った影をゆっくりと不自然な方向……コボルド達の影へと伸ばしていく。見晴らしの良い場所で身を隠す場所は少ないのだが、二人とも見張りのコボルドに全く気付かれる様子は無い。
「!」
 声にならない悲鳴を上げ、コボルドが二匹影に飲まれた。影は瞬時に元の形へ戻り、しばらくして大きめの干物を吐き出す。残った見張りは異変に気付くことなく……やはり干物にされていた。干物の首には茨の鞭が絡まり、声を出す暇も与えなかったのがよく判る。
「前菜にしても物足りないですわね。やはりコボルドでは」
 眷属としての力を増してきたセイラは、魔力も増幅していた。そんな彼女だから、今では鞭を自在に泳がせることも可能になったが、そんな彼女だからこそ、コボルド一匹の精力では何の足しにもならない。
「ならもう、メインディッシュを食らおうぜ」
「そうがっつくな」
 前菜すら口にしていないカサンドラが身体をウズウズさせ待ちきれないとアピールする。だがそれを俺が止める……だから頬を膨らませるなカサンドラ。
 さて、ここからが本番だ。小屋の中には誰がどれだけ待っているのか……確認するなら、直接見るしかないな。俺は胸元に下げている通信機代わりの魔具を握り、アヤに合図を送る。岩の影に同化していたアヤは、そこから小屋の影へと移り、影から身を乗り出して中の様子を探った。しばらくしてアヤは影を伝って俺達の元へと戻って来る。
「……細部まで確認できませんでしたが、どうやら素敵なディナーになりそうです」
 アヤの言葉にカサンドラとセイラが瞳を輝かせる。俺はといえば……
「女は?」
 何を差し置いても一番重要なことを、まず確認した。アヤは俺の問いに、口元をつり上げることで答えた。
「サキュバスがいました。他にも下等デーモンと、どうやら魅了されたらしき男達も……人数までは確認できませんでしたが」
 サキュバスだと? それはそれは……美味しいじゃないか。しかし同時に、色々と……厄介だな。
 当たり前だが、サキュバス相手に俺達の魅了などの力は通用しない。しかもあちらは俺達と違い淫魔としての力を充分に発揮できる。当然魔法も……おそらく魔障壁を作り出したのはそのサキュバスだろう。加えて、下等とはいえデーモンもいるとなれば……面倒だな。
 しかし……なんだってこんな所にサキュバスが? 魅了されている男達というのは……住み着いた新しい山賊達か何かか? なんにしても、それを知る手立てはないか。やれることは、美味しくディナーを頂くことだ。
「さてどうしたものか」
 顎に手を当て思案する俺。
「突っ込……」
「却下」
 まあ、カサンドラの案も悪くはないんだがな。油断しているだろう相手に特攻をかけるのも、作戦としては有りだろう。しかしそれは相手を見境無く斬殺するには適していても、ディナーとしていただくには適さない。以前フィーネ達の村を襲ったヴァンパイアを退治したような奇襲作戦も同様。
「既に見張りはいませんから、いずれ様子を見に誰か出てくるのではないでしょうか?」
「だろうな……なんか思い出すな」
 カサンドラを眷属にしたあの日。単身でアジトに攻め入ったあの時を思い出す。今回もあの時と同様に……は、いかない。相手はサキュバスとデーモン、そして魅了された男達……お得意のゾンビパウダーは効果がない。
「しょうがない、呼び出すか。セイラ、アヤ。さっきと同じように出てきた奴らを吸い尽くせ。今度は気付かれても良いが、手早くな。カサンドラ、あまり大挙して出てくるようなら一気に斬り殺して良いぞ」
「へへ、そう来なくちゃ。さぁて、どうせなら100人くらい出て来やがれ」
「そんなにいませんわよ……ふぅ、いずれにしても私が楽しむ余裕はなさそうですわね」
 カサンドラとは対照的に、セイラはつまらなそうだ。そんな彼女を奮起させるのは、アヤの一言。
「沢山精力を吸えば、それだけ主に精力を渡せるのですよ?」
「ふふ、そうでしたわね。たっぷりと私から吸って貰えるように、そうですわね……100人ほど出て来てくれませんかしら」
「だからそんなにいねぇって言ったのお前だろ」
 今度はカサンドラがツッコミを入れる。仲良いな二人とも……って感心している場合か。ノリは軽いが、相手の実力が読めないだけ楽観視は出来ないんだからな。人数の不利は不意打ちできるこの状況でカバー出来ていると信じたいが、それも相手の実力次第か。
 まず眷属達をそれぞれ配置につかせ、俺は手近な石を拾い扉に向かって投げつけた。ゴン、と鈍い音が響く。しばらくして……きしむ音を響かせながら扉が開いた。出て来たのはコボルドが二匹。様子をうかがうために扉の外へ足を踏み出したところで、その姿を消す。アヤによって影に引き込まれたために。
「あん?」
 異変に気付いた何者かが声を上げている。しわがれた声からして、デーモンか……そいつが直接来るか、それとも男達に命じるかで戦局が変わるな……さて、どっちが来るか。
「おいシーラ、なんか様子が変だぞ?」
「なによ、だったら自分で見てくればいいでしょ?」
「けっ、面倒な事はそいつらにやらせればいいじゃねぇか」
「ダメよ、こいつらはゲルガー様に捧げる大事な兵力なんだから」
 ゲルガー……だと? 確か、あの四本腕の悪魔がそんな名前だったが……おいおい、これはどういう事だ?
 小屋の中ではまだ言い合いが続いていたが、どうやらデーモンが直接来るようだ。呑気な連中だな、この状況に危機感を持たないとは。だが先にデーモンへ奇襲を掛けられるならこちらには都合が良い。「大事な兵力」とやらを削れないのは痛いが、主力を叩けるならその方が良い。
「あいつら何処に消え……ぐっ!」
 アルラウネの蔦から出来た茨鞭が、デーモンの首を締め付ける。慌てて絡まる鞭に手を掛け首から外そうともがくデーモン。だが食い込んだセイラの鞭はそう易々と外れはしない。鞭の主に気付いたデーモンが、掌をセイラに向ける。
「マジ……うぐぅ!」
 呪文を唱えようとしたその声は、すぐさま悲鳴に変わった。声を出すべき喉を絞められているだけでなく、背後から首に噛み付かれれば、さしものデーモンですら悲鳴を上げる。しかも絡まる鞭と食い込む牙から精力を奪われているのだから。
「ちょっと、なに? なんなの?」
 ようやく自分達が追い込まれている事態を把握したサキュバスが声を上げたときには、世にも珍しいデーモンの干物が出来上がっていた。
「なっ……あ、あんたたち、やっちゃいなさい!」
 大事な兵力を躊躇無く投入するサキュバス。一斉に男達はこちらに向かって駆け出すが、狭い扉からではいっぺんに出ては来られない。押し合いへし合い、どうにか出て来た男達は順序よく影に飲まれ、あるいは鞭で引き倒されていった。
「やっと出番だ……待ちわびたぜ」
 残った男達を前に、カサンドラが舌なめずりして歓迎する。場合によっては相手を魅了しゆっくりと「頂く」こともあるカサンドラだが、既に魅了されている相手にそれは出来ない。もっともカサンドラにとって「頂く」というのは、そればかりではない。
「おぅらぁ!」
 横一文字。まだ武器も構えられない状況で、男達は身体を二つに分かつ。
「歯ごたえねぇなぁ……さっきの悪魔とやりたかったのによぉ」
 つまらなそうに愚痴るカサンドラ。しかし彼女の顔はすぐに一変、目を見開き驚くこととなる。
「マジックミサイル!」
「くぅっ!」
 とっさにガードするカサンドラ。光り輝く魔法の矢が五本、カサンドラに向け放たれた。全弾命中してしまったが、しかしカサンドラに怯む様子はない。
「やるじゃねぇか……だけどこの程度じゃ面白くねぇぞ?」
「なっ……なんなのよあんた達……」
 小屋の中で、サキュバスが狼狽していた。瞬く間に部下も仲間もやられ、孤立した淫魔が今できる事なんて、そんなものか。
「正義の味方にでも見えるかい? だとしたらハズレだな」
 俺は小屋に踏入ながら、たじろぐサキュバスにヒントをくれてやる。そうしながら、じっくりと彼女を観察した。金色に輝く髪はまっすぐ長く伸びており、身体のラインは淫魔らしく魅惑的で卑猥な曲線を描いている。何より目に付くのは……俺達のようなハーフにはない、コウモリに似た翼。彼女が生粋のサキュバスである証だ。
「……そうかあなた達……ゲルガー様の言っていた「半端者」ね? もうゲルガー様の計画をかぎつけるなんて……」
 また出たな、その名前。何を企んでるんだ? 色々聞き出さなければならないことが多すぎる。
「さて、素直に色々教えてくれないか? その計画とやらをさ」
 彼女の周囲には眷属達が立ちはだかる。もう逃げ場はなく、反抗も出来ないのは明白だ。
「あら、知らないで来たの? だったら……知らないまま、ゲルガー様に踊らされれば良いんだわ」
 ま、予想通りの答えだな。俺はわざとらしく大きな溜息をついた後、アヤに目配せで合図を送る。アヤはサキュバスの影に触れ、呪文を呟き始めた。
「な……に、したの……」
「影縛り。もう自由に動けないわ」
 サキュバスは立ったままアヤに動きを封じられている。これでもう、色々したいほーだいってわけだ。
「名前は……シーラだったか?」
「……」
 ちらりと聞いた記憶をたぐり寄せ問いかけてみたが、返事はない。むろん口まで動かせないという訳ではない。
「シーラ、状況は理解しているだろ? あのゲルガーって悪魔にどれだけの忠義があるんだ? 大人しく話した方が身のためだと思うがなぁ」
 おそらく彼女はあのゲルガーって奴に呼び出された使い魔なのだろう。呼び出された以上召還主に従うのが使い魔というものだが、しかし身を盾にしてまで守るような忠義があるようには見えない。それこそ「ちょっと雑用を頼まれた」くらいの、簡単な契約だと思うんだが……頑なに口を閉ざす理由は、もっと別なところにあった。
「別にゲルガー様が怖い訳じゃないけど、あんた達みたいな半端者に屈するなんて、ごめんね」
 プライドか。ま、判らんでもないがな……。
「それとも、私もあんたの眷属にしてみる? あはははは、あんたみたいな中途半端な奴には無理だろうけどね!」
 この女、俺を舐めてるな。まあ完全なサキュバスからしてみれば、半端な淫魔、半端な吸血鬼に屈服するなんてあり得ないと思っているのだろう。
 確かに、サキュバスを眷属にすることは出来ない。同じ淫魔同士だからということもあるが、吸血鬼としてサキュバスを眷属にするなら、かなり強い力が必要だ。彼女が言う通り、悪限定で力を高めているとはいえ今の俺では彼女を眷属にすることは不可能だ。
 しかし……眷属には出来なくても、俺の女にする方法はある。折角の淫魔、それも上玉で、有力な情報まで握っているんだ。このまま逃すわけがない。
「ちょっ……何する気?」
 黙って近づく俺に、淫魔が警戒する。尋問があるとは思っていただろうが、そんな様子ではない事に僅かながら怯えている。ま、痛めつける尋問ならセイラが嬉々としてやるだろうが、それで口を割りそうにもないし、まして俺の女になる訳じゃない。なら、俺の女になるように……なりますと懇願するように差し向けるのが一番の得策だ。
 俺は黙って、シーラの首に噛み付いた。眷属には出来なくても、精力を吸い取ることは可能。くぅ、流石は生粋の淫魔……人間とは違う、濃厚でドロドロしたエネルギーがどんどん俺の中へ流れてくる。
「かっ、は……」
 身動きが取れないながら、シーラは生への渇望に身体を震わせる。このまま吸われ続ければ、当然干からびて絶命するだけ。それを身体が予見し、無駄な抵抗を試みている。ま、もちろん殺す気はないが。
「もう良いだろう、アヤ。自由にしてやれ」
 とはいえ、シーラは自由に動くことも出来ないだろうが。かなりギリギリのところまで精力を吸ってやったからな。
「さて……情報を提供する気になったか?」
 言葉はなく、弱々しいが反抗的な視線がこちらに向けられる。そうでなくてはな。ここで情報を話されては興ざめだし。
「困ったな……仕方ない、こいつは後回しだ」
 そういいながら、俺は鎧を脱ぎだした。
「お前らも準備しろ。奪った精力を分け合うぞ」
 俺の言葉を待ってましたと、三人はいそいそと鎧を、服を、脱ぎ始めた。俺の意図を理解しているのかはさておき、三人は瞳を濡らし我先にと俺様の肉棒に群がった。
「ん、クチュ……主、ご主人様……ん、美味しい……」
「アヤさん、私にも……ん、ふふ、ご主人様もうこんなに……ベロ、チュ、チュパ、クチュ」
「くそ、出遅れた。なら私はレイリーの……ご主人様のお尻、舐めるぞ……ん、クチュ、チュ、チュ……こっちも美味しい、ご主人様……チュパ、チュ」
 仁王立ちした俺に、眷属達が舌で奉仕し続ける。その様子を力なく横たわりながら、シーラもじっと見ていた。
「クチュ……ん、ほら、こんな立派に……うふ、カウパー出て来た。美味しい……」
「セイラ、私にも……チュ、クチュ……ああ、美味しい、美味しいですご主人様」
 亀頭を見せつけるように、けして俺の前に回らずサイドから舌を伸ばし鈴口から溢れる先走り汁を舐め取る二人。どうやら俺の意図は理解しているようだ。
「くっ……三人で攻められると流石に……」
「あら? もう出てしまいますの? ご主人様……ふふ、そんなに気持ち良かったですか? クチュ、チュパ」
 セイラが意地悪そうに尋ねる。こんな時でもサド気質は出てくるものだな。そしてこんな時だからこそ、彼女のサド気質が「尋問」に効力を発揮する。
「セイラ、出すぞ」
「はい、いつでも……ん、クチュ、チュ、ん、チュ、んっ!」
 俺は前に回り込んだセイラの口に、顔に、胸に、白濁液をまんべんなく振りまいた。淫魔の生気を吸ったばかりだからか、いつも以上に大量に出たな。
「ああ……ご主人様の……ふふ、これだけで逝ってしまいましたわ」
 身を震わせながら告白するセイラ。そして彼女は振り返り、胸に浴びた白濁液をそのまま刷り込むように、胸をネチャネチャと音を立てながら揉み始める。
「あ、は……」
 その様子を、息絶え絶えにシーラが見ている。舌を出し、物欲しげな瞳で。
「あら? あなたも欲しいのかしら? 欲しいなら……こちらまでいらっしゃいな」
 挑発するセイラに、シーラは応えない。だが弱々しく手を伸ばし、身体が求めているのを訴えている。
「おいおい、冗談はよせよセイラ。仲間でもないこんな奴に、分けてやる分なんかあるもんか」
「そうですね。こんな美味しいもの……ん、ピチャ、チュ……譲るなんて、もったいない」
 セイラの顔に粘り着いている精液を、二人が横から舐め取りながら言い放つ。二人とも視線はシーラに向けながら。
「あら残念ですわね。シーラさんが素直になってくだされば問題ありませんのに」
 挑発的な三人の視線。それを受けるシーラは、口を振るわせ手を振るわせ、物欲しげな視線を漂わせるだけ。
「あらなんですの? よく聞こえませんわ」
 話せないのを判っていて、セイラはシーラににじり寄りながら尋ねる。むろん答えは返ってこない。
「ご主人様は寛大な方ですから、シーラさんが欲しいと言えばくださりますわよ? どうですか、欲しいのですか?」
 側まで近づいた俺の肉棒を手でしごきながら、セイラが問いかける。弱々しい唇は震えながらどうにか声を絞り出してきた。
「ほし……い……」
 その応えにセイラは満足し、ニッコリと微笑みながらシーラに語る。
「そうですか。でもご主人様は寛大でも、順序、というものがございますの」
 セイラが俺の肉棒を手放したのを合図に、俺はその場で仰向けに寝そべり、その上にカサンドラが跨った。
「そ、順番がな。まずは私が……んっ! くぅ……いつもより太……い、ん、あっ、くぅあ!」
 脚を広げ、結合部を見せつけるようにして腰を上下に動かすカサンドラ。グジュグジュと湿った音とパンパンと肉がぶつかり合う音がよく響く。
「い、ごしゅ、ごしゅじん、さま、は、はげし、ん、くぅ! こし、こし、はげしくて、ん、い、かんじ、かんじる、ん、んんっ!」
「あらあら、カサンドラさんったらはしたない……でも、気持ちよさそうですわね」
「ええ……本当に気持ちよさそう。あなたはどう思う?」
 シーラの左右には、あぶれた二人。耳元で眼前の淫行を解説するかのように語りかける。
「ほら、カサンドラさんの淫唇があんなにめくれて、中から愛液があんなに溢れてて……」
「中は凄いよ。ご主人様のカリが秘粘膜を擦って気持ち良いの……あれを知ったら、もうご主人様無しじゃ生きられなくなる」
「ん、そう、これ、これ、きもちよく、て、も、もう、ごしゅじんさま、なしじゃ、ダメ、ん、い、ふぁあ! きもち、よすぎ、て、い、くぁああ!」
 痴態を見せられ言葉で攻められ、でも自慰も出来ず誰にも触れられず……淫魔にとってこれほどの苦行があるだろうか?
「いく、い、わた、ごしゅじんさま、いく、いきます、いく、いく、いっ、くぅおおおお!」
 叫びのような喘ぎ。カサンドラは腰を振るわせながら吼えた。勢いよくカサンドラの中に白濁液が注がれ、喉を鳴らすように膣が蠢き子宮が御馳走を啜っていく。
「あんなになっちゃうくらい気持ち良いのよ……凄いでしょ?」
「さてようやく私……ん、もう我慢できない」
 余韻を楽しむカサンドラに、すぐどけと肩を押し抗議するアヤ。それに応え、カサンドラは肉棒を膣から抜き取り離れていく。そしてすぐさまアヤは俺に跨り、まだ固いままの肉棒をすぐさま自分の中へ招き入れる。
「もう、こんな、ん! さ、さすがご主人様……ん、ひぁ! こ、これ、これ、これぇ!」
「ふふ、アヤさんも凄いですわね……ああカサンドラさん、膣から溢れてますわ。もったいない……」
「凄い量流し込んでくれたからな……ほら、どうだ?」
 淫唇を広げ、中を見せつけるカサンドラ、見せる相手はセイラと、そしてシーラ。愛液と混じり合った精液がツーっと糸を引き、垂れ落ちる。その雫が、シーラの腹部に落ちた。
「うぁあああああああああああ!!」
 突然奇声を上げエビぞり身を震わせるシーラ。たった一滴でも、干からびる寸前であるシーラには貴重な精力。しかもその一滴は半端者とはいえ淫魔の精液と愛液の混合液。そりゃ「キク」ってもんだろう。
「なんだよ、これだけで逝ったのか?」
「あらあら、半端者な私達のでも、満足してしまうんですか? 生粋のサキュバスなんて言っても……所詮はこの程度でしたの?」
 二人のなじりも、耳に届いているのかどうか。シーラは僅かに力を取り戻したその身体を引きずるように動かし、まぐわう俺とアヤに近づいてくる。
「か、は……これ、い……ほ、ほしい……」
 渇望する身体に垂れた一滴が、ある種の呼び水となったか。シーラは理性の欠片もない瞳で俺達の結合部を凝視しながら潤いを求める。
「おっと、順番だって言ったろ?」
 乱入しようとする無粋な女を、カサンドラが首を捕まえ地に押しつけ、取り押さえる。
「アヤさんの次は私。そしてその次は……」
「また私だ。当然その次はまたアヤだな」
「あらあら、残念。ご主人様の眷属ではないシーラさんの出番は、一体何時になるのでしょうか?」
 クスクスと笑いながら、二人はシーラに残酷な宣言を放つ。実質、シーラに順番は回ってこないと言っているようなものなのだから。
「や、ほし、い、ほしい、ちょうだ……い、ね、ねぇ、ほしい、ほしい、ほしい、ほしいのぉぉ!」
 組み伏せられながら、気力を振り絞るような絶叫。とうにプライドなど粉砕され、渇望する本能が快楽と精液を懇願させた。先ほどまでなじっていた半端者に対して。
「ん、ふふ、い、いいで、しょ、これ、きも、ち、よくて、とっても、ん、あっ! い、きもち、い、ん、ふぁあ!」
 求めるものは目の前。でもそれは他人のもの。それでも、シーラは求める。求めることしか、彼女に出来ることはなかった。
「いや、ほし、ほしい、ちょうだい、ほしい、ほしい、ほしい……」
「ん、ひぁ! い、もう、いき、いきます、ごしゅじん、さま、い、いく、アヤ、いく、いき、いきま、す、ん、くぅうううう!」
「いや、わた、わたしの、わたしのぉおおおお!」
 M字に股を開きながら、アヤは身体を震わせた。そしてゆっくりと腰を上げると、膣からコポッと音がすると共に、たらりと混じり合った白濁液がこぼれた。シーラはその垂れる白濁液に届きもしない舌を伸ばし、地にはいつくばりながら悶えた。
「そんなに欲しいか?」
 俺は立ち上がり、シーラを見下ろしながら問いかける。
「ほしい、ほしい、ね、ちょうだい、ちょうだい、ちょうだい、ね、ねぇ!」
 狂乱しながら問いに答えるシーラ。少し前までの余裕は何処へやら……俺はそんな彼女の姿に満足しながら、ようやく「本題」へ進めた。
「なら、屈服しろ。俺様の「使い魔」として契約を結べ」
 眷属化が無理でも、使い魔という形でなら俺の女に出来る。むろんこれは口約束だけですませるものではなく、魔族同士の、魂をかけた契約。その拘束力は眷属化にも等しい。
「けいやく……する、します、しますから、ちょうだい、ほしい、ほしいの!」
 躊躇いなく、契約を約束するシーラ。むろんこれで契約が成立するわけではない。
 俺は使い魔を使役させるための呪文を唱え始める。少し前までは狼をようやく従わせる事が出来る程度だったこの力も、今は相手の合意さえあれば強固な契約を取り交わせるまでになった。それだけ力を増してきたって証だが……そこまで力を増していて良かった。力がなければこの女を手に入れることが出来なかったんだからな。
 俺はカサンドラに命じてシーラを立たせ、そして契約の儀式を進めていく。
「我が汝に与えるは、快楽と精力。汝が我に与えるものは何か?」
「わ、わたしが、あたえるのは、このみ、わたしをあげます、だから、ちょうだい、ね、ちょうだい!」
 自分を捧げるというシーラに、だが俺は首を振り拒んだ。
「それでは不十分だな。俺が求めているもの……よく考えて応えてみろ」
 理性を失い狂乱した状態でも、契約してしまえばその拘束力は絶対。だからこそ、俺は更に上を求めた。それも、自分を見失っているシーラが自ら俺の求めを理解し応えさせるようにし向けて。そこまでして言わせること自体に契約としての意味はないが、俺の精神面を満足させたいのだ。
「なに、なによ、ね、いいでしょ、ほしいの、ね、いいから、ちょうだい!」
「ダメだ。よく考えろ。俺が求めているもの。そう、お前らも求める、もっと大事な物だ。淫魔のお前には理解できなくとも、俺はそれを求めるぞ」
 シーラが淫魔だからこそ、俺は求める。それを差し出させることで、契約は完璧なものとなるのだ。
「りかい、できない……こ、こころ、こころを、ささげます……」
「それも当然だ。だが、まだあるぞ。もっと理解できないものを、差し出せ」
「わかんない、もうない、ね、ちょうだい、もういいでしょ!」
 このままだとシーラが崩壊してしまうか? しかしこれは譲りたくない……焦る俺を察したのか、眷属達が俺にしだれ掛かりながら助け船をよこしてきた。
「なあ、こんな奴ほっといて私達とやろうぜ。な、愛しのご主人様」
「そうですわ。もうよろしいじゃありませんか。我が愛すべきご主人様」
「ご主人様、私達の愛を受け止め、そして愛を与えてください……」
 反則スレスレのヒントだな。しかしその甲斐あって……
「あ……あい、あい、あいをあげます、あい、あげます、だから、ちょうだい! ごしゅじんさま!」
「よし、汝の身と心と、そして愛を貰い受ける。今より、汝は我が僕だ!」
 契約の呪文を完成させ、俺はシーラの左胸に手を添える。淡く手が輝き、そしてその光が消えた今、契約は完了した。
「よしこれで……」
「ごしゅじんさま!」
 もう待てないと、シーラは力を緩めていたカサンドラを振り切り俺に飛びかかり押し倒した。
「ん、クチュ、チュ……キス、キス、すごい、これだけで精気が……ん、クチュ、チュパ……」
 まるで子犬のように、シーラは俺の上に覆い被さりながら舌でベロベロと唇を嘗め回す。俺は彼女の求めに応じ、その舌を口内に招き入れ、唇を重ねてやった。
「唾、ご主人様の唾……ん、甘い、美味し……ん、クチュ、クチュ……チュル、チュパ、ん!」
 乾いた綿が水分を次々と吸収するように、シーラは俺の唇から精気を吸い取っていく。そしてある程度落ち着くと、今度はキスそのものの快楽を愉しむようになってきた。
「ん……上手、すごい……ん、クチュ、チュパ、はふぅ! キス、キスだけで……逝きそう」
 シーラを下から持ち上げようとばかりに肥大する俺の肉棒。そこに自分の股間をあてがいこすりつけるよう腰を動かしながら、しかしシーラは入れようとせず、キスで快楽の頂点を目指そうとする。
「ん、いっ、クチュ、チュ、ごひゅ、ん、ごひゅひんひゃま、ん、クチュ、チュ、チュ、クチュ……ん、くちゅ、ん、、んんんん!」
 ぐっと俺に抱きつき唇を強く押し当てながら、シーラは念願の快楽に身を震わせる。
「すごい……こんなの、今まで無かった。ご主人様……すごく、気持ち良いです」
 俺を見下ろす淫魔の顔は扇情的で、しかし幸福に満ちあふれた表情を作り出している。
「なに、凄く鼓動が早くて……興奮だけじゃない、なんだろうこれ……」
 左胸を押さえながらシーラは戸惑い、しかしその戸惑いに頬を緩ませている。
「それが「愛」だろ? いいぜぇ、惚れるって気持ちは。どんなときでもご主人様を感じることが出来てさ」
 カサンドラが戸惑う淫魔に人の心を解いた。シーラは新たな仲間の言葉を完全に理解は出来ないようだが、しかし悪い気はしないのか、微笑んでいた。
「そっか……ご主人様に捧げたんだもんね。これが……愛、か」
 契約の拘束力は絶対。自覚が無くても、契約してしまえば淫魔にだって愛が芽生える。これこれ、これだよ。こんな使い魔が欲しかったんだ。例え強引な契約でも、強制的なものでも、愛を芽生えさせてしまえばそれに抗う必要もない。これで、俺もシーラを愛せるってもんだ。
「ほら、愛もいいがこっちも欲しいんだろ?」
 クイクイっと、俺は腰を持ち上げ愛しいシーラの股間を刺激する。
「あんっ! もちろん……ご主人様、いっぱいくださいね……快楽と、精液を」
 シーラはガチガチになりっぱなしの肉棒を手に取り、そこへゆっくりと腰を沈めていく。
「んっ……くぅ! かは……すご……私、入れただけなのに……」
 膣がギュッと締め付け、そして痙攣している。どうやらシーラはアッサリと逝ったようだ。
「流石は生粋の淫魔……本当にいやらしいんですのね」
 腰を動かし始めたシーラの横から彼女の胸を揉みながら、セイラが耳元で囁いている。
「ん、だって、ご主人様、すごくて、ん、ふぁ! い、きもち、いい!」
「そうでしょう? 私達のご主人様ですもの……私はセイラ、よろしくねシーラさん」
 挨拶をすませたセイラは、そのまま顔を下げ掴んでいる胸の先、乳頭を口に含み舐め始める。
「私はアヤ……あなたと同じく、ご主人様に全てを捧げた眷属」
 アヤはセイラとは反対側から、やはり同じように挨拶し、胸を攻め始めた。
「んっ、二人ともよろ……ふぁあ! な、こんな、じょうず……ひぁあ! こし、こしも、胸、い、ひぁ!」
 先ほどまで乾ききっていたシーラはかなり敏感になっている。そんな状態で胸まで愛撫されたら、たまったものではないだろう。だが彼女への攻めは、これで終わらない。
「いいなぁこれ……私も欲しかったなこれ。あ、私はカサンドラね。よろしくな」
「よ、よろ、ん! つけね、は、はねのつけね、よわ、い、の、んぁあ! そん、なめない、ひぃぐぅ!」
 背後から暴れる翼をガッチリと掴み、カサンドラがシーラの背中と翼の付け根を舐めている。俺を含めた四人の手荒い歓迎に、シーラは先ほどから逝きっぱなしだ。
「こん、ふぁ! きも、きもち、よすぎ、て、んっ! また、いっちゃ、うぅ! ん、ダメ、すご、い、ふぁああ!」
 逝けば逝くだけ、シーラは肌つやを蘇らせ瞳に力がこもり、そして腰の動きも激しくなっていく。
「く、流石に俺も……」
「あ、ごしゅじん、さま、いく? いっ、いくのね、いって、いく、わた、わたしも、いく、いきます、いく、いく、ひぁあ! いっ、いく、いく、いく、いっく……ふぁああああ!」
 背を反らし腰をピタリと俺に押しつけ、シーラは契約通りに与えられた快楽と精液を子宮で飲み干していく。
「ふあ……ふふ、えへへ……幸せ……こんな気持ち、初めて……」
 惚けた顔で、シーラが呟く。呟きながら……シーラは再び腰を動かし始めた。
「シーラさん、そろそろ交代の時間ですよ? 私、掛けていただいただけでまだ入れていただけてないんですから」
「ん、ごめん、セイラ……でも、契約分、まだもらってない……から、んっ! い、もうこんな……」
「嘘付け! この淫乱淫魔め……こうしてやる!」
「ひあっ! は、羽そんなに撫で、んっ! 付け根、弱いってだから……ふぁあ!」
「シーラ可愛い……でも、順番は守って」
「わか、わかったから、でも、これ、もう私、うご、んぁ! これ、この一回は……ね、あぁあ!」
 やれやれ……この様子じゃ、このままこの小屋に宿泊決定かな今日は。待ってるエリス達には悪いが……新たな仲間の歓迎会が盛大に始まってしまったからな。

「ん、ふあ……ん、はい、それでゲルガーは兵力を集めて……んっ! だから私、ここにいた山賊を……ひぅん!」
 一通り落ち着いたところで、俺はシーラから事情を聞いていた。まあ落ち着いたとは言っても、寝そべりシーラの淫唇を弄りながらって状況でなんだが。
 シーラの話では、ゲルガーはまた武力をかき集めて何かを企てているらしい。具体的にどんな事をやるつもりなのか、シーラは聞かされていないようで……方々で兵力になりそうな荒くれどもを誘惑して連れてこい、としか言われなかったらしい。
 奴らがまた何かをしでかす。それしか情報がないのは歯がゆいな……あの一件以来黙っているわけもなく、どうせどこかで何かやるだろうとは最初から思ってたし……。
「チュ、クチュ……ん、シーラさん、その兵力はどこに集めるおつもりでしたの?」
 セイラが俺の胸を舐めながら尋ねた。そうだな、それが判れば手の打ちようがあるかも知れない。
「金色の7番街……そこに集めろと、んぁあ! いっ、言ってました……ん、ご主人様もっと奥……ひくぅ!」
 確か金色の7番街と言えば……闘技場で有名な街か。そういや5年前の戦争後、敗戦兵をかき集めて闘わせていたってのも聞いたことあるな……となれば、ミネルバもなんか関わりがあるのかも。
「……どうした、カサンドラ」
「ん、いや……なんでもねぇよ」
 シーラの話を聞き、浮かない顔をし始めたカサンドラ。やはり彼女も何かあるのか……うっかり尋ねてしまったが、まあこれ以上言及することもないか。
 そういや、俺はカサンドラのことをあまり知らないままなんだな。彼女にかかわらず、セイラやアヤも……眷属にして従わせているだけで、知らないことが多すぎる。
 俺が言うのも何だが……歪んだ関係だからな。無理矢理眷属にして従わせているだけだから、俺達に心の交流は無い……無いのか? それもなんか違う……しかし彼女達にしてみれば、眷属になって本能を書き換えられただけで、俺のことは……どう思っているんだろう?
 ふと、以前エリスが口にしていた言葉を思い出した。人と人とが接する以上、そこには何らかの感情が生まれます……そんな言葉。俺と眷属達は接してきた中で、どんな感情が、どう生まれ育ってきたのだろうか……。
「なあカサンドラ……」
 知らないなら尋ねれば良い。それは明白だが、あまりにも短絡的。口走った言葉を止めれば良いものを、俺は……言葉にしてしまった。
「さっきさ……言ってたあれ、さ……どう、なん、だ?」
 なんだこの間抜けな質問は。さっきのとは何だ、何を指しているのかこれでは判るわけがない。だがそれをまた口にするのもなんだし……頬がものすごく熱い。なんだよ、なんか変だぞ俺……。
「……なんだよ、「愛しの」ご主人様」
 コイツ……なんだよ、お前まで顔を真っ赤にしやがって……そういや初めてだよな、俺達が「愛」を口にしたのは。ずっと求め与え続けたつもりだったけど、それを口にするのを……躊躇っていた。なのに……あの場でよく三人とも……。
「ん、チュ……ふふ、いかがいたしましたか? 我が愛すべきご主人様……まさか、私達の愛をお疑いで?」
「私達は……全部捧げてる。身も、心も、愛も……眷属だからじゃない。ご主人様だから……」
「私も、私もです……ん、ふぁ! あ、愛、教えてくれたの、ご主人様……これからずっと、愛し、続けます、んぁあ!」
 眷属になったから、契約を交わしたから……その影響があるのは間違いない。しかしだからといって、彼女達の言葉に偽りがあるとも言えない。何が真実で、どれが偽りなのか……どうでもいいか。俺はこいつらの主人で、こいつらは俺の眷属で使い魔で、互いに……愛を交わしている。俺達がそう思っているなら、それでいいよな。
「さてご主人様……そろそろまた、いいだろ? 愛してるからさ」
「あら、次は私じゃなかったかしら? そうでしたわよね? 愛しきご主人様」
「順番は守って……最も愛している私の番だと決まっているから」
「嘘、次は愛を捧げご主人様の虜になった私の番です!」
 ……軽いなぁお前らの愛は。よぉし、お前らがその気なら……
「次は……そうだな俺への愛をオナニーで表現してみせろ。最初にその愛で逝けた奴としてやる」
 俺の言葉を聞いた四人はすぐさま俺に見えるよう股を開き、淫唇やら胸やらを自らまさぐり始めた。
「ほら、見てくれご主人様……一番惚れてるのは私だろ? こんなにトロトロにして……見てくれるだけで逝けるんだぜ? これも愛だよな?」
「わっ、私なんか、ご主人様に虐められることを想像して、いつでも逝きっぱなしなんです……この指、いつもご主人様の指だと思ってオナニーしてますのぉ!」
「ずっとご主人様の影の中で……オナニーしてるの。影の中なら、ご主人様に抱かれてるような気分になれて……好きなの、ご主人様。ずっと一緒にいるから……」
「愛、愛を知ったのはご主人様のおかげ。捧げた愛で、私何度も逝ける……淫魔の私は、ご主人様のための淫具なの、オナニー道具なのぉ!」
 歪んでるなぁやっぱり……でも、そんなこいつらがやはり愛おしい。これが俺達の愛なんだろ? ならそれで良いじゃねぇか。
「……見てたら俺が我慢できなくなってきた。ほら、四人とももっとよれ。舐めてくれよ」
 四枚の舌が、こぞって肉棒に、陰嚢に、太股に、触れてくる。すぐさませり上がってきた精液を、俺は我慢せず四人に振りかけてやった。白濁液を浴びながらも幸福に満ちた四人の顔を見ながら、俺は微笑んでいた。

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