第3話

 ゆくゆくは俺好みの眷属だけを囲うハーレムを作る。その為にも眷属を増やしていかなければならない。だが、闇雲に増やすのは俺様のポリシーに反する。有能で美しい女性だけを俺様直属の眷属にする! 男なら誰もが夢見るハーレム。俺様には、この夢を叶える力がある!
 ……なんて、初めて自分の出生を知ったときには思ったさ。だが、現実はそう甘くはない。
 まず眷属だ。こちらはめでたく二人目を迎え入れることが出来た。邪神の元司教、「鞭の乙女」セイラ。二つ名の通り鞭を巧みに操る女で、サディストでありマゾヒストでもある変態。元は山賊だった隻眼のカサンドラと共に、よく俺様に尽くしてくれる。ただそれは……「悪党狩り」という俺達の仕事をこなすときと、夜の調教時に限った話……と、言わざるを得ない。
「切り刻むだけなら得意ですが……私、「加減」というものが判りませんので……弱火って、いかほどで黒こげに出来る火加減なのでしょう?」
「あー、わりぃレイリー。またやっちまった……つかよ、そもそもツボなんて飾ったって面白くねぇよな? 役に立たないから割っても別に……なぁ?」
 お前らは……まあ、期待はしてなかったよ最初から。家事をやらせてみようと思った俺がバカでした。
 ハーレムを形成するに当たって必要と思われる物。その一つが屋敷だ。俺達はその屋敷を運良く手に入れることが出来た……ぶんどったとも言うが、そこは気にしない……その際に、この屋敷の前所有者に雇われていた使用人などは全員解雇した。俺達の秘密は出来る限り隠しておきたいんでね……だから新たに使用人を雇うことも出来ない。その結果がこれだ。広い屋敷を誰も手入れできず、眷属の二人にやらせてみたところであの調子。よもや、よもやこんな事で俺様の夢が頓挫するとは思わなかった……。
「使用人用に新たな眷属を加えられては?」
 セイラの提案はもっともだ。だがそれはダメだ。俺の美学に反する。誰でも彼でも眷属にしてしまったら、眷属で溢れてしまうじゃないか。俺の女にすると決めた者しか眷属にしない! それが俺のジャスティス。
「どこかにさ……清楚で働き者で気が利いて、家事全般が得意な上にスタイルも美しい、そんな「悪党」っていないかなぁ」
「いるわけねーだろ……悪党限定で」
 ですよねー……まったく、こんな時に困るよなぁ……俺達の「制約」ってのは。
 俺と俺の眷属には制約という、一種の呪いが掛けられている。この制約の力によって、個々の能力が低い吸血鬼と淫魔の能力を底上げしている。その代わりこれらの能力は「悪」限定。悪人などにしか効果を発揮できない。だから俺の条件が成立するような「悪党」でもいない限り、眷属の使用人を迎えるというのは難しい……というか、俺の言う条件を満たしたら、もう悪党じゃないよな。
「レイリー様は使い魔などの召還はされないのですか?」
「制約の影響を受けないんだよ、召還は。だからその能力は弱いままなんだ」
 相手がいて成り立つような力には、「相手が悪」という制約が働く。しかし召還魔法自体は召還する「対象」はあっても「相手」がいないから制約からは外れる……つまりこの能力は弱いままということになる。最近は悪党を狩りそこから精力を吸い取ってきたから、昔に比べれば力は付いてきてはいるけど……狼やコウモリなどの動物をなつかせる、くらいまでだな。動物類ですら召還までは出来ない。
「……意外に使えないな」
「それが主人に対する口の利き方か? カサンドラ」
 まったく、どんどん馴れ馴れしくなってきたなカサンドラは……やはり眷属化による「絶対忠誠」の力はどんどん弱まっているようだ。まぁそれでも……
「アハハ、まあいいじゃねぇか。かたっくるしいのは苦手なんだ」
 豪快に笑って俺の肩を叩きごまかすカサンドラ。まあ……それでもカサンドラは俺への忠誠を覆すことはない。むしろ日に日に「絆」は深まっているような……そんな気はする。強引に眷属にしといてなんだが……俺達には「信頼」の関係があると……とりあえず俺は思っている。この関係を、セイラとも続けられれば良いんだが……。
「なんでしたら、フレアさんに相談されては?」
「……余計な金取られそうでなぁ」
 そのセイラが提案した事は、俺も考えていた。だがあの守銭奴に頼むと、それを理由にこれからの仕事で得る報酬を少なくしそう……というか、絶対そうする。だから相談し辛い……なんて、言ってられないかも。
「このまま屋敷が荒れるよりはマシか……」
 重い腰を上げ、渋々師匠の館へ俺達は向かった。

「そんなの、レイちゃんが「主夫」すれば良いんじゃないの?」
「出来るか、そんなこと」
 なんでハーレムの主が家事全般やらにゃならんのだ……正直、ちょっとそれも考えたけどよ……。
「だったら、清楚で働き者で気が利いて、家事全般が得意な上にスタイルも美しい、そんな「悪党」ちゃんを眷属になさい」
「いるんだったら是非紹介してくれ」
 たまぁに、師匠と同じ思考回路を持つ自分にへこむことがある。
「我が儘ねぇ……まあいいわ。実はもう手は打ってあるの」
 ……からかわれてましたね? 俺。まったくこの女は……いつか、いつかなんとかしてやる……たぶん無理だけど……。
「この前の、セイラちゃんを眷属にしたあの仕事。あの時に君達が連れてきた生贄の子達がいるでしょ? あの子達に頼めばいいのよ」
 ああなるほど……奴隷として買われ、生贄にされていたあの子達か。確かにあの子らなら、もう俺達の正体は知っているし、その事について他言無用だとは言い聞かせてある。連れてきたその子達は家族の元へ返したり孤児院へ連れて行ったり、中にはそのまま師匠の店で働いている子もいる。
「もう声は掛けてるのよ。今は返事待ちかな」
 元々裕福ではない子ばかりだから、お金になるならなんでもやるだろう、とは師匠の弁。そういう意味では、むしろ俺達のために声を掛けていると言うより、その子らの為に俺の屋敷という仕事先を選んだという方が正しいかもしれない。
「お給金とか働く時間帯とか、そーいうのは「全部」こっちで管理してあげるから、気にしないでね」
「……ありがたいが、「全部」って言われるとすごく不安なんだがな……」
 特に金銭面な。中間マージンをごっそり持って行くようなあくどい事はしないと思うが、これを口実に色々報酬を……まあもう、それは覚悟の上か。
「さてと……セイラちゃん、あなた用の鞭完成したわ……はい、これね」
「ありがとうございます……これはもしや、材料にアルラウネの蔓をお使いで?」
「流石セイラちゃんね、その通り。アルラウネの蔓で作った、「生きた鞭」よ。あなた専用の鞭ってところかな」
 アルラウネは吸血植物としてもよく知られているモンスター。この鞭はそのアルラウネの特長を生かし、絡めた相手から鞭を伝って吸血する事も出来る優れもの。また「棘」の出し入れも自在で、用途の幅も広げられる。
「鞭の他に、捕縛用のロープとかも同じ要領で作ってみたわ。これも何かに使えるでしょ」
 捕縛用か……確かに便利そうだな。流石アイテムマスターの称号は伊達じゃない……味方で良かったと常々思う。
「セイラちゃん用のレザーアーマーも出来てるわ。どうよこれ」
「素晴らしい……この露出、むしろ裸よりも恥ずかしいデザイン……素敵ですわ」
 以前まで着ていたレザーアーマー……というかレザースーツも素晴らしくいやらしいデザインだったが、これもまた凄いな……身体を防御すると言うより胸やへそ、尻を強調する為のスーツ。胸なんて、乳首を隠すために横一本ベルトがあるだけで、上乳も下乳も丸見えだ。これで防具として成り立つのか……と思えるが……。
「これを着ると、露出している部分にも魔法の「膜」が張られるようになるの。だから露出している部分も隠れているところとほとんど同じ防御力が期待できるわ」
 こーいうエロいデザインを実用化してしまえる実力だけは、掛け値無しで賛美の拍手を送るよ師匠!……一人、旦那のダグさんだけが苦笑いしているけどね。
「後はそうね……あなたの信仰魔法を補助する魔具とか……カサンドラちゃんの新武器もまた作りたいし……それとアクセサリー系の魔具とかもね……」
 ……俺のは? と思ったが黙っていた方が良さそうだな。最近は師匠の館に来る度新作発表会みたくなるんだが……まあいいか、師匠も眷属達も楽しそうだし。

「いかがでしょうか、ご主人様」
「かなり際どいなこれ……ふふ、じっくり見てるなレイリー……ご主人様」
 二人の女性がボンテージ姿で俺を誘惑する。むろんその二人とは、セイラとカサンドラだ。このボンテージも師匠デザイン師匠作……本気で楽しんでるよな、あの人。セイラのボンテージは赤を基調にしたデザインで、胸と局部は完全に露出しているが、その他は手首から足首まで完全に皮で被われている。師匠のデザインにしては露出が少ないんだが、これには他の「仕掛け」を重視しているためだ。カサンドラのは逆に露出部分が多く、胸と局部はもちろん、腹も強調した露出デザインになっている。だから割れた腹筋もクッキリ見えるんだが……それがエロく見えるってのがなんかすごいな。
「んっ……ねえ、今日は……どんな調教を……んっ、するんだい……」
「なんだよカサンドラ。命令する前からオナニーか」
「だって……ご主人様が見てくれるから……んっ、我慢できなくて」
 困った変態だ。そんなところがたまらなく可愛いが……
「今日は折角セイラ用のボンテージを貰ってきたんだ。カサンドラ、セイラを木馬の上に乗せてやれ」
「ちぇっ……まあいいか。ほらセイラ、準備は良いかい?」
「お願いいたしますわ……あぁ、今日も虐めてくださるんですね……ふふ」
 屋敷の持ち主だったチャールズ卿は、苦痛と苦悩の女神ローエの信徒だった。その為自分の屋敷に礼拝室……という名の拷問部屋を隠し持っていた。俺達はその部屋を改装し、調教部屋として活用している。セイラはカサンドラの手を借り自ら三角木馬の上に乗る。そして後ろ手に施錠され、足は木馬に固定される。尖った木馬の角に露出している陰部が当たり、それだけでも随分と痛いはずだが……
「あぁあ……これ、この痛み……ふふ、ふふふ……んっ、くぅ……」
「おいおい、自分から動くな」
 不自由ながら、セイラは自ら腰を動かし陰部を角にこすりつけ喘いでいる。その角はすぐに愛液でベットリと濡れてきた。苦痛を快楽としてきたセイラにとって、この程度は下準備に過ぎないだろう。本番はこれからだ。
「ああご主人様……卑しい眷属に、どうしようもなく淫らで堕落したあなた様の眷属に、ご主人様の印を、赤い印を刻みつけてくださいまし……」
 息を荒げ舌を出し、まるで餌を強請る犬のよう。だがセイラは餌の代わりに鞭を強請る。
「どうしようもないマゾだなお前は。ほら、これが欲しかったか!」
「くぁあ! こ、これ……い、これが……ひぐぅ! ん、いい、とてもぉおっ! ん、ハァ、ああ、素敵ですご主人さあぁああ!」
 露出した胸に向け、俺は何度も力強く鞭を振り下ろす。白い肌は幾本もの赤い線が浮かび上がり、その線が増える度にセイラは悲鳴という喘ぎを上げる。
「下も凄いな……失禁したのか、木馬の下まで垂れているぞ」
「ハァ、ハァ……はい、申し訳ございません……嬉しくてつい、粗相してしまいました……ハァ、ふふ……」
 木馬は固定されておらず、足がゆりかごのように揺れる仕組みになっている。俺が鞭を振るう度にセイラは身体が揺れ、同時に木馬も揺れる。当然その上に乗っているセイラの陰部は木馬に揺られ角にグイグイと当たる。その痛みは激しく、セイラを悦ばせ失禁にまで至らしめた。
「あれか、「嬉ション」って奴か?」
「はい、嬉ション……ふふ、嬉ション、私嬉ションしちゃいました……うふふ……」
 恍惚の表情で隠語を連発するセイラ。彼女は羞恥心が足りないので、平気でこの手の言葉を連発する。その分言わせているという面白みは無いが、妙な妖艶さを醸し出すのでこれもありだろう。
「んっ……く……ハァ、ん……」
 今は何もしていない……が、セイラはどこか苦しげだ。身体をよじり息を荒げ、セイラは新たな「攻め」を受け入れ愉しんでいる。
「どうだ? そのボンテージは」
「はい、流石フレアさんの作品……んっ、素晴らしい締め付け……くっ、ハァ、ふふ、心地好い圧迫ですわ……んっ!」
 セイラの着ているボンテージは、汗を吸い取ると縮むようになっている。全身をボンテージで圧迫され、かなり苦しいはずだ……が、むろんそれをセイラは悦んでいる。全身が締め付けられている分露出している胸や局部が盛り上がり、見た目にもかなりエロい。
「……カサンドラ、だいぶ解れてきたか?」
「はい……ん、ほら、こんなに濡れてるよ……だから、ん、ね、一人じゃ寂しいから……んんっ!」
 俺がセイラの相手をしている間、カサンドラはずっとオナニーを続けていた。いつでも俺のを入れて貰えるように。
「よしよし。カサンドラ、木馬に手を付いてこっちにケツを向けろ」
「はい……ん、こう?」
「あぁあ! ん、カサンドラさんいきなり揺らすのは……気持ち良すぎますぅ」
 カサンドラが木馬に手を付けば、当然その瞬間木馬が揺れる。乗っているセイラは不意に刺激され、悦びの悲鳴を上げた。
「いいぞカサンドラ、遠慮無く揺らしてやれ……くっ!」
「んっ! ご主人様の……とどくぅ!」
「ひあっ! くっ、クリトリスがつぶれ……んっ!」
 俺は後ろからカサンドラを抱き、カサンドラは俺に突かれる度に振動を木馬へと遠慮無く伝える。揺れる木馬の上で、セイラは陰部を刺激され喘ぐ。三人は奇妙な形で繋がっている。
「おく、すご、い、ん、ふあ、む、むねも、もん、つよく、もん、もんで、い、ああ、ごしゅじん、さまぁ! ん、すご、すごい、いい、いい、いいのぉ!」
「は、はげし、い、クリ、クリトリス、い、いたい、いたいの、いいの、いいの、すご、も、もっと、ゆらし、ん、はげしい、の、ほし、ほしい、も、もっと、ん、ふぁあ!」
 眷属二人の喘ぎが、調教室に響き渡る。心地好い歌声じゃないか……だがもっと聞きたい。俺は更に腰を激しく、胸を揉む手に力を込めた。
「ひぐ、ご、ごしゅじん、さま、いい、もっと、もっと、おく、いい、とどいて、きも、い、んっ! ごしゅじん、さま……ん、い、ひぁあ!」
「くる、し……ん、ああ、くるしく、て、い、いたく、て、さ、さいこう……ん、んぐ! わ、わたし、も、もう……いっ、いって、いく、くぅう!」
「まっ、わた、わたしも、ダメ……ね、ごしゅ、ごしゅじんさま、も、ね、いっしょ、いっしょに、いこ、みんな、で、ね、い、いく、いくから、いく、いくの、いく、いく、いく、いく、いっ……くぁああ!」
「わた、わたくし、も、い、いま、い、く……ん、あっ、か、あ……ん、くぁああ!」
 ガクン! と激しく音を鳴らし木馬が前のめりになる。カサンドラが木馬を思い切り下へ押しつけたからだ。乗せられているセイラは木馬と共に前のめりに。自分の体重が陰部に全て掛かっただろう……セイラは二度目の失禁をしていた。むろん、俺もカサンドラの中に別の物を流し込んでいたが。
「……大丈夫か? セイラ」
「あちぁあ……やりすぎた?」
 ボンテージの締め付けもかなりきついはず。俺達は余韻を楽しむ余裕もなく、すぐさまセイラを木馬から下ろした。ボンテージはキーワードを唱え元の大きさに戻し、セイラを圧迫から解放してやる。
「ハァ、ハァ……ふふ、至福の時でございましたわ……」
「ったく、流石だよセイラは」
 あまりのマゾっぷりに苦笑しつつ、俺は胸をなで下ろしていた。
「ですが……はぁ、まだ、私は最高の至福を……ご主人様からの至福を頂戴して、おりません……」
「私もまだ足りない……なぁご主人様、まだいけるだろ?」
 当然だ。まだまだこんなものでは終わらんよ。俺達の夜は始まったばかりだ……。

 俺達は吸血鬼で淫魔だから眠らない……と思われがちだが、休息は必要だ。ただ夜に眠るという概念がないだけで、体力を回復させるために睡眠は取る。とは言っても人間のそれとは異なり、単純に身体を横にして休息するというような感じだ。俺達は大きなベッドに三人で横たわり身体を密着させながら、早くても昼、遅ければ夕方頃まで休息を取るのが最近の日常になっている。特に悪党狩りの仕事がなければ、俺達は夜を愉しむ以外にやることがあまりないからな。
「あの、すみません……すみませぇーん!」
 そんな俺達の屋敷に、朝から来客だと? つい先ほどまで眷属達と愉しんでいたというのに……ガンガンと扉を鳴らしながら呼ばれては、出ないわけにはいかない。俺はだるい身体を起こし、ガウンを羽織って玄関へと向かう。主の俺が自ら出向くというのも何だが……裸の二人を向かわせるのもなんだからな。
「あっ、あの……レイリーさんのお屋敷……ですよね?」
「ああ、俺がそのレイリーだが……君は?」
 玄関の扉を開けると、そこには一人の青年が待ちかまえていた。歳はまだ成人には届いていない感じだが……何より目を惹くのは、ズタボロになった衣類と傷だらけの身体。最初師匠が手配した使用人代行でも来たのかと思ったが、どうやらそんな様子はなさそうだ。
「あの、あの……お願いです! むっ、村を助けてください!」
 村を? なんか必死になって何度も頭を下げているが……どういう事だ? それになんだってこの青年、俺達の屋敷に来たんだ?
「あらまあ、随分と可愛らしい坊やだこと……」
「レイリー、その坊主がなんだって?」
 着替えてきた二人が様子を見に来た……のはいいんだが……
「お前ら、もうちょっとマシな服に着替えてこい」
 その格好は、年頃の青年には毒すぎる。露出度の高い下着にガウンだけってお前ら……せめてボンテージ……もまずいか。なんにしても、その手の格好は俺を愉しませるだけで良い。
「……まあいい、とりあえず入りな」
 このまま立ち話って雰囲気でもないし、俺はひとまず青年を中へ招き入れた。時間は朝と昼の間……何も口にしていなければ小腹が空く時間か。着替えた二人にパンと水を持って来させ、俺達は青年の話に耳を傾けた。
「僕はアダンっていいます……僕の村が……くっ……突然襲われて……」
 泣き出す青年が涙声混じりに語るには……青年が住んでいた村が、突然「何者か」に襲われたらしい。そいつはゴブリンを従え、家々を壊し、村人を斬殺していったらしい。だが若い女性だけは捕らえろという声も聞こえたらしいが……青年は逃げるのに必死で、どんな状況になったのかを最後まで確認することは出来なかった。
「それで……この街まで逃げてきたと」
「はい……それで冒険者の店に助けを求めたのですが……僕は何も持ち合わせが無くて……」
 困っている彼に、店主が俺を紹介したらしい。最近「悪党狩り」で名を馳せている俺なら助けてくれるのではないかと。
「なるほど……事情はだいたい判ったが、ちょっと質問させてくれ」
 俺は溜息をつき、彼を睨みつけながら訪ねた。
「どうして、そんな嘘をつく?」
「え? いや嘘なんて……僕は村を襲われて、大変な思いをしてここまで……」
 俺はまた、溜息を一つ。スッと、カサンドラとセイラが青年の背後に回り込んだ。
「あそこの店主は人が良くてね……無償で仕事を受けるなんて事はしないが、ボロボロの君をそのままにはしないだろう」
 青年の服がボロボロのままなのはまだしも、傷ついているのに手当もしないなんて、あの店主なら考えられない。俺はそんなにその店主と仲が良いわけではないが、人柄の良さはこの街にいる者なら誰もが知るほどに有名だ。それだけ人望が厚いから冒険者の店なんてやっていられるんだろう。
「それにな……俺が「悪党狩り」をしているのは、一部の連中しか知らない。だいたいこの近辺に住んでる連中は、なんでチャールズが俺のような奴に屋敷を明け渡したのか不思議がってるんだぜ?」
 ただチャールズ自身がだいぶ疎まれていたようだから、宿主が変わったことを不思議に思ってもあまりそれを追求しようとする者がいないってのは助かっているが。
 言い逃れが出来なくなり、アダンを名乗った青年は押し黙った。そして突然、テーブルを俺に向けて蹴り、俺が怯んだ隙に呪文を詠唱しながら俺に接近……を許すような、眷属達じゃあない。
「随分と躾がなってないわね」
「私達の前で、つまらねぇ事出来ると思うなよ?」
 青年は茨の鞭に絡められ、そのまま床に寝転がされる。
「……何か言うことはあるか? 伝令兵」
 俺の勘が正しければ……コイツは片道のみの伝書鳩。捨て駒にされたメッセンジャーだろう。青年の嘘はあまりにも粗悪で、だまし通そうという意識がなさ過ぎた。となれば、少しでも俺に近づくための嘘……と、思ったんだがはたして……
「くっくっくっ……ヴァルガー様がお待ちだ、裏切り者!」
 青年は俺ではなく、セイラを睨みつけて叫んだ。なるほど……やはりな。
「村の跡地で、貴様らはヴァルガー様に苦痛と苦のうを……あじわ……う……」
 最後まで言い終わらぬうちに、青年は干からびていった。
「その鞭、使い勝手良さそうだな」
「はい。さすがはフレア様の逸品ですわ」
 鞭を引き戻し、それを束ねながらセイラが一級品を褒め称える。そしてすぐさま片膝を突き、俺に向け頭を下げた。
「申し訳ありません……私としたことが、不手際があったようです」
「説明してくれ、セイラ」
 あの青年があいつら……邪神ローエの信徒だというのは、奴の遺言で俺にも理解できた。しかしその信徒が、何故俺の元を訪れあんな伝言を残したのか……セイラは面を上げ、憶測も含みますがと前置きをして説明する。
「あの時……私がレイリー様によって生まれ変わった日、あの場にいた全ての信徒は私を除き始末しました。ですが……おそらく貴族か商人か……しばらく生かしていた者の中に、別の信徒と交流のあった者がいたと思われます」
 セイラは司教として、あの日あの場にいた信徒達の身辺情報は把握していた。この情報は漏洩を恐れ司教であったセイラ以外には知られることがないよう管理していたらしい。それは例え彼女の上司に当たる教会の連中でも同様だった。だからこそ一斉に信徒が不審な失踪をしても、各地での出来事として誰も信徒達の結びつきに目を付ける者はいない……そう思っていた。しかしセイラも、信徒一人一人の詳細な情報まで把握していたわけではなく……セイラの知らない、別の信徒と結びつきがあった可能性があると。その信徒がひとたび失踪を怪しめば、俺達の事まですぐに調べが及ぶだろう……なにせ財産の受取人だからな。
「それで裏切り者への復讐か……ヴァルガーってのは何者だ?」
「はい……私と同じ司教を務める、ヴァンパイアでございます」
 ……ヴァンパイアか、まずいな。
「実力は?」
「……しつこく言い寄ってくる下劣な男、という以外に私の印象はありません」
 なんか一気に貧弱なイメージになったな。セイラに踏んづけてくれ、とか頼んでたのか……って、勝手なイメージだが。
「ですが、司教にまでなった男です。それなりの力はあるかと」
 なるほど……先ほどのイメージもあって、なんか対抗のしようはありそうな気はしているが……さてどうしたものか。あっちは準備万端整えて待ち受けているからなぁ……だが下手に奴らの方から来るのを待つのは危険か。不意打ちされたり周囲の人間に迷惑かけたりして、俺達の正体がばれるのも問題だし。
 一番の問題は、相手がヴァンパイア……同族だと言うことだ。同族相手だと俺の技が全く通用しないからな……奴の下僕に対しても同じ事が言えるだろう。しかし引き連れているというゴブリン……あの青年の話が本当なら、だが……ゴブリンまでどうにかしているとは思えない……色々、対策を練る必要があるな。
「師匠の館に行くぞ。また貸しを作るな……」
 今回の悪党狩り、実入りは少ないだろう。どちらかというと前回の後始末って感じだからな……ま、この手の因果は覚悟の上だ。

 あの青年が俺に言った村の惨状と現実とに、大差はなかった。家々は壊され、周囲には血痕がどす黒く残り、切り刻まれた村人が腐ったまま放置されている。俺達が住む街、黒の0番街から村までは徒歩で1日といった、かなり近い距離にある農村。街人へ農作物を売り生計を立てている村で、街から近いこともあって村の中には石造りの立派な家も建てられている。取り壊されていない家は、そんな石造りの家だけだ。
「……あの家にいるな。周囲にいるのは……眷属にした女か。それと……けっ、なかなか良い趣味してやがる」
 村から少し離れた安全な場所から、俺はロケーションの魔具で村を観察していた。青年が言っていたように、ゴブリンの兵士が多数いる。中には狼を引き連れ村を巡回している者もいた。
「ゴブリンだけじゃねぇな……オークもいるぜ。チッ、トロールクラスもいればもっと楽しめたのによ」
 カサンドラが俺から魔具を借り受け、同じように村を観察しながら舌打ちをする。俺としては楽な方が良いんだが、カサンドラにしてみれば、より手応えのある戦闘を楽しみたいらしい……
「建物の中にはヴァルガーと彼の傀儡と……司祭クラスの信徒が5人おりますね。それと……なるほど、「良い趣味」ですこと」
 村は見た目通り、壊滅状態で生存者はいない……厳密に言えば、生存と言い難い者が二人だけいた。その二人は……姉妹だろうか、ヴァルガーの前で苦しみ悶えている。どうやらゆっくりと眷属化させられているようで、ヴァルガーはその苦しむ過程を見て愉しんでいるのだ。ローエ信者の悪趣味な楽しみ……人の苦痛や苦悩を見て愉しんでいるのだ。姉妹の様子を見る限り、あそこまで眷属化が進んでいるともう元には戻れない……つまり「生存しているとは言い難い」状態。
 ただ、この姉妹は完全にヴァルガーの傀儡になった訳ではない……それにどうだ、なかなかに美しい娘達じゃないか。姉の方は成人手前、妹の方はその姉より5つは下か……二人とも村娘らしい服装には不釣り合いな大きめのバスト。尻も安産型の良い形をしている。これはこのまま放置するにはもったいない……となれば、決まったな。
「あの姉妹は頂くぞ……そうだな、「救出する」と言った方が正義の味方っぽいか?」
「いいじゃねぇか、頂くで。俺達は正義の味方じゃねぇし」
 ニヤリと笑うカサンドラに、セイラが頷いて同意を示した。となれば少しばかり予定を変更する必要があるな……俺達は作戦を練り直すためにしばし話し合った。

「おら、コッチだ!」
 村に踏み込むなり、カサンドラが大声を放つ。驚き一斉にカサンドラの方を向くゴブリン達。そして一斉に、喚きながらゴブリン達はカサンドラに襲いかかる。
「そぅらぁ!」
 一団となったゴブリン達に向け、カサンドラは自慢のバトルアックスを振り投げる。回転しながら斧はゴブリンの一団を通り抜け、そして旋回、カサンドラの手元へ帰ってきた。
「雑魚が……束になってその程度かよ」
 首を飛ばされた者、胴を切断された者、様々なゴブリンが血しぶきを上げながら倒れていく。ゴブリンのような低能はいざ知らず、賢者様だってまさかあんな大斧が飛んでくるとは思わないだろうさ……もっとも、飛んでこなかったとしても近づけば一太刀で同じ状態にさせられていただろうが。
「ヴァ、ヴァルガー様!」
 遠くで警告の声。見張りか誰かが敵の侵入を伝えているようだ。既に騒ぎに気付いた他のゴブリンやオーク達が狼を引き連れまた群がってくる。
「少しは私の相手も残してくださいね、カサンドラ……ふふ、苦痛にのたうち回りなさい」
 茨の鞭を振るい、近づく者を切り刻むセイラ。倒れ足をばたつかせ苦しみもがくオークを見ながら、セイラは口元をつり上げ微笑んだ。
 まったく、たいした二人だ。これだけの数をものともしない……俺の立場無いな。
「せめてこれくらいはな……」
 俺は飛びかかってきた狼を睨みつけ、そして身を軽くひねってそれをかわす。狼は着地し振り返り……俺の足下で「おすわり」の姿勢で待機する。俺がようやく使えるようになった使い魔使役の力だ。数が多いから全部は無理だが、4匹の狼を従わせることに成功。こんなものか……俺が溜息をつく頃には向かってくる雑魚もいなくなり、村はまた静けさを取り戻した。
「チッ……思ったよりも歯ごたえがねぇ」
「こんなものでしょう。先に進みますか?」
 俺は黙って頷き、そろって歩を進める。ヴァルガーがいる石造りの家……元は村長の家か集会場か……大きくはないが立派な家に近づく。玄関にはレザースーツに身を包んだ司祭らしき者が二人、身構えている。
「どっちも男か……つまらん」
 男達は呪文を唱えながら迫ってくる。両手が淡い紫に光る……あれは触れる者に苦痛を与える呪文、ベインか。ローエ信者が好んで使う信仰魔法だ。
「面白くないわねぇ……」
「まったくだ」
 相手が男だからではない。闘う相手として眷属二人は不満を口にした。男の一人は相手に触れる間もなく鞭で絡め取られ、そのまま干からびた。もう一人も近づく前に首を刎ねられ後方へ倒れ込んだ。
「さてと……ここからだ」
 雑魚の相手はこんなものだろう。本番はここから。正直、雑魚に紛れ親玉も襲ってきたらかなり苦戦していたはずだが……悪党の親玉ってのは、余裕かまして最後に控えているってのが「定番」だから、楽で良い。ここからの作戦も、そんな相手の余裕を突く、ある意味卑劣なやり口だが……ま、知ったことではないな。正々堂々とやり合う必要はないんだから。
 俺は目配せで、二人に準備をするよう促す。二人は黙って事前の作戦通り、定位置に付く。準備が整ったところで……俺は正面の扉を開け、傘下に加えた狼たちを中へ入れた。
「キャウン!」
「クゥ……」
 狼たちの切ない断末魔が聞こえてきた。可哀想なことをしたが……ゴブリン達と共に切り刻まれていたかどうかの違いでしかない。悪いが活用させて貰ったよ。
「なに……なんなの」
「しまった、囮か……これは……やられ……」
 程なくして慌てた声。俺達が入ってきたところで不意打ちをするつもりだったんだろうが……悪いな、お前達の配置はロケーションの魔具で丸見えだ。狼たちを罠の中へ突入させ強引に解除。と同時に、狼達にくくりつけていた粉袋も破裂し、中身を周囲に振りまく。お得意のゾンビパウダーだ。
「味な真似を……なっ、なんだ!」
 ドガッ! と鈍い音がする。玄関からは反対側、ちょうど親玉ヴァルガーの背後から音は聞こえる。音は何度も繰り返され、その度石壁に亀裂が走る。
「なっ、馬鹿な……」
 音に驚き注意が後方へ向かったところで、俺は素早く中へ進入。ゾンビパウダーを浴びた司祭二人を無力化し従わせる。二人とも女だったから尚更チャームを掛けやすかった。
 程なくして、ガラガラと大きな音ともに石壁が崩れる。間髪入れず、立ちこめる土煙から鞭が躍り出る。
「こっ……おのれ……」
 油断しきっていたヴァルガーが、セイラの鞭に掴まった。そして素早くカサンドラが接近し……
「……なんだ、あっけない」
「所詮この程度の男……でしたか」
 首を飛ばされては、さしものヴァンパイアも無力化する。シューと音を立て霧状になる身体。
「逃がしませんよ」
 霧になったヴァルガーに対し、セイラは手をかざし呪文を唱える。すると霧はたちまち炎となり、ヴァルガーだったものを全て燃やし尽くした。
 本当にあっけなかったな……最初に相手がヴァンパイアだと知ったときは、苦戦を覚悟したのだが……師匠の入れ知恵のおかげで、予想以上に手際よく終えられた。卑怯といえば卑怯、正攻法といえば正攻法である不意打ち……流石に石壁を壊してくるとは、親玉さんも思わなかったか。色々裏切り者に対して口上の一つも述べたかっただろうヴァンパイアは、それすらも許されずに始末されたわけだ。
「ギァアアアアア!」
「ヒギィイイイイ!」
 断末魔の叫びが木霊する。ヴァルガーの眷属達が主を失い、その命を終えようとしていた。結構な数の眷属がいたんだが……こいつらをまともに相手していたら、たぶん勝てなかったな。
「なっ……ああ……」
 残っているのはまだチャームもしていない司祭が一人と、ぐったりしているヴァンパイア化しかけた姉妹。混乱している司祭に接近し、俺はチャームするまでもなく首元に噛み付いた。
「かは……ろ、ローエ……」
 休息に干からび神の元へと旅立つ司祭。そしてチャームした二人からも血を全て吸い尽くし、これで「敵」は全て片付けた。
「拍子抜けだな……ま、こんなものか」
 斧をドンと床に突き刺し、カサンドラがつまらなそうに溜息をつく。彼女にしてみれば真正面から挑んで歯ごたえのある戦闘をしたかっただろうが、それをやるとこちらがかなり不利だからな。彼女もつまらなかったとは言っても作戦に納得はしている。
「さて……ふふ、早速始めましょうか」
 セイラがそそくさと俺に近づき、ベルトに手を掛ける。するりとズボンを下ろし、飛び出すのはいきり起った俺の肉棒。司祭三人の生き血を全て精力剤代わりにしただけあって、もう爆発寸前だ。
「では……ん、クチュ、クチュ……チュ、ん、美味しい……クチュ、チュ……」
 濃厚なフェラチオが始まった。丹念に舌で鈴口から亀頭、カリから根本までねっとりと舐め上げ、唇で竿を擦り上げていく。
「……出すぞ」
 手早く出すために司祭の血を吸ったのだから当たり前だが……こうも早いと、なんかちょっと情け無い気もする。
「んっ! ん、ん……」
 セイラは俺の精液を口いっぱいに含み、すぐさま倒れている姉妹の元へと寄る。
「ん……ん、チュ……ん……」
 そして口の中に貯まった精液を、姉妹に半分ずつ口移しで飲み込ませる……効いてくれると良いんだが。
「ハァ、ハァ……ん、あっ! んっ……ふぅ、ん、ハァ……んっ!」
 ……良かった、効いているようだ。苦しみながらも催淫効果に身もだえし始めている。
 彼女達姉妹を見つけたとき、一つ閃いた。「もしかしたら、「悪」になっていないか」と。ヴァンパイアの眷属になるということは、種としての本能を書き換えられ主に絶対の服従を誓うことになる。その為には人間としてのモラルは全て捨て去ることになるわけだが……それはつまり、心を悪に染めるのと同じだ。清らかな聖者も眷属になれば、平気で殺戮の命令を実行出来るようになる、つまりそういうこと。
 姉妹は心を悪に染めながらも、まだヴァルガーの眷属に成りきっていなかった。だから主になるはずだったヴァルガーが消滅しても生き残っている。だがそれも時間の問題……このまま放置すれば、眷属になることもなく人に戻ることもなく、苦しみもがきながら死に絶えることとなる。そこで俺様が救いの手を差し伸べようと、そういうことだ。むろん、「横からかっさらう」という表現の方が的確かと思うがね。
「いささか面白味には欠けるが……それは後日に取っておくか」
 何せ相手の反応はほとんど変わらないからなこのままだと・・・苦しみ悶える姉妹の一人、俺は姉の方に歩み寄り、片足を掴んで持ち上げた。淫唇は汗も混じりぐっしょりと濡れている。
「あっ……あ、ああ!」
 んっ? この抵抗感……そして膣から僅かに漏れる赤い血……処女だったのか! そうか、よく考えてみるとごく普通の村娘だったんだもんな。眷属化した後ならまだしも、その前であればまだ無傷であっても不思議じゃない。そうか……面白味に欠けるなんてとんでもない。これは実に面白い。
「ん、く、はぁ、ん……ハァ、ん、ふぁ!」
 朦朧とした意識の中で、処女を奪われる女。目が覚めたときには吸血鬼と淫魔のハーフになっている……なんという運命か。悲劇と捉える人間は多いだろうが、とんでもない。彼女は幸せ者だよ。この俺様の眷属になるのだからな!
「はっ、ん、ふあ……ん、ハァ、くっ! ひ、んぁあ!」
 痛みを感じることもなく、無意識の中に快楽を刻み込まれる女。さぞや淫乱な女になるだろうな……これは楽しみだ。
「ひっ、ん、んん、ふぁああああ!」
 娘が大きく喘ぎ、エビ反る。ぐっと締まる膣の中に、俺は眷属の種を大量に流し込んでいった。そして反り返る身体を起こし、首に噛み付く……まだ残っていた血を、俺は吸い取っていく。
「か、あ……あ……」
 すぐには目覚めないだろう。娘は身体を震わせたままぐったりしている。ではこの間に……妹の方にとりかかるか。俺は娘から肉棒を引き抜き、妹の方へ歩み寄る。
「どうぞご主人様。ほら、すっかり準備は整ってます」
 すぐにぶち込めるように……というよりは、手持ちぶさたについ、といったところか。カサンドラが妹の胸を揉み陰核を摘み、すっかり発情させていた。
「このままどうぞ」
 カサンドラは妹を持ち上げ足をパックリと開かせる。このまま立ってしろと誘っている。まったく、こんな時でも構って欲しいのか。仕方のない奴め……俺はカサンドラの求めに応じ、立ったまま妹の中へと肉棒をぶち入れた。
「あぁああああ!」
 ふむ……処女膜を破られ、そのまま一度逝ったようだな。くっくっくっ、カサンドラにずっといじられていたせいもあるだろうが、それにしても処女を失った瞬間に逝くとは……これはまた将来が期待できる淫魔になるだろうよ。
「あ、ん、はあ……ん、ふあ、ん、くぅ!」
 俺とカサンドラに挟まれながら、少女は小さな唇からうめき声を上げ続けている。密着しているだけに少女の胸が俺にグイグイと押しつけられる……身体が小さい割に胸があるから、その圧迫が心地好いな。成長すれば姉を超える巨乳になっていたかもしれないが、眷属になることで成長は止まる。それは残念だが……永遠のロリ巨乳というのも、なかなか良いじゃないか。
「ふあ、ん、く、ん、んん……うっ、ふあう、ひぁ! ん、あぁあ!」
「ねえ、ご主人様……ん、クチュ……ん、チュ……」
 少女越しに、カサンドラがキスを強請ってきた。俺はそれに応じてやり、カサンドラの唇を愉しみながら少女の中を堪能する。
「クチュ、チュ……ん、ね、この娘、ピクピクしてる……そろそろ……」
「ひあ、ん、はあ、ん、くっ……」
「リーネ……」
 不意に後ろから声が。どうやら姉の方が目を覚ましたようだ。
「……見ているが良い。妹がお前と同じ眷属になるのをな」
「はい……」
 声だけでは判別付かないが……姉はこの状況を、どんな思いで見ているのだろうか。嘆いているのか悦んでいるのか……俺の後ろにいるから、顔を確認できないままだ。
「ん、ひあ、ん、んっ! あ、く、ひあ、あ、ふあ、あ、あ、んっ! あぁあああ!」
 小さな膣が更に締まる。妹の中へも大量の精子を流し込み、そして少し屈んで可愛らしい首に牙を立てる。
「あ、は……ん……」
 ゆっくりと肉棒を抜き、そっと床に寝かせてやる。寝顔は穏やかで愛らしいが、さて目を覚ましたらその顔はどうなるのか……。
「リーネ……」
 妹に姉が駆け寄り、そっと髪を撫でる。そんな姉の顔は……微笑んでいた。
「……まず、名を聞こうか」
 妹の頭を膝枕に乗せたまま、姉は俺を見上げながら名乗る。
「はい。私はフィーネ、こちらの妹はリーネと申します」
 うっすらとフィーネの口元が微笑む。その表情は妖艶。村娘の表情とは、とても言いがたいものがあった。
「ん……あ、お姉ちゃん……」
「気がついたのね、リーネ」
 妹を気遣う顔は先ほどとは打って変わり、穏やかで優しげだ。なるほど、その顔が襲われる前までの彼女だったのか。
「さてお前達……まだ状況は飲み込めていないだろうが、本能が事情を察しているな?」
 俺の声にゆっくりと頷く姉。妹も姉の膝枕から起き上がり膝を突いたまま俺へ向き直る。
「お前達の言葉で、俺への忠誠を示せ」
 カサンドラ達と違い彼女達の眷属化に疑いの余地はないのだが、これがなんか恒例儀式のようになってきたのでやらせてみた。さてどんな反応をするのやら。
 姉のフィーネは少し考え込み、そしておもむろに足を広げ両手で膣まで広げ中を見せつける。妹も姉に習い同じ痴態を俺に見せつけた。
「私達姉妹は、ご主人様に永遠の愛と忠誠を誓います。この身体も心も、全てがご主人様の思うままです」
「はい……私もお姉ちゃんと同じ、ずっと愛と忠誠を誓います。みんなご主人様のものです」
 忠誠を誓うと言うよりは、まるで早くも「次」を強請っているように見えるな。上からでも膣がヒクヒクと誘っているのが見えるほどだ。
「他に言うことがあるんじゃないのか?」
「……はい、あの……お願いします。今度は意識のある今……ご主人様を感じたいです」
「私も……お願いします、ご主人様ぁ」
 なかなか可愛い姉妹じゃないか。俺は妹のリーネに姉の上に重なるよう指示を出す。そして互いの陰核同士が擦れるよう腰の位置を調整させた。
「これで……んっ、よろしいですか……」
「ご主人様ぁ、はっ、はやくぅ……」
 腰をくねらせ陰核を互いに擦らせながら、姉妹が俺を誘っている。先ほどまで処女だった二人が、快楽を求め喘ぐ姿というのは……くくっ、なんとも爽快だな。俺は重なり合った腰の間に、ゆっくりと膨張した肉棒を押し入れていく。
「あっ、ご主人様……んっ!」
「んん、ご主人様のぉ、擦れて……ん、きもち、いい!」
 純朴だったろう姉妹は、快楽を求める淫魔へと堕ちた。それを愉しむかのように、二人は腰をギュッと押しつけ快楽を貪り、喘ぎ続ける。
「これ、ん、きもち、い、すてきぃ! ふあ、ん、もっと、こす、ん、こすれるぅ!」
「すご、い、ん、ごしゅじん、さま、い、きもち、い、ね、おねえ、ちゃん、ふあ、ん、はぁあ!」
「クックックッ……気持ち良いか。どうだ、お前ら眷属になれて幸せか?」
「あ、は、はい、もちろん、です、こん、こんな、きもち、いい、わたし、たち、しあ、しあわせ、しあわせ、ですぅ!」
「はい、はい、いい、すごくよいて、きもち、よくて、しあわせ、しあわせ、ごしゅじんさま、い、すき、すきぃ!」
 乱れ微笑む二人の顔は妖艶に、しかし幸福に、その美しさを魅せる。
「ま、もう、いく、いっちゃ、う、ごしゅじん、さま、わたし、い、いきま、す……」
「わ、わたし、も、おねえちゃん、と、いっしょ、い、いく、いきます、いきます、ごしゃじんさまぁ!」
 これで今日は四度目か……それでもまったく衰えることのない肉棒を俺は更に激しく二人にこすりつけながら、二人を快楽の頂点へと導く。
「ひあ、ごしゅ、リー、ネ……ん、いっ、いく、いきま、す、いっ、く、いっ、き、ま、あぁあああ!」
「いく、いく、いくよ、いく、いくの、いく、いくね、いく、いく、いく、いく、いっ、くぁあああ!」
 ぐっと抱き合う二人から俺は肉棒を抜き取り、素早く反対側に回り込む。そして俺は二人の眷属化を祝い、白濁液を二人の顔に振りかけてやった。
「あっ、は……ん、これ、ご主人様の……美味しい……」
「ふあ、凄い……これ、ん、ホントだ、美味しい……」
 二人は自分達の顔に掛かった白濁液を舌で舐め取り、その味を堪能している。そして次第にその舌は口周りから互いの頬へ。何時しか二人は濃厚な口づけを交わしながら抱き合い、腰を股動かし始めていた。くく、姉妹仲が良いというのか淫乱というのか……そんな二人を楽しげに見ていたが、ふとねっとりとした視線を感じ振り返る。
「……なんだよ、そっちもか」
「だって……ん、そんなの見せつけられたら……くぅ!」
「我慢できませんわ……、カサンドラさんそこ強く、んっ!」
 放って置いたカサンドラとセイラが、濃厚なレズを繰り広げていた。そして足を広げねっとりと濡れた淫唇を二人して見せつけてくる。
「ほらぁ……こんなになってる。なあ、そろそろ私達にも……」
「ええ、新入りばかりかまっては寂しいですわぁ」
 やれやれ……ま、望むところだよ。俺は妖艶で愛しい眷属に歩み寄っていった。

「いるもんだねぇ、「清楚で働き者で気が利いて、家事全般が得意な上にスタイルも美しい」悪党って」
 連れてきた二人を見て、師匠が感心する。まあ見た目は清楚だが、その実かなり淫乱だがな二人とも。それに悪党だったというよりは、悪にされていたって方が正しいし。
 俺は今回の事件報告のために二人を師匠に紹介していた。二人は世間的に「村の生き残り」として俺が連れ帰ってきたとして、今後は俺の屋敷で共に暮らす。まあ俺の眷属なのだから当たり前だが、世間体というのは一応取り繕った方が色々都合が良いから。
「あの、フィーネです。今後ともよろしくお願いします」
「リーネです。お願いしまぁす!」
 礼儀正しく挨拶をする二人に、師匠は満足げにうんうんと頷いている。
「で、二人がいるから使用人の話はもういいって?」
「いや、二人だけで全部を管理するのは無理だろうから……こいつらを補助する感じで募集を頼むよ」
 全てが解決とはいかないが、使用人問題がこんな形で一部解決するとはね……いやはや、世の中何がどうなるか判らんものだ。
「判ったわ。それと……んふふぅ……いー感じのデザインが浮かんできたわぁ! よぉし、すっごいの作ってあげるからね二人とも!」
「……ありがたい話だが、ちゃんとまともなのも作ってくれよ?」
 ものすごくエロいデザインの服は俺も大歓迎だが、来客に対応できる服もないと困る。それこそ青年が尋ねてきたときみたいな事になるからな……。
「任せなさいって。さぁて、早速取りかかるわよ!」
 色々不安だが……まあ良い。紹介はすませたし、俺は二人を連れて帰宅することにした。
「あの、ご主人様……一つ、よろしいでしょうか?」
 帰宅途中、恥ずかしそうに顔を赤らめながら、フィーネが尋ねる。
「その、て、手を繋いだりしたら、その、ご迷惑でしょう……か」
 なんとも可愛らしいじゃないか。淫魔になって淫乱になったのに、こんなことで頬を赤くするとは……いやホント、こんな娘を眷属に出来るとは思わなかったよ。
 まあそれはそれとして……俺はフィーネに、反対側の腕を軽く指さして「現状」を知らせた。
「ちょっ、リーネ! あなた何時の間に!」
「だってぇ、こうしたかったんだもん。ご主人様だってイヤって言わなかったし」
 そう、とっくにリーネは俺の腕に自分の腕を絡ませていた。
「もう……折角私が純情ぶって誘惑したのに……」
「演技だったのかよ」
 俺が呆れるのをよそに、フィーネも俺の腕にしがみつき、あからさまに胸をグイグイと押しつけてきた。
「ふふ、半分だけ……前の私でしたら、言い出せもしなかったんですよ? こんなこと」
 舌を出して謝罪するフィーネはまた可愛らしいな……複雑で偶発的な巡り合わせによって手に入れた眷属の姉妹。カサンドラ達とはだいぶタイプの違う二人だが、こいつらも眷属として、愛してやらないと。
「ご主人様……私達、幸せです」
「うん、すっごい幸せ!」
 ギュッと抱きついてくる二人を従わせ、少し歩き辛いながらに自分達の屋敷へと帰っていった。

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